突然の解雇は違法?違法じゃない?即日解雇されたらご相談を

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

04 0918

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

ある日突然解雇され、無職に。
しかも
・無断欠勤
・仕事ができない
などと、身に覚えのない理由での即時解雇。

頭が真っ白になってしまいますよね。

そんなときは、違法な解雇でないか、解雇予告手当は支払われるのかなどを確認することが大切です。

突然解雇となる理由から退職金、有休、解雇予告手当の取り扱いについて解説しています。違法なパターンもまとめていますので、突然解雇されたときにチェックすべき項目について確認をしていきましょう。対処法や団体交渉現場の実際の声も参考にしてください。

突然解雇を通知されたらどうなる?即日の解雇を中心に解説

「明日から来なくていいよ」

そんな突然の解雇通知をされた後、一体どうなってしまうのでしょう。
即日解雇の場合を中心に見てみましょう。

突然解雇となる理由とは?

解雇理由には様々なものがあります。刑事事件を起こしたり、不法に会社に損害を与えた場合など、就業規則に定めた懲戒事由を理由にする懲戒解雇の場合もあれば、業務外でケガをし、業務遂行が不可能になってしまったことを理由にする普通解雇などがあります。
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解雇が有効か無効かは、その理由を知らなければ判断ができません。突然解雇を言い渡された場合は、その理由をしっかりと確認しておきましょう。なお労働者が、解雇予告をされた日から退職日までのあいだに「解雇理由証明書」を請求した場合、遅滞なく交付してもらう権利があります(労働基準法22条2項)。即日解雇されてしまった場合は、すぐに請求をしましょう。

  • 交渉の現場から
    実際に団体交渉へと進んだケースでも、解雇理由がはっきりしない場合が多いです。「就業規則に反する」とだけ記載されていても反論のしようがありません。解雇されてしまった場合には具体的な理由をしっかりと聞いておきましょう。また、解雇理由証明書の請求をした証拠を残しておくことも大切です。なるべくその日中に、メールやSMSで「解雇理由証明書の交付をお願いします」と一言だけでも送っておきましょう。

突然の解雇で退職金・有休はどうなる?

突然の解雇でも、退職金の支給要件が満たされていれば退職金は請求できます。懲戒解雇か整理解雇かなど、ケースによって扱いが異なりますので、就業規則や退職金規定の記載を確認しつつ、担当部署に聞いてみましょう。
有休はどうなる?

また、有休は原則として退職日に権利が消滅してしまいますので、その後の利用はできません。また、突然の解雇でも退職まで数日かかる場合があります。そこで有休を使う余地はありますが、引継ぎなどの強い要請があるときは、会社側から拒否されてしまう可能性もあります。

一方、有休の買取制度があれば、その分の金銭を解雇時に支払ってもらえる場合があります。とはいえ、制度がない会社の方が多いですので、確認をしておきましょう。

即日解雇だと解雇予告手当が貰える?

労働基準法20条1項によれば、「解雇は少なくとも30日前に予告が必要」とされています。ただし、2項によれば「一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる」とされています。
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つまり、即日解雇をした場合には平均賃金の30日分を支払ってもらわなければなりません。もし「10日後に解雇」と言われた場合は、平均賃金20日分の解雇予告手当を支払ってもらわなければなりません。忘れないように請求をしましょう。

  • 交渉の現場から
    団体交渉相手の会社が「今回の解雇は労働者が原因だから解雇予告手当を支払わない!」と主張することがあります。
    確かに、①天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合と②労働者の責に帰すべき事由で解雇する場合は、30日前予告は必要ないとされています(労働基準法20条1項但書)。
    ですが、同時に「行政官庁の認定」が必要です(同条3項、19条2項)。
    勝手に会社が「労働者のせいだ!」といって解雇予告手当を支払わないことは違法です。

こんな時は違法かも!違法な突然の解雇のパターン3つ

期限の定めのない雇用契約の場合、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」解雇は違法無効となります(労働契約法16条)。有期契約途中の解雇も、「やむを得ない事由」がなければ違法無効です(同条17条)。

突然の解雇でよく使われる3つの理由について、違法無効となるパターンを含めて見ていきましょう。

無断欠勤だけで突然解雇されたら?

無断欠勤をしても当然に解雇されるとは限りません。基本的に無断欠勤だけを理由とする突然の解雇が適法とされるケースは少ないです。会社が何回も連絡を試みたにもかかわらず、病気などの正当な理由なく不当に無視し続け、欠勤によって会社に具体的な損害が生じたような場合に、解雇が認められる可能性がある程度です。

少なくとも、1週間程度の無断欠勤や、他の懲戒処分もなくいきなり解雇を通告された場合には合理性がなく無効だと判断されることが多いでしょう。

仕事ができないとして解雇されたら?

「仕事ができない」、「能力不足」ということを理由としても、突然の解雇が認められるケースは非常に稀です。会社はもともと適切に業務指導をすることが求められていますし、そもそもどの程度の能力が求められているのかという点も曖昧です。
具体的なケースは?

従業員の売上低下や新規開拓店舗数が他従業員より劣っていたケース(名古屋地決平成15年2月5日)、事務処理のミスが1月に89件もあったケース(大阪地判平成14年3月22日)などでも、解雇権の濫用だとして無効になっています。特に降格処分や配置転換などの選択肢があるにも関わらず、それを打診もせずに突然解雇することは合理性がないと判断される傾向にあります。

一方で、会社が何度も指導監督しても理由なく攻撃的に反抗し続けたり、取引相手からクレームがきても責任転嫁をし続けるような対応が続き、けん責処分などをしても改まらなかったような場合には、解雇が有効となることもあります。もし会社から指導や監督を受けた場合には、不当な内容でない限りはしっかりと耳を傾け、改善に向けて努力しましょう。

  • 交渉の現場から
    理由なく不当に解雇する場合、一番理由として使われやすいのがこの「能力不足」です。ただ、能力不足の具体例を聞いてみると、社長が現場の一意見だけを鵜呑みにしているケースや、全く根拠がないケースもあります。自分の実績や、円滑な周囲とのコミュニケーションの証拠となるようなメールやチャット記録は、必ず残しておきましょう。

就業規則上の手続きなく解雇されたら?

解雇は、労働者から職を失わせ、翌日以降の生活を著しく不安定にするものです。そのため非常に厳格な手続きを踏んで実施される必要があります。就業規則や労働協約に解雇の手続きが定められている場合は、その不履行は一般的に解雇の無効原因とされます。
定められていない場合は?

また、規約上手続きが定められていなくとも、労働契約法4条1項の趣旨から、解雇時には労働者に説明を行い、誠意をもって協議をすべき信義則条の義務が会社にあると考えられています。そのような義務に反して、一方的に突然解雇された場合は、違法の可能性が高いでしょう。

突然、違法な即日解雇をされたらすべきこと

もし突然、即日解雇を言い渡されたらどうするのか。
後日後悔しないため、すべきことをまとめておきました。

即日解雇の理由を確認すべき?

まずは即日解雇された理由をしっかりと確認しましょう。その日中にメールやSMSなど、証拠になるような形で「解雇理由証明書をください」と伝えておくことが必要です。もちろん、口頭で聞くことも大切です。可能であればスマホの録音機能などでしっかりと相手の主張を残しておきましょう。

解雇予告手当の支払いを確認すべき?

自分が解雇に納得しているときであれば、ぜひ解雇予告手当の支払いについて確認しましょう。一方、解雇に不服で、その後争う可能性がある場合は、慎重な伝え方が必要です。団体交渉や労働紛争となった場合、「解雇予告手当を請求した事実を、解雇を認めた証拠として主張されるリスク」があるためです。
慎重な伝え方とは?

そのため、「解雇について認めていないが、会社側の意思を確認するために解雇予告手当に関する考えを一応聞かせて欲しい」というような伝え方をしましょう。また、口頭だけでは後日「解雇予告手当について質問したのだから、合意していたはずだ!」と会社が主張し、言った言わないの議論になってしまうこともあります。

「解雇を認めていない」「会社の意見を一応聞いている」という点をしっかりと盛り込んだメールやSMSを送っておきましょう。

  • 交渉の現場から
    労働者が解雇予告手当や離職票の請求をした事実を持ち出され、解雇に合意した旨を強く主張されるケースは非常に多いです。また、「解雇予告手当の受領証」にサインをさせられ、同様の主張をされるケースもあります。
    自信がなかったり不安な場合は、サインなどをせず、専門家に相談をしてみましょう。

突然の解雇について相談できる窓口は?

突然解雇されてしまったときは、とにかく頭が真っ白になってしまうもの。そんなときはとにかく専門家に相談をしましょう。
相談すべき専門家とは?

・労働基準監督署
労働基準監督署(労基)であれば、解雇の内容や手続きに不備がなかったのかを判断してくれます。状況によっては電話で指導をしてくれるときもありますので、ぜひ相談してみましょう。

・弁護士
解雇の理由が全くなく、違法な解雇であることが明確な場合で、お金をかけても労働審判や民事裁判でがっちりと争ってみたいという場合は、弁護士にも相談してみましょう。労働審判や訴訟で使う証拠から逆算をして、どのような証拠を今のうちから揃えておけばよいのかを教えてくれます。ただし、弁護士も得意分野がありますから、労働事件に強い弁護士を選びましょう。

・労働組合
突然された解雇が違法でないかを労働組合に相談することも有効です。特に解雇に関する団体交渉の経験豊富な労働組合であれば、その解雇が違法無効か、どのような対応をすべきかを教えてくれます。また弁護士よりも少額で団体交渉を行ってくれるケースもあり、柔軟で迅速な解決ができる場合もあります。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。