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従業員が失踪したり、私生活上で非行を行った場合、懲戒処分がなされるケースがあります。
懲戒解雇がなされた場合、解雇予告手当や退職金は支給されるのか?どういった条件を満たすと失踪や私生活上の非行で懲戒の対象になってしまうのか?といったことなどをこれから解説していきます。
最後までしっかりと目を通し、懲戒処分に関する知識を深めていきましょう。
目次
基本的には、就業規則において「2週間以上無断欠勤が続いた場合は当然退職とする」などの規定を有している会社が大半です。
通常は労働者に解雇の意思表示が到達しなければ使用者は当該労働者を退職させられませんが、この規定によれば意思表示が到達しなくても、使用者は当該労働者を退職させることができます。
就業規則に無断欠勤時の解雇の規定がなかったとしても、基本的には2週間以上無断欠勤が続けば正当な解雇として認められます。
解雇とは、労働者との労働契約を終了させる使用者からの意思表示です。
隔地者に対する意思表示は、労働者に到達したときに効力を生じます(民法97条1項)。
労働者に到達したといえるためには、必ずしも労働者がその通知を受領して認識したことを必要としません。
民法97条2項でも「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。」とされています。
解雇通知が労働者の勢力範囲に入り、了知可能な状態に置かれた時点で到達を認める裁判例もあります。
たとえば、「不在配達通知書の記載などから内容を十分に推知することができて、受取方法を指定すればあまり労力をかけずに郵便物を受領することができた」などの事情がある場合は、労働者が解雇通知を受け取っていなかったとしても、解雇通知が到達したと認められる可能性があります。
なお、労働者が所在を明らかにしていなくても、公示送達で意思表示が行われる場合があります(民法98条1項)。
公示送達では、簡易裁判所に申し立てられ、裁判所の掲示板に掲示され、官報に少なくとも1回掲載されることになります。
この手続きを経て、最後の掲載から2週間を経過したときに到達したとみなされます。
労働者の私生活に関して、使用者から懲戒処分を行われることは原則ありません。
しかし、私生活と業務とを明確に区分できないこともあり、純然たる私生活上の行為であっても会社に相当の不利益が及ぶこともあります。
したがって、一定の場合には、私生活上の非行であっても懲戒の対象となりえます。
裁判例では、私生活上の非行が懲戒の対象となる一定の場合について、次のような場合を挙げています。
なお、私生活上の非行を懲戒の対象とできる場合であっても、相当性は厳しく問われます。
処分が下されるとしても、その処分内容は事案に即し、かつ原則としては軽度なものにとどめられるでしょう。
懲戒解雇では、解雇予告手当が支払われない場合が多くあります。
労働基準法20条1項但書にある通り、「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇される場合」においては予告または予告手当の支払を要しないため、懲戒解雇の場合は基本的に解雇予告手当が支払われることがありません。
懲戒解雇の場合に、退職金を不支給または減額と定めている就業規則が多くあります。
しかし、懲戒解雇だからといって、当然に退職金の不支給または減額ができるわけではなく、退職金が有する功労報酬的性格に応じた限定解釈が必要となります。
退職金の性格からは、退職金不支給規定を有効に適用できるのは、労働者のそれまでの勤続の功を抹消ないし減殺してしまうほどの著しく信義に反する行為があった場合に限られるでしょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。