労使協定を締結する「労働者」とは誰を指す?締結する方法なども解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

労使協定

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

会社に勤めていると、労働者と使用者で労使協定を締結する場合があります。

労使協定の締結に関わる「労働者」とは誰のことを指しているのか?

労使協定はどうやって締結して、どこに届け出る必要があるのか?

複数の労働組合があり、いずれも労働者の過半数を占めていない場合、労働者代表はどうやって決めるのか?

これから上記について解説していくので、最後までしっかりと目を通して知識を身に着け、労使協定問題に対して適切に対処できるようになりましょう。

労使協定締結における「労働者」には誰が含まれる?

「労働者」の定義を解説

労使協定の労働者側は、「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合」、そのような労働組合がない場合には「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」とされています。

この母体となる「労働者」とは、当該事業場において労働する労働基準法9条で定義されている労働者を意味します。

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

労働基準法9条

すなわち、労働契約によって労働力を締結している者はすべて「労働者」となります。

労使協定を締結する「労働者」の対象

労使協定における労働者代表の母体の「労働者」とされる対象は幅広いです。

たとえば、労働基準法36条の労使協定において、時間外または休日労働を考える余地のない者まで含めるのかについて、時間外労働または休日労働の対象となる労働者に限らないとしています(昭和46.1.18 基収第6206号)。

労使協定における労働者代表の母体の「労働者」の中には、管理監督者(労働基準法41条2号)、監視・断続的業務従事者(同条3号)、年少者(60条)などの労働基準法上特別扱いされている労働者も含まれます。

ただ、36協定の締結当事者となる過半数代表者には、管理監督者など経営者と一体的な立場にある人は選出しないほうが望ましいです(厚生労働省『36協定の締結当事者となる過半数代表者の適正な選出を!』H28.3)

また、正規労働者だけでなくパートタイム労働者、期間雇用労働者などの非正規労働者も広く含まれます。

加えて、取締役、監査役等企業の役員も、代表者の指揮命令に従って労務に従事し、その報酬として賃金が支払われているといった労働者としての実態があれば、「労働者」といえます。

さらには、雇用契約以外の請負解約や委任契約を締結している者も、当該契約が労働契約と判断されれば「労働者」に含まれます。

労使協定を締結する方法とは?

労使協定は事業場ごとに締結する

労使協定は、事業場の労使代表間で当該事業場の実情に即して締結することが要求されているので、締結単位は事業場ごととなります。

複数事業場を有する企業も、労使協定は事業場ごとに締結するのが原則です。

使用者・労働者の協定当事者と締結権者を解説

複数事業場を有する企業において、使用者側の協定当事者は企業自体です。

しかし、協定締結権者は、当該企業における権限分配に従って協定締結権限を与えられた者となります。
そのため、協定締結権者は必ずしも当該事業場に所属する者である必要はありません。

労働者側の協定当事者は、「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合」、また、そのような組合がない場合には「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」です。

当該事業場に労働組合の支部組織がある場合、協定締結権が組合本部にあるのか支部にあるのかが問題となります。
しかし、これは組合内部の権限分配の問題なので、当該組合の規約等に従って決められることになります。

労使協定で労基署長への届出が必要なもの

労使協定のうち、次のものについては、所轄労働基準監督署長への届出が必要とされています。

  • 任意貯蓄金管理協定(労働基準法18条第2項)
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制(32条の2)
  • 1年単位の変形労働時間制(32条の4)
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制(32条の5)
  • 時間外、休日労働協定(36条)
  • 事業場外労働のみなし労働時間の協定(38条の2第2項)

ここでいう「所轄」とは、各事業場の所轄ということなので、その届出は、複数事業場を有する企業でも事業場ごとに行うのが原則です。

ただし、時間外・休日労働協定については、本社と各事業所で協定内容が同一であれば、本社の所轄労働基準監督署長への一括届出が認められます。

また、任意貯蓄金管理協定についても、本社の所轄労働基準監督署長に本社分と他のすべての事業場分の届出書を提出した場合、本社分を受理し、他の事業場分を確認済みと明示することで、他の事業場の所轄労働基準監督署長の確認を経ずに受理してもらうことができます。

複数の労働組合がある場合、労働者代表はどう決める?

事業場に複数の労働組合があり、そのいずれも労働者の過半数を占めていない場合は、原則として、「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」を選出します。

この際、労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施すること、その実施が投票・挙手等の民主的な手続きによる方法で選出することが必要となります。

実際上は、それぞれの組合で候補者を立てて、非組合員の支持をも取り付け、どちらかの組合の候補者が過半数の信任を得て労働者代表に選出されることになります。

その結果、過半数の信任を得た労働者代表と企業が労使協定を締結すれば、信任を得た労働者の所属する労働組合の組合員はもちろん、労働者代表を選出できなかった方の労働組合の組合員に対しても、その協定の効果が及びます。

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執行委員岡野武志

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