配転命令が無効となる場合とは?配転は拒否しても解雇されない?

配置

経営危機下における配転命令には応じる必要があるのか?

配転命令が権利の濫用に当たり、配転が無効となるのはどういうときなのか?

夜勤への配転命令を拒否したとき、解雇されるのか?

これから配転命令に関する上記の疑問を解説していきます。

しっかりと最後まで目を通し、配転・異動に関する知識を身に着け、労働トラブルに対して適切に対応できるようになりましょう。

経営危機下における配転命令は有効?

経営危機下で配転命令が出された場合、職種や勤務場所が限定されていない労働者限定されている労働者とで取扱いが異なります。

職種や勤務場所が限定されていない労働契約の場合

経営危機下において命じられる配置転換は業務上の必要性が高いです。

そのため、就業規則等に基づいた使用者からの配置転換命令に労働者は基本的に応じる必要があります。

なお、職種や勤務場所が限定されていない労働者の場合は、労働者の合意なしに配転命令が発せられたとしても法律上問題ありません。

職種や勤務場所が限定された労働契約の場合

配転には労働者の同意が必要であり、使用者は労働者の同意を得ることなく一方的に配転命令を発することはできません。

このことは経営危機下でも同様で、経営危機にある状況でも労働者の同意なく配転命令が行われることはありません。

労働者は使用者から経営危機の状況を説明してもらい、配転に応じるかどうか判断をする必要があります。

職種限定の合意があっても配転拒否で解雇されうる

職種や勤務場所に限定の合意があるとしても、経営危機下において労働者が配置転換を拒否し続けた場合、当該労働者は解雇されることがあります。

なお、勤務場所や職種が限定された労働者が配置転換を拒否することは違法ではないため、懲戒解雇等を実施されることはありません。

ここでの解雇は整理解雇となります。

整理解雇が有効とされるためには、以下の4つの要件が必要と考えられています。

  1. 人員削減の必要性
  2. 使用者が解雇回避努力を尽くしたこと
  3. 被解雇者の選定が合理的なものであること
  4. 労働組合等に対して解雇に関する協議や説明を行ったこと

職種、勤務場所の限定がある労働者に配置転換の打診が行われることは、整理解雇の要件2.の「解雇回避努力義務の履行」として評価されます。

配転命令が権利の濫用になるのはどういうとき?

最高裁は、配転命令が権利濫用に当たるのかどうかを判断するための基準として、以下の3つを挙げています。

  1. 業務上の必要性の有無
  2. 業務上の必要性があったとしても、当該配転命令が他の不当な動機・目的等をもってなされているかどうか
  3. 業務上の必要性があったとしても、当該配転により労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益が生じているかどうか

(1)業務上の必要性のない配転命令

業務上の必要性について、最高裁でも高度の必要性は不要としています。

具体的に誰に対して配転命令を発するのかについては、会社側に大きな裁量があると考えられます。

よって、業務上の必要性が否定されるのは例外的な場合です。

過去の判例では、配転先で就いた営業業務については、営業成果が上がらないものであったり、 現地での作業業務も単純なものであったとして、「単身赴任や新幹線通勤をするほどの業務上の必要性はない」と認められなかった事例があります(NTT西日本(大阪・名古屋配転)事件 大阪高判平21.1.15)。

(2)不当な動機・目的等をもってなされた配転命令

不当な動機・目的をもってなされた配転命令の例としては、退職を強要する目的である配転命令業務命令に反抗する姿勢を示した労働者に対する配転命令等があります。

(3)通常甘受すべき程度を著しく超える不利益が労働者に生ずる配転命令


配転命令により労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益が生ずるとして権利濫用と判断された事例は、①労働者本人が病気の場合②家族に要介護者等がいる場合、の2つの場合があります。

どちらの場合も、労働者から申告がなければ使用者は知ることができない事情です。

したがって、労働者にこのような事情があり配置転換が困難である場合には、早期にその旨を使用者に申し出て、配慮策を検討してもらうことが必要です。

夜勤への配転命令を拒否しても解雇はされない?

配転命令の拒否は解雇理由となりうる

原則として、労働契約において、職種、労働の態様、場所等の労働条件が限定されていない限り、労働者は使用者からその配置を転換させられることがあります。

そして、配置転換命令等の業務命令を労働者が拒否することは、懲戒解雇理由になり得ます。

そこで今回の場合、深夜業のある夜勤に配転しないとの合意が使用者と労働者との間にあるかどうかが問題となります。
深夜業に配置転換しないとの明示または黙示の合意が労使間にあった場合には、命令を拒否したことを理由に解雇が行われることは許されません。

ただ、一般的には、労働者との間で深夜業のある夜勤には従事しないとの合意が労働契約においてなされていることは稀です。

そのため、使用者は就業規則等に基づき、権利の濫用に当たらない限り深夜業のある夜勤に配置転換を命令することができ、これを労働者が拒否することは解雇理由となり得ます。

女性労働者が夜勤に配転されるのは適法

なお、以前は労働基準法において、女性労働者が深夜業に従事させられることは原則として許されていませんでした。

しかし、この規制は平成11年3月31日をもって撤廃され、女性労働者についても深夜業を命じられることは適法となりました。

スマホで入れる「無料オンライン労働組合」

職場改善をはじめよう

専門家が作る職場改善の通知を無料で送ることができます

不当解雇・失業の無料電話相談