退職勧奨の対処法や相談事例|相談窓口も紹介

相談

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

退職勧奨とは、労働者が会社側から「退職してくれないか?」と退職を促されることです。

退職勧奨に強制力は無いため、労働者が退職を断ったとしても問題はありません。

退職勧奨を断ったことを理由に業務上必要がない配転などを命じられたとしても、使用者の権利濫用であるとして違法性が認められる見込みがあります(『リコー出向事件』東京地判平25.11.12)。

これから退職勧奨をされた場合の対処法や、退職勧奨の相談事例相談窓口などを解説していきます。

退職勧奨でお悩みの方は最後まで目を通し、労働問題で損をしないように知識を身に着けていきましょう。

退職勧奨の対処法

退職勧奨は即答せずに冷静に検討する

退職勧奨はあくまでお願いなので、退職に合意するかどうかの決定権は労働者側にあります。

そのため、退職勧奨をされたからといって安易に合意するようなことはせず、じっくりと検討してから答えを出すことをおすすめします。

時おり、面談の場で「今ここで退職届に署名・押印をしてほしい」と言われることもありますが、署名・押印を断っても問題ありません。
「今は考えがまとまっていないので、家に帰ってからよく考えます」などと答えて退職届の提出を保留にした後、後述する労働問題の専門家にその後の対応について相談することをおすすめします。

退職勧奨の録音や書面を残しておく

退職勧奨を受けた際の録音があれば違法性があるか否かを客観的に判断しやすくなるため、面談に呼ばれた際は極力録音をするように心がけましょう。

会社側の面談担当者に許可を取らずに面談内容を録音(秘密録音)したとしても法的に問題はありません。

民事訴訟においては証拠能力に制限は無いため、反社会的な手段で録音しない限り、録音したデータは証拠として認められます。

また、場合によっては会社側から退職勧奨時に書面を渡されることがあります。
通常、こちらの書面には退職勧奨を受ける理由や、退職に合意した際の条件などが記載されています。

こういった書面も退職勧奨に違法性があるかどうか、提示されている条件が妥当かどうか、ということなどを判断するための材料になりえます。

録音・書面といった客観的な証拠があれば、第三者に相談した際に話がスムーズに進みやすくなります。
特に録音があれば会社側との交渉を有利に進めることができるケースがあるため、極力証拠として残すようにしましょう。

違法な退職勧奨に該当する例

場合によっては、会社側から退職に合意することを無理強いされた結果、不服ながらも退職届を提出してしまうことがあります。

しかし、以下のような強要をされて退職した場合なら、違法な退職勧奨に当たる可能性があります。

  • 面談の場で罵声を浴びせられた
  • 数時間にも及ぶ面談が何度も行われた
  • 退職を拒否したにも関わらず、その後も退職勧奨が繰り返し行われた
  • 懲戒解雇される心当たりが無いのに、「退職しないなら懲戒解雇にする」と脅された

仮に強要されて退職したとしても、「違法な退職勧奨であったため、まだ労働者としての地位にある」ということを労働審判や裁判などを通して確認することができれば、退職は無効となります。

労働者としての地位が確認できた場合、労働者は使用者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなかった(就労できなかった)として、退職日から判決日までの給与(バックペイ)などを請求することができます(民法536条2項)。

退職勧奨を受けた後、みんなのユニオンや労働局に相談して解決した事例をいくつかご紹介いたします。

退職勧奨を受けてから解決するまでの大まかな流れが気になる方はぜひご参考になさってください。

退職勧奨の相談事例

(1)別部署で働き続けることができた事例

退職勧奨を受けた後、みんなのユニオンにご相談いただき、解決まで至った事例の一部をご紹介いたします。

ご相談者様から「退職勧奨を受けたたものの、応じる気はないし同じ会社で働き続けたい」という内容のご相談がありました。

まずはご相談者様本人が直接交渉をして解決を図るべきと判断し、ユニオンからご相談者様に対し交渉方法や今後の流れについてアドバイスを行いました。

この場合、ユニオンから会社側に団体交渉をして退職勧奨を取りやめてもらう、という選択肢もあったのですが、急に団体交渉を行うと会社側を不必要に刺激してしまうおそれがあります。
その結果、ご相談者様が就労を続けることができても居心地が悪くなってしまうのではないか、という懸念がありました。

その後、ご相談者様本人が会社側と交渉を続けた結果、退職勧奨はされなくなり、給与はそのままで別部署に異動して働き続けることができるようになりました。

(2)不当解雇されたものの解決金を受け取った事例

ご相談者様は会社側から何度か退職勧奨を受けており、これからどういった対応をすればいいのか、という旨のご相談をいただきました。

そこでユニオンから「退職勧奨には必ずしも応じなくても良い」とアドバイスしたところ、ご相談者様はアドバイス通りに退職勧奨を拒否し続けました。
しかし、拒否を続けているうちに、会社側から能力不足・社内でコミュニケーションが取れていない等を理由に解雇がなされました。

しかし、その解雇は不当解雇の可能性が極めて高いものでした。

そのため、ユニオン側で反論するための証拠を集め、不当解雇であると主張したところ、最終的に労働者の方が納得いく金額の解決金が支払われて解決となりました。

(3)労働局から指導・助言をしてもらった事例

 倉庫で貨物取扱い業務に従事する労働者が、私病が悪化し診断書提出の上休業した後、経過良好のため復帰を申し出たところ、完治まで復帰が認められず、逆に退職勧奨を受けたことから、復職を求めた事案。

 作業内容が肉体的に負担が大きく、現状では復帰が認められないとする被申出人に対し、申出人の希望を考慮の上、作業の軽減など復職の方法を検討するよう助言をした結果、復職に向けて検討することとなった。

口頭助言・指導事例(大阪労働局)https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/corner/sidou_jirei.html

(4)労働局のあっせんを利用した事例

 Aさんは外資系の会社に勤めていた30代の女性。

 入社後の10年間に、企業合併等で組織が再三変更され担当業務が外注されたことから、十分な知識のないサービス商品の営業を担当させられるようになった。

 何回かの試験的な営業活動の後で担当を外されると、毎日のように上司から商品知識やマナーについてのペーパーテスト等を課せられて厳しい評価を下される一方で、「自分の将来をよく考えるように。」との勧奨が繰り返された。

 Aさん自身も営業には向いていないと感じ、会社都合退職の扱いでの金銭補償、再就職支援等についての会社側の条件案の提示を求めたが、会社側はそれに応じないだけでなく、上司が、Aさんの学歴や吸収合併されてしまったAさんの出身会社を馬鹿にした発言をするなどしたので、自分のキャリアや人格をすっかり否定されたように感じてしまった。

 Aさんが横浜駅西口総合労働相談コーナーを訪れると、女性相談員が「退職勧奨に伴って陰湿ないじめが起きることがありますが、決して許されることではありません。
 あなた自身の気持ちを整理して、会社に対して声を上げたいということであれば、あっせん制度が利用できます。」と力付けた。

 あっせんの結果、Aさんは合併時の早期退職者と同等の、特別な好条件による補償を受けて退職することが出来た。

総合労働相談(助言指導/あっせん事例)【指導課】(神奈川労働局)https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/jirei_toukei/jogenjirei.html

退職勧奨の相談窓口

みんなのユニオンなどの労働組合

労働組合の中には退職勧奨の無料相談を受け付けている組合があります。

たとえば労働組合みんなのユニオンでは、しつこく退職勧奨をされている、強迫とともに退職を迫られて合意してしまった、などの労働問題を無料で相談することが可能です。

また、「ブラック企業ユニオン」という労働組合も無料相談に対応しており、退職勧奨に限らず、労働問題全般の相談を受け付けています。

その他にも無料相談に対応している労働組合はあるので、退職勧奨などの労働問題でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

なお、既に企業別組合などに加入されている方であっても、別の労働組合に加入・相談をすることは問題ありません。

弁護士事務所

労働案件に注力している弁護士事務所であれば、違法な退職勧奨を受けた際の対処法などを相談できるでしょう。

全ての弁護士事務所が労働問題に注力しているわけではないため、事前に事務所の公式サイト等を調べ、取扱い分野に労働問題が含まれているかどうか確認することをおすすめします。

無料の法律相談を受け付けている事務所も珍しくないため、まずは相談をしてみるのも良いかもしれません。

なお、弁護士に交渉を依頼した場合、弁護士に労働審判や裁判を提起してもらって会社側と争うことも可能です。

日本労働弁護団

すべての労働者・労働組合の権利確立に寄与する弁護士の団体である日本労働弁護団は、労働問題全般の電話相談を受け付けています。

各都道府県の支部に設けられている相談用のホットラインから電話相談をすることが可能ですが、支部によって相談に対応している曜日・時刻が異なる点にご注意ください。

また、日本労働弁護団は女性のためのホットラインを設置しており、こちらの窓口では主にセクハラ・マタハラなど女性特有の問題に関する相談を受け付けています。
女性のためのホットラインでは、必ず女性の弁護士が対応します。

各都道府県の労働局

各都道府県に設置されている労働局は労働問題全般の相談を受け付けています。

労働局は厚生労働省の出先機関の一つで、労働問題の相談対応、当事者に対する指導・助言、紛争解決のためのあっせんなどを行ってくれる機関です。

労働局は日本全国に存在しているためアクセスがしやすく、制度も無料で利用可能なので、労働者の方は気軽に相談することができます。

ただ、労働局の指導・助言に強制力は無く、紛争調整委員会によるあっせんも相手方が欠席してしまうと打ち切られてしまう点にご注意ください。

労働基準監督署

労働基準監督署(労基署)も厚生労働省の出先機関の一つです。
労基署は企業が労働基準法等を遵守しているかどうか監督することを目的とした機関です。

主に、賃金や残業代の未払い、労災の対応をしてくれない、といった労働基準法違反の可能性がある労働問題の相談を受け付けています。

ただ、「自分が受けた退職勧奨は違法なのか」と退職勧奨の違法性を訊ねても、労基署では対応できない点にご注意ください。

労基署ができることはあくまで労働基準法等に従うように企業に対して是正勧告をすることなので、民事上の問題の違法性を判断することはできません。

そのため、退職勧奨が違法か否か、勧奨を受けた後はどう対処すればいいのか、といった退職勧奨に関するお悩み事は、労働組合・弁護士・労働局などに相談することをおすすめします。

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