労働審判の弁護士費用相場|労働審判とは?弁護士のメリットを解説

お金

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

会社側から不当解雇や賃金未払いなどの処遇を受けた場合、労働者は労働審判制度を利用して労働問題の解決を図ることが可能です。

労働審判は裁判よりも早期に解決を図ることができるため、早く結論を出したい方におすすめです。

ただ、労働者本人だけで労働審判の手続きを進めることはあまり現実的ではないため、通常は弁護士を選任することになります。

これから労働審判の特徴、弁護士に依頼するメリット、弁護士費用の相場などを解説していきます。

労働審判を利用するかどうかお悩みの方はぜひご参考になさってください。

労働審判とは何か

労働審判は労働者と事業主の労働紛争を解決するための制度

労働審判とは、事業主と個々の労働者との間の労働トラブルを、労働審判官(裁判官)1名と労働問題の専門家である労働審判員2名で組織された労働審判委員会に審理してもらい、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とした裁判所の制度です。

主に、解雇、雇い止め、配転、出向、賃金・退職金請求権、懲戒処分、労働条件変更の拘束力など、労働者と事業主との間の権利紛争が労働審判の対象となります。

労働審判の手続きの中で和解が成立しなかったり、労働審判委員会から出された裁定に対して当事者が異議を申し立てた場合は、裁判に移行して争うことになります。

労働審判の特徴を解説

労働審判には次のような特徴があります。

労働審判の特徴

  1. 労働審判は裁判よりも早期に解決する
  2. 労働審判事件の8割程度が解決している
  3. 裁判の判決と同様に強制執行力がある
  4. 当事者の片方が欠席をしても審理は行われる

①労働審判は裁判よりも早期に解決する

労働審判の解決までの期間は平均80.7日ですが、労働関係の訴訟を提起した場合は平均審理期間が14.5ヶ月もかかります(最高裁『裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)』令和元年7月19日公表)。

このように、労働審判は裁判よりも早く終わらせることができるため、早期解決を目指す労働者の方にとっては非常に適した制度と言えます。

なぜ早く終わるのかというと、労働審判の場合は期日の回数が原則として3回までしかなく、3回目までには当事者間で和解が成立するか、労働審判委員会から裁定が下されるためです。

裁判では口頭弁論期日が3回以上になることも珍しくなく、争点が複雑な事案であれば、1年~数年単位の期間がかかる場合もあります。

②労働審判事件の8割程度が解決している

平成30年度の労働審判事件は、3,429件中2,491件(72.6%)で調停が成立し、504件(14.7%)で「労働審判」が成立しています(最高裁『裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)』令和元年7月19日公表)。

なお、「労働審判」が成立した504件のうち、161件は異議申立てがなされずに解決しています。
(上記の「労働審判」は裁判所の制度としての労働審判ではなく、労働審判委員会から示される解決案のことを指します)

そのため、調停が成立した2,491件と異議申立てがなされなかった161件を合わせて、2,652件(77.3%)が労働審判の手続き上で解決していることになります。

このように、労働審判を利用すれば、高い確率で早期解決をすることが可能です。

③裁判の判決と同様に強制執行力がある

労働審判委員会から出された裁定は、2週間以内に当事者が異議を申立てなければ裁判上の和解と同一の効力を持ちます(労働審判法21条4項)。

即ち、差し押さえ等の強制執行も可能になるということです。

④当事者の片方が欠席をしても審理は行われる

また、労働審判を進めるにあたって相手方(会社側)が裁判所からの呼び出しに応じなかった場合でも、労働者側の立証・主張のみで審理を進めることが可能です。

そのため、会社側が欠席したせいで労働審判が進行しなかった、という状況になることはありません。

労働審判は弁護士に依頼したほうが良い

労働審判を利用することになった場合、通常は弁護士に手続きを一任することになります。

労働者の多くは初めて労働審判を利用することになるでしょうから、弁護士に依頼して煩雑な手続きや相手方との問答などを代わりにやってもらったほうが無難です。

実際の統計でも、申立人(労働者)の87.8%は弁護士に依頼しています(日本弁護士連合会『弁護士白書 2019年版』)

また、統計的に見ても弁護士に依頼したほうが労働審判で紛争を解決しやすくなっています。

労働審判において労働者が弁護士に依頼せず、会社側のみが弁護士に依頼していたケースでは、66.7%で調停が成立しています。
しかし、労働者・会社側双方が弁護士に依頼していたケースでは、77.1%で調停が成立しています。

このことからもわかる通り、弁護士に依頼すれば手間を削減できるだけではなく、紛争解決もしやすくなるため、労働審判制度を利用する際は弁護士に依頼することをおすすめします。

労働審判の弁護士費用相場

相談料・着手金・成功報酬などはいくらかかるのか

弁護士事務所によって差はありますが、一般的には以下のような料金体系になっていることが多いです。

項目費用
相談料1万円前後/1時間(無料のケースもある)
着手金20~30万円前後
手数料3~5万円前後
成功報酬経済的利益の15%〜20%前後
実費実際にかかった交通費・印紙代等
日当1〜3万円前後

これから各項目の意味について解説していきます。

相談料

相談料とは、弁護士との相談時に発生する費用のことです。

近年では、初回相談は無料で、2回目以降から30分~1時間当たり5,000円~1万円程度の相談料が発生する、という料金体系になっていることが多いです

中には対面での相談だけではなく、電話相談・メール相談などに対応している事務所もあるため、気軽に相談することができます。

相談する前に要点をまとめておけば相談時間や相談回数を短縮することが可能なので、現時点での自分の要望や相手方の主張を事前に整理しておくことをおすすめします。

着手金

着手金とは、弁護士に事件解決を依頼した際に発生する費用のことです。

依頼する内容(不当解雇・残業代請求・労災など)によって着手金に差を設けられるケースがあるため、労働問題の着手金相場を一概に言い切ることは難しいのですが、一般的には20万円~30万円前後を着手金として支払うことになるでしょう。

中には、依頼者(労働者)が相手方(会社側)に請求する経済的利益の8%程度を着手金とする場合もあります。

事務所によっては、着手金を無料に設定し、その分を成功報酬などに上乗せしていることもあります。

手数料

手数料とは、労働審判の申立書や、内容証明書などを作成・送付してもらった際に発生する事務手数料のことです。

申立書や内容証明書は自分自身で作成することも可能ですが、あまり慣れていない一般の方が作成するよりも、労働問題に慣れている弁護士に任せたほうが時間と労力を短縮することができます。

弁護士に書類を作成・送付してもらう際は、1通あたり3万円~5万円前後の手数料がかかるのが一般的です。

成功報酬

成功報酬とは、労働者が会社側から獲得した経済的利益の金額に応じて設定される費用のことです。

平成16年4月1日に廃止されていますが、かつての弁護士報酬基準では以下の料金体系で成功報酬額が算出されていたため、今でもこの基準を参考にして成功報酬額を算出している事務所が多く存在します。

(旧)日本弁護士連合会報酬等基準

経済的利益成功報酬額
300万円以下経済的利益の16%
300万円~3000万円経済的利益の10%+18万円
3000万円~3億円経済的利益の6%+138万円
3億円を超える経済的利益の4%+738万円

実費

実費とは、労働審判の期間にかかった手続き上の費用のことです。

主に、弁護士の交通費、コピー代、収入印紙代などが含まれます。

事務所によっては実費を請求せず、その分を着手金や成功報酬に上乗せするケースがあります。

日当

日当とは、労働審判を行う裁判所まで弁護士に赴いてもらった際に発生する費用のことです。

日当には大きく分けて出廷日当と出張日当の2種類があります。

出廷日当とは、弁護士が裁判所で行われる労働審判期日に出席することによって、時間的に拘束される際に支払われる費用のことです。
出廷日当は最初から着手金などに含まれていることがあるため、裁判所まで来てもらっても出廷日当を負担しなくて済む場合があります。

出張日当とは、遠方の裁判所まで弁護士に出張してもらった場合、出廷日当に加えて計上される費用のことです。
距離に応じて、1万~3万円程度の出張日当が請求されます。
なお、出張日当とは別に交通費や宿泊費も請求される点にご注意ください。

弁護士費用を相手方に支払ってもらうことは可能なのか

労働審判でかかった弁護士費用を相手方(会社側)に支払ってもらうことは原則的にはできません。

相手方の不法行為に基づく損害賠償請求の場合であれば、弁護士費用(の一部)の支払いが認められることはあります。

しかし、労働審判で争われるのは主に労働問題(労働者としての地位確認、賃金未払い、配転命令の効力等)なので、労働審判で弁護士費用まで請求するようなことは基本的にありません。

条件を満たせば法テラスの扶助を受けられる

弁護士費用は高額なので、勝てる見込みがあるにも関わらず、弁護士に依頼することができない方もいると思います。

そのような場合、一定の条件を満たしている方であれば、法テラスの民事法律扶助を利用することが可能です。

民事法律扶助を利用すれば、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれます。

以下の条件を満たしていれば民事法律扶助を利用できます。

  • 資力が一定以下であること
  • 勝訴の見込みがないとは言えないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

詳細は法テラスの公式サイトをご覧ください。

民事法律扶助を利用した場合、事件進行中は毎月10,000円ずつ、もしくは毎月5,000円ずつ返済していくことになります。
事件終了後は、原則3年以内に返済が終わるよう、月々分割で返済していきます。

労働問題に強い弁護士の探し方

すべての弁護士が労働問題に詳しいわけではありません。

中には労働問題にあまり力を入れていない弁護士事務所もあるため、弁護士に相談・依頼をする際は下調べをするようにしましょう。

インターネット検索で弁護士を見つける

通常は弁護士事務所のサイトの中で注力分野が紹介されています。

その注力分野の中に「労働問題」が含まれているのであれば、労働問題の事案を相談・依頼することができるでしょう。

また、解決実績などを確認すれば具体的にどの程度の数の案件を扱ってきたのか調べることもできます。

できれば労働問題の経験豊富な弁護士に相談・依頼をしたいでしょうから、弁護士事務所のサイトをいくつか比較した上で決めるようにしましょう。

弁護士会に弁護士を紹介してもらう

弁護士会に相談すれば、労働問題に詳しい弁護士を紹介してもらうことが可能です。

たとえば東京弁護士会の場合なら、弁護士紹介センターへの申し込み後に弁護士が選任されれば、申し込みから1週間前後で担当弁護士から連絡が来るようです。

なお、弁護士を紹介してもらうこと自体は無料ですが、選任された弁護士に法律相談をする際は30分5,000円の相談料が発生する点にご注意ください(東京弁護士会の場合、労働問題の法律相談は初回30分無料)。

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