労使協定の労働者代表はどう選出する?協定の更新手続きについても解説

労使協定

労使協定を締結する労働者代表は、労働者の過半数を占めている労働組合か、当該事業場の労働者の過半数を代表する者になります。

労働者代表は具体的にどのような方法で選出するのか?

労働者代表が退職してしまったら労使協定は再締結する必要があるのか?

締結した労使協定はすべて所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があるのか?

これから上記の点を解説していくので、ぜひご参考になさってください。

労使協定の締結方法に関する知識を身に着け、適切な方法で協定を締結・更新できるようになりましょう。

労働者代表の選出における疑問・注意点

回覧やメールで労働者代表を選出しても問題ないか

労使協定を締結する労働者代表は、労働者の過半数で組織している労働組合、それがなければ当該事業場の労働者の過半数を代表する者とされています。

労働者代表を選出する際は、回覧やメールによる選出であっても、以下の条件を満たしていれば問題ありません。

  • 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施すること
  • 上記の実施が投票、挙手等と同程度に民主的な手続きと評価される方法であること

親睦会の会長をそのまま労働者代表に選任してもよいか

親睦会の会長というだけでは、事業場の労働者から当該労使協定を締結するにふさわしい者としての選出がされていません。
したがって、親睦会の会長をそのまま労使協定の労働者代表にするのは適切ではありません。

ただし、労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして、投票、挙手等の民主的な手続きによる方法で選出すれば、その被選出者は、たとえ親睦会の会長であっても労働者代表となることができます。

任期制の労働者代表を選出しても問題ないか

個々の案件ごとに代表者を選出すると手間がかかるため、事業場に過半数組合のない企業において、任期を定めて代表者を選出しているところが多くあります。

その任期中は改めて選出手続きを経ることなく、その者が労働者代表として活動することを実施しています。

現行法では代表者の任期に関する規定は設けられていませんが、実務上は1年単位で労働者代表の任期を定めているところがほとんどです。

なお、現行法は一度の選出行為で複数の労使協定の労働者代表を選出することを禁止していません。
そのため、一定の合理的期間に予想される労使協定等を当該事業場の労働者にできるだけ明示した上で、一度の選出行為でそれら労使協定等の労働者代表を選出すること自体は違法ではありません。

その際、明示の対象は協定の種類と就業規則の種類とされています。

労働者代表の退職後は労使協定を締結し直すべき?

労働者代表が退職しても労使協定はそのままで問題ない

労働者代表が退職したとしても、新しく労使協定を締結し直す必要はありません。

労働基準法コンメンタール(厚生労働省労働基準局編)でも、「協定当事者の要件として要求している労働者の過半数を代表するという要件は、協定の成立要件であるにとどまり、協定の存続要件ではないと解されよう」と解釈されています。

なお、協定締結後に労働者代表が昇進して管理職となり、当人の適格性が失われることがあります。
その場合も、協定の有効期間中は効力が存続します。

もしも労働者代表がいなくなるのと同時に協定の効力が失われてしまうのであれば、協定を再締結するまでの間、使用者は労働者に対して残業などを命じることができなくなります。
それは合理的ではないため、協定を締結した後に労働者代表がいなくなった・適格性が失われたとしても、協定の効力が失われることはありません。

新入社員で労働者数が変動した際の協定再締結は不要

一方で、多数の新入社員が入社した結果、過半数の支持があるとは言えなくなることもあります。

しかし、労使協定を締結した後に労働者数が変動しても、協定を再締結したり再届出する必要はありません。

労働者数が増減する度に協定を締結し直すことになると業務に支障が生じます。
そのため、協定の有効期間内に多数の新入社員が入社したとしても、協定を締結し直す必要はありません。

労使協定はすべて届け出る必要がある?

36協定は届け出が免罰的効力の要件となる

労使協定には、当該事業場の所轄労働基準監督署長への届け出が必要なものと不要なものがあります。

届け出が必要なものでも、当該労使協定の免罰的効力(刑事罰を免れる効力)の効力要件であるものと効力要件でないものがあります。

36協定に関しては、所轄労働基準監督署長への届け出が効力要件となります。

各協定の届け出の要否などまとめ

労使協定には届け出る必要があるものと、届け出る必要が無いものがあります。

具体的には次のとおりです。

法定事項届出の
要否
届出は
効力要件か
有効期間の
定めの要否
任意貯蓄金管理協定
(労働基準法18条1項以下)
××
賃金控除協定
(労働基準法24条1項ただし書)
×××
1ヶ月単位の変形労働時間制
(労働基準法32条の2)
×
フレックスタイム制
(労働基準法32条の3)
△(*1)××
1年単位の変形労働時間制
(労働基準法32条の4)
×
1週間単位の変形労働時間制
(労働基準法32条の5)
××
一斉休憩の原則の適用除外協定
(労働基準法34条2項ただし書)
×××
時間外・休日労働協定
(労働基準法36条)
事業場外労働のみなし労働時間の協定
(労働基準法38条の2第2項)
△(*2)×
専門業務型裁量労働制
(労働基準法38条の3)
×
計画年休協定
(労働基準法39条6項)
×××
年休日の賃金を標準報酬日額とする協定
(労働基準法39条9項)
×××

*1 清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の届出が必要
*2 事業場外労働のみなし労働時間の協定は、みなし労働時間が法定労働時間以下であれば不要

届け出が必要な協定については、届け出が免罰的効力の効力要件ではないものも、届け出を怠れば罰則(労働基準法120条)の対象となります。

有効期間の定めが必要な労使協定においては、自動更新条項を定め、期間満了前に協定当事者の一方からの特段の申し出がない限り、同じ期間で更新される旨の定めを置くものが一般的です。

有効期間の定めのある労使協定は、更新ごとに独立の協定であり、届出義務も有効期間ごとに果たす必要があります。
そのため、自動更新条項があっても、更新の際には届け出を行わなければなりません。

なお、時間外・休日労働協定の場合には、更新する旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出れば問題ありません(労働基準法施行規則16条3項)。

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