違法な雇い止めをされたら?|撤回・賃金を求めるには?

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

現在、日本における有期雇用契約の労働者の割合は約30%であると言われています(2019年総務省統計労働力調査)。

有期雇用契約を何度も繰り返していたにも関わらず、来期の契約更新を申し込んだところ「更新はしない」と言われたような場合、どうしたらよいのでしょうか。

そのような雇い止めは果たして有効なのでしょうか、また違法だった場合、労働者にどのような補償がされるべきではないでしょうか。

この記事は、派遣社員など現在有期雇用契約を結ばれている方、契約を更新しないと言われた方、また契約更新がされないのではないか不安な方に向けて書かれています。

雇い止めとは?「契約更新しない」と言われたら

まず、労働契約を更新しないことを告げられたとしてもその全てが「雇い止め」として問題になるとは限りません。

最初に定義を見てみて、ご自身の状況が雇い止めに当たるのかを確認しましょう。

雇い止めとはどういう意味?

雇い止めとは

期間を定めた雇用契約の満了前、または満了後遅滞なく労働者が新たな雇用契約を締結の申込みをしたにもかかわらず、会社が労働者との契約を更新しないこと

例えば入社時に「2年間働く」という労働契約を結び、2年間経過した時点で労働者が「契約更新してほしい」と申込みしたにもかかわらず拒否して労働契約を打ち切ることを、雇い止めと呼びます。

契約期間が満了したら労働契約を終了させる、というのは契約本来の原則であり、なんら問題はないはずです。

ですが例外的に、【実質的に無期雇用契約と同様である場合】・【契約が更新されるものと労働者に合理的な期待がある場合】には、雇い止めが違法となる可能性が出てくるのです。

なお、契約期間満了前に会社から一方的に労働契約を解消されることは、雇い止めではなく解雇として、「やむを得ない事由」があるのかという問題になるので注意が必要です(労働契約法17条1項)。

雇い止めの4タイプとは?

実際に雇い止めには、以下の4つの類型があります。

  1. 契約期間満了後に雇用する合理的理由がないもの
  2. 業務内容が無期契約と変わらないもの
  3. 有期ではあっても継続して雇用される合理的な期待があり、契約が反復して更新されているもの
  4. 有期ではあっても継続して雇用される合理的な期待があり、雇用契約時にその期待が生じているもの

このうち、1は契約期間満了と共に当然に労働契約が終了し、またそれが当然であると考えられるため、雇い止めが問題となることはありません。

一方で2~4については、労働者側からすれば実質的には無期契約と同じであったり、または次回も契約更新されるだろうと期待を抱かせるものになっています。

そのような場合、有期雇用労働者の労働の実態・契約更新への期待を保護するためにも、会社が一方的に契約更新を拒むことに条件が課せられるのです。

雇い止めが違法・不当になるときとは?

雇い止めについては、会社に対して労働契約法19条で制限規定が設けられています。

これは解雇の場合と同様に、会社が労働契約の更新を拒絶する権利を濫用しないようにするためのものです。

  1. 労働契約が反復更新されており実質的に無期契約と同視できる、または契約が更新される期待に合理的な理由がある
  2. 契約更新の拒絶に客観的に合理的な理由がある
  3. 契約更新の拒絶が社会通念上相当である

具体的にどのような制限があるのか、順に見ていきましょう。

①労働契約が反復更新されており、実質的に無期契約と同視できる

期間の定めのある労働契約であっても、それが繰り返し更新されてきた実績があり実質的に無期契約と言える場合には、雇い止めは制限されます。

何故ならその場合、契約更新をしないことが無期契約における解雇と同視できるためです。

なおこのときの契約内容については、同一の労働条件であることまでは必要とされません。

実際の検討にあたっては、以下の要素があれば実質的に無期契約と判断されやすくなります。

  • 契約が反復更新されている
  • 契約書が事前作成されている
  • 契約の更新管理体制(杜撰であるほど、実質的に無期契約と言える)

①´契約が更新されるという期待に合理的な理由がある

期間の定めのある労働契約において、契約更新の期待に合理的な理由が認められる場合、労働者のその期待を保護する必要があります。

実際の検討にあたっては、以下の要素があれば期待に合理的理由があると認められやすくなります。

  • 労働者の業務内容が事業にとって一時的なものでない
  • 労働者の更新回数が多い、通算期間が長い
  • 同種の有期雇用労働者の更新回数が多い、通算期間が長い
  • 更新管理の体制が厳格ではない
  • 採用時に雇用継続の期待をもたせる言葉があった
  • 有期雇用の限度に関する就業規則の定めがある

②契約更新の拒絶に客観的に合理的な理由がある

契約の更新拒絶することの客観的に合理的な理由とは、具体的には以下のようなものが該当します。

  • 労働能力や適格性の欠如
  • 労働者の職場規律違反
  • 経営上の必要性

当然ですが、嫌がらせ目的であったり十分に人選をしていない場合は、「客観的に合理的な理由がない」として、雇い止めは違法となります。

③契約更新の拒絶が社会通念上相当

仮にすべての条件を満たしていたとしても、契約更新挙折の手段をとることが社会通念上相当であると認められなければなりません。

具体的には、更新拒絶以外に他の業務につかせたり業務態様を変えるなどの手段を取ることを検討していなかったり、労働者側の考慮すべき事情を看過していたりする場合です。

違法な雇い止めをされたときの対処法は?

それでは、もしご自身になされた契約更新の拒絶が違法な雇い止めであると感じられた場合、どのようなことができるのでしょうか。

違法な雇い止めには撤回・慰謝料請求が可能

まず、雇い止め自体が違法であり、そのような違法行為は無効になりますので、雇い止めの無効を主張して再び雇用させることが可能です。

もしも再雇用が叶った場合は、本来であれば雇い止めの日~再雇用の日までずっと働いていたはずですので、その間の賃金を請求することができます。

一方で、雇い止めが違法・無効であったとしても、もう元の会社には戻りたくない、と考える人もいるかもしれません。

そのような場合であっても、和解や判決などで雇い止めの効力が決定する日までは会社に変わらず雇用されていたということになりますので、その間の賃金を請求することができます。

さらに可能性は高くありませんが、雇い止め行為が不法行為(民法709条)にあたると認められれば、賃金に加えて慰謝料を請求することができます。

証拠を集めて雇い止めの効力を争う

雇い止めの違法を争うためにとるべき最初の手段は、会社や担当者との交渉・和解を行うことです。

労働審判や裁判に移る前に会社に非を認めてもらい、賃金相当額の和解金を受け取ることが出来ればもっとも穏当に解決することができます。

手段としては、まず①雇い止めが違法であるという証拠を集め、②内容証明郵便を出すことが考えられます。

説得性のある証拠としては、以下のようなものが考えられます。

  • 雇用契約書
  • 雇い止めの理由が述べられている書面、メール、録音データなど
  • 面談時、これまでの契約更新時の書面など
  • 自身の業務内容や契約内容がわかる書面
  • 周囲の契約更新状況がわかるもの
  • 更新を期待させるような事情を示すもの
  • 求人時の募集要項、就業規則

これらを添付したうえで、内容証明郵便にて雇い止めの問題点を指摘し、雇い止めの撤回あるいは未払い賃金の支払いなどご自身の請求するものを書いて送ることで、会社と話し合いの場を持つことができます。

もしご不安であればこの時点で弁護士や社外のユニオン(合同労組)に相談をして、アドバイスを受けるのがよいでしょう。

違法な雇い止めを労働審判で争う

もしも会社からの反応が無かったり、あるいは話し合いが平行線で決着がつかなかった場合、裁判所の力を借りての解決を考えることになります。

もっとも、最初から裁判を行うのではなく、労働審判が行われるパターンが多いようです。

労働審判とは労働問題を専門とする審判官・審判員からなる労働審判委員会のもとで話し合いを行い、解決案を提示してもらう制度です。

訴訟と比較すると手数料が少額で済むこと・手続きが簡易であるという利点があり、さらに労働審判の結果には裁判と同様に法的拘束力が認められます。

違法な雇い止めを通常訴訟で争う

労働審判での結果に納得がいかない場合、または厳格な証拠調べのもとで会社と争いたいと思える場合は、訴訟を起こすことが考えられます。

もしも雇い止め無効を裁判で争うのであれば、煩雑な手続きや相手方の主張への対応を行うためにも、弁護士に相談すべきでしょう。

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