就業規則の作成は必須?採用内定者にも就業規則は適用されるのか

就業規則

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

使用者に就業規則の作成義務が生じる条件とは?

まだ就労を開始していない採用内定者にも就業規則は適用されるのか?

就業規則では退職に関してどういった事項が定められているのか?

これから就業規則に関する疑問などを解説していくので、最後までしっかりと目を通し、適切な内容の就業規則が運用されているのかどうか判断できるようになりましょう。

就業規則の作成義務が生じる条件とは?

「常時10人以上の労働者」がいるなら就業規則は必須

企業が事業場で「常時10人以上の労働者を使用する」場合、使用者には就業規則の作成義務が生じます(労働基準法89条)。

この「常時10人以上の労働者を使用する」とは、常態として労働者が10人以上使用されていることを指します。

その労働者が期間雇用労働者、短時間労働者、パートタイム労働者、アルバイトであっても常態として使用されていれば「労働者」に含まれます。

出向者については、出向元と出向先の両方で人数にカウントされます。

一方、派遣労働者は、派遣先と労働関係にないので(労働者派遣事業法2条1号)、派遣先では「労働者」には含まれません。
しかし、派遣労働者は派遣元の「労働者」なので、派遣元の就業規則が適用されます。

労働者の種類に応じて就業規則は定められる

このように、「労働者」には正社員だけでなく、期間雇用労働者、短時間労働者、パートタイム労働者、アルバイト、出向者等さまざまな労働者が常態として使用されていれば含まれます。

この場合に作成する就業規則は単一のものである必要はないので、通常は労働者の種類に応じて就業規則の定め方に差異が設けられます。

正社員の就業規則は、終身雇用制を前提とした数々の制度を設けられ、福利厚生等の内容も充実しているのが一般的です。

一方で、パートタイム労働者やアルバイト等は、臨時で補助的作業を前提にしているので、労働基準法等の最低の労働条件を基本に設計されているのが通常です。

採用内定者にも就業規則は適用される?

採用内定で労働関係は成立する

判例上、求職者が採用内定通知を受け取った時点で「就労始期付解約権留保付労働契約」が成立すると解釈されています(最二小判 昭54.7.20)。

「就労始期付」とは、就業開始日を労働条件に付加されることです。
たとえば、新卒の大学生なら大学卒業後の4月1日を就業開始日とされることが一般的です。

「解約権留保付」とは、就業開始日までの間、被雇用予定者が使用者から労働契約を解約されることを労働条件に付加されることです。
たとえば、「学歴や経歴に虚偽があったとき」「内定者が大学を卒業できなかったとき」などが留保解約権として誓約書などに記載されています。

就業規則は採用内定者にも適用される

通常、就業規則には「当社の雇用する従業員に適用される。」といった文言が記載されています。

まだ就業開始日を迎えていない採用内定者であっても、上述した通り、採用内定通知を受け取った段階で労働契約は成立しています。

そのため、採用内定者であっても就業規則が適用される対象となります。

ただ、労働契約法7条で「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と定められているように、就業規則が適用される場合には、使用者から就業規則を周知してもらう必要があります。

一部の就業規則は採用内定者に適用されない

ただ、すべての就業規則が採用内定者に適用されるわけではありません。

通常、就労を前提とする就業規則(労働義務、休憩・休日、労働時間など)については、採用内定者には適用されません。

一方、就労を前提としない就業規則(企業の名誉・信用の保持等)については、採用内定者にも適用されます。

就業規則の退職規定には何が定められる?

「退職に関する事項」とは何を指すのか

退職に関する事項については、就業規則に必ず記載しなければならないとされています(労働基準法89条3号)。

ここでの「退職」とは、労働契約が終了するすべての場合を指します。

具体的には、任意退職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職、自然退職等、労働者がその身分を失うすべての場合が「退職に関する事項」となります。

また、平成15年の改正労働基準法では、退職事由として解雇を定める場合は「解雇の事由」を就業規則に明記することが義務付けられました。

(1)任意退職とは

任意退職とは、労働者による労働契約の解約です。

労働者は、期間の定めのない労働契約では2週間の予告期間を置けばいつでも解約できます(民法627条1項)。

ただ、通常は就業規則に1ヶ月程度の予告期間が定められています。

民法627条は任意規定であるため、就業規則のほうが優先される」という解釈が一般的なので、就業規則に記載されている予告期間に従って退職届を提出することが望ましいです。
(就業規則で極端に長い退職申入れ期間を定められている場合などは、公序良俗に反し、無効となる場合があります)

(2)「やむを得ない事由」による退職とは

期間の定めのある労働契約では「やむを得ない事由」がある場合には、直ちに解約できるにとどまります。

やむを得ない事由には、賃金不払い等の重大な債務不履行、労働者自身が負傷・疾病により就労不能に陥ったことなどが挙げられます。

ただ、多くの企業の就業規則では、期間の定めのない労働契約と同様に、期間の定めのある労働契約であっても1ヶ月の予告期間で任意退職を認めています。
これは民法の規定以上に労働者に有利なものなので、合理性が認められます。

(3)解雇とは

解雇は、使用者による労働契約の解約です。

解雇は使用者側からの解約なので、労働者保護の観点から、労働基準法等で手続き・実体両面の規制がされています。

手続き面では、30日前に解雇予告するか解雇予告手当の支給を必要としています(労働基準法20条)。

実体面では、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法16条)。

また、業務上の災害・産前産後の休業およびそれらの後30日間は解雇が禁止されています(労働基準法19条)。

(4)定年制とは

定年制とは、労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が当然に終了する制度です。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」は、60歳未満の定年を基本的には無効(8条)としています。

また、65歳までの定年延長、継続雇用制度、定年の廃止のいずれかを実施するよう企業に義務付けています(9条)。

そして、定年制も「退職に関する事項」の一つなので、使用者は定年延長等の措置に伴って就業規則等の改正をする必要があります(労働基準法89条)。

さらには、待遇が60歳までの労働者と別異になる場合は、60歳を超える者の待遇を定める規定が定められていなければなりません。

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