不当な即日解雇でもらえる慰謝料の相場と条件とは?

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

通常、解雇は「●日付けで解雇する」などと時間的余裕をもって行われますが、時折「明日から来なくていい」と言われる即日解雇が行われる場合もあります。

そのような即日解雇には解雇理由や手続きに問題があり、違法になることも多くあります。

そのような違法な即日解雇に対して、慰謝料を請求することはできないのでしょうか?

この記事では、即日解雇が違法となる条件・違法な即日解雇に対して慰謝料を請求できるのか・慰謝料相場はいくらなのかを解説していきます。

違法な即日解雇には慰謝料を請求できることも

違法な即日解雇やそれに伴う行為が不法行為にあたる場合、労働者は会社に対して慰謝料を請求することができます(民法709条)。

不法行為とは、労働者の権利や法律上保護されるべき利益を侵害する行為を指します。

もっとも全ての事案で慰謝料を請求することが可能とは限らない点に注意しましょう。

即日解雇が違法となる条件

一般的に即日解雇で慰謝料を受け取るためには、即日解雇じたいが違法なものといえるものでなくてはなりません。

即日解雇が違法と判断されるかについては、以下の要素が考慮されます(労働契約法16条、労働基準法20条)。

  • 解雇に客観的に合理的な理由があるか
  • 解雇をすることが社会通念上相当であるといえるか
  • 30日以上の解雇予告期間があるか
    または不足ぶんの解雇予告手当が支払われているか

解雇の客観的に合理的な理由とは、労働能力の欠如、適格性の不足、職場規律違反行為、経営上の必要性などがあり、嫌がらせや十分な理由なき解雇はこの条件を満たしません。

さらに社会通念上相当であるかとは、解雇以外の手段の検討がなされたか、解雇以外に手段がないと言えるかなどで決定されます。

さらに会社側の身勝手な解雇を防ぐために、解雇をするにあたっても十分な予告期間または解雇予告手当での労働者保護が求められます。

即日解雇で慰謝料を請求できる3つの条件

即日解雇が違法なことであるのに加え、会社側の行為が不法行為に該当して慰謝料を受け取るには、追加で以下の要件が求められます(民法709条)。

  • 会社側に故意又は過失がある
  • 労働者の権利又は法律上保護される利益が侵害されている
  • 侵害行為により、労働者に精神的苦痛が生じている

故意とは意図的であること、過失とは課せられた注意義務に違反する不注意などを指します。

具体的には、会社が解雇の必要性について十分説明するべき注意義務があるにも関わらずそれを怠った場合、あえて説明しなかったような場合が該当します。

労働者の権利または法律上保護される利益として考えられるものは、心身の健康、労働基準法に定められた最低限の労働条件、解雇予告手当を受け取る権利などです。

最後に、慰謝料とは精神的苦痛に対する補償としての性質を持つため、労働者が精神的苦痛を負ったと言えるほどの行為であることが求められます。

【注意】すべての即日解雇事案で慰謝料を請求できるとは限らない

即日解雇そのものが仮に違法であるとしても、その行為が会社側の故意や過失でなされたものであり、個人の権利や利益が侵害されるほどのものであり、即日解雇行為によって精神的苦痛がもたらされたと言えるものでなければなりません。

よって解雇が違法・無効と認められたとしても、実際に慰謝料を請求できるのは会社側の違法性がより強い事案に限られています。

より具体的に、実際に慰謝料請求が認められた事案については「即日解雇で慰謝料がもらえた判例は?」をご覧ください。

実際に即日解雇をしてきた会社に慰謝料を請求するには?

不当な即日解雇が不法行為にあたる場合、労働者は会社に慰謝料を請求することが可能です。

その実際の方法や相場について確認していきましょう。

即日解雇で慰謝料を請求する方法とは?

会社に慰謝料を請求する方法としては、会社との直接交渉、労働審判、民事訴訟などが考えられます。

実際、弁護士やユニオン(合同労組)を間に挟んで交渉することで、訴訟にかかる手間を恐れた会社が和解案をのみ、その一環として慰謝料を支払ってくれることもあります。

会社との交渉の際は、金銭の内訳や金額を記載した請求書を作成し、内容証明郵便で送ると会社側も対応してくれることが多いでしょう。

和解案に納得がいかなかったり、交渉が叶わなかった場合には労働審判民事訴訟などの手段を検討していくことになります。

慰謝料以外に未払い賃金・和解金なども請求可能

即日解雇が不法行為にあたらず慰謝料請求ができない場合であっても、会社に対して以下の金銭を請求することが可能な場合もあります。

  • 解雇予告手当
  • 未払い賃金
  • 和解金、解決金

まず、会社は解雇までの期間に応じた解雇予告手当を支払う義務があります(労働基準法20条)。

即日解雇の場合は30日ぶん、解雇10日前に解雇予告があった場合は20日ぶんの平均賃金に相当する解雇予告手当が支払われます。

次に即日解雇が違法である場合、解雇は無効であり、解雇予告から30日後または解雇予告手当支払い時に初めて解雇は有効となります。

よって解雇が有効となるまでは労働者としての地位は継続するため、その期間中の賃金を請求することができます。

最後に、会社が労働者と和解する際に支払う慰謝料や解雇予告手当、未払い賃金などをまとめて和解金・解決金と表現することがあります。

和解金・解決金という名目で金銭を受け取る際には、それぞれ各費目で十分な金銭が支払われているかの確認が重要です。

即日解雇で受け取れる慰謝料相場はいくら?

即日解雇に伴う慰謝料の相場は、およそ10万円~50万円となります。

金額を左右する要素としては、以下のものが考えられます。

  • 解雇の理由は合理的なものか
  • 解雇の際に十分な説明、予告がなされたか
  • 解雇以外の手段が十分に検討されていたか
  • 解雇の前に、労働者側に十分な弁明の機会が与えられたか
  • 解雇後の会社の行為態様が適切であったか
  • (即日解雇でない場合)解雇までの期間が十分にあったか
  • (即日解雇でない場合)解雇予告手当が適切に支払われたか

より具体的な金額や相場感は、以下に紹介するケースで確認してください。

即日解雇で慰謝料がもらえた判例は?

それでは実際に、近年おきた即日解雇のケースでいくらの慰謝料支払いが認められたのかを見ていきましょう。

ケース①退職時の暴言による慰謝料10万円が認められた例

この事案は、コンビニに勤めていた労働者が即日解雇される際に、マネージャーらから暴言を浴びせかけられたことが不法行為にあたるとして、10万円の慰謝料が認められたものです(大阪地裁H25.5.13)。

即日解雇を告げられた労働者が解雇予告手当の支払いや解雇理由を書いた書面を請求したところ、マネージャーらから「言いがかりをつけてお金を取ろうとしている」「不良労働者」「解雇通知書をふりかざして何かしようというわけか」などと暴言を浴びせかけられたという事情がありました。

解雇予告手当という正当な権利を主張したにもかかわらずの暴言であったこと、その暴言内容が誹謗中傷にあたり、社会通念上許容されるものではないとして、労働者は慰謝料10万円に相当する精神的苦痛を被ったと認められました。

ケース②突然の解雇への慰謝料20万円が認められた例

この事案は、製造会社に勤務していた労働者が即日解雇され、その際の対応が不法行為にあたるとして20万円の慰謝料が認められたものです(東京地裁H30.9.14)。

まず解雇の態様について、解雇理由とされる欠勤や同僚との人間関係について十分な対策をとろうとせず、突然行われた軽率なものであったことが不法行為に該当するとされました。

また即日の解雇であったこと、一方的に退社を求めたり机を叩くなど恫喝的な言動から労働者の受けた精神的苦痛は大きいとして、慰謝料20万円が認定されました。

ケース③不当な解雇理由により慰謝料50万円が認められた例

この事案では、クリニックに勤務していた労働者が即日解雇をされ、その解雇態様が不法行為にあたるとして50万円の慰謝料が認められたものです(大阪高判H26.7.11)。

慰謝料が比較的高額になった理由として、使用者からの違法な業務命令を出され、それを拒否したことで当てつけのように解雇された、という事情が大きく関わっています。

さらに解雇について説明がなく、解雇以外の措置の検討も無かったとして、解雇が一方的かつ不合理で不当なものであったことから慰謝料が他事案より高くなっていると考えられます。

解雇の態様のほか、解雇理由やそれまでの業務に関する事項も慰謝料の評価対象となりうる、ということになります。

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