産前産後休暇の取り方・仕組みを解説|手当てはいくらもらえる?

育児・産休

女性労働者が出産することになった場合、産前産後休暇を取得することができます。

これから産前産後休暇中の賃金や出勤日数の取り扱いはどうなるのか、出産・育児に関する手当ては何がもらえるのか、ということなどを解説していきます。

最後までしっかりと目を通し、出産・育児に関する制度を学んでいきましょう。

出産に関する制度・休暇は何がある?

出産する女性を保護するための制度

女性の出産に関しては次のように、様々な保護のための制度があります。

  1. 有害業務の禁止
  2. 深夜労働等の制限
  3. 保健指導・健康審査の時間等
  4. 出産手当金
  5. 育児休業給付
  6. 育児休業
  7. 健康保険料・厚生年金保険料の免除

産前休暇とは

産前休暇とは、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から女性労働者の請求によって開始される休暇です。

産前休暇は強制的な休暇ではないので、使用者から休暇を命令されることはありませんが、本人が請求すれば必ず与えられる休暇です。

実際の出産が予定日より早ければその分休暇期間が短縮され、逆に予定日より遅れた場合は延長されます。

なお、出産当日は産前休暇に含まれます。

産後休暇とは

産後休暇とは、実出産日の翌日から与えられる8週間の休暇です。

このうち6週間は強制的な休暇なので、使用者から就業を命令されないのはもちろん、女性労働者が働きたいと申し出ても就業することはできません。

6週間経過後は、本人が請求すれば、医師が健康上問題ないと認めた業務に限り就業させることができます。

この場合、本人が働きたいと申し出ていないのにも関わらず、使用者の方から就業を命令することは当然できません。

なお、ここでの「出産」とは、妊娠4ヶ月以上の分娩をいうので、死産や流産、妊娠中絶の場合も、妊娠4ヶ月以上であれば産後休暇が与えられます。

産前産後休暇期間中の賃金・取り扱い

休暇期間中の賃金

産前産後休暇期間中の賃金の取り扱いについて、法律では特に定められていません。

そのため、就業規則等で「有給」と定められていない限り、賃金を請求することはできません。

ただし、女性労働者が健康保険に加入していれば、通常、休暇期間中の所得保障として出産手当金が支給されます。
しかし、休暇期間中に会社から賃金が支払われた場合は、支払われた額に応じて出産手当金が減額調整されます。

なお、休暇期間中の労働者負担の社会保険料を会社に負担してもらった場合も、その負担分は賃金とみなされ減額されますが、出産祝い金などの恩恵的なものは減額の対象にはなりません。

産前産後休暇中の取り扱い

労働基準法では、6ヶ月以上継続勤務し、出勤率が8割以上の者に対して年次有給休暇を付与することと定めています。

この出勤率を計算する際に産前産後休暇を欠勤扱いにすると、休暇を取った女性は出勤率が8割以下となり、年次有給休暇を取得できないことになります。

そこで、労働基準法では、産前産後休暇は出勤したものとみなして計算しなければならないとしています(39条10項)。

また、解雇予告手当や休業手当などの金額を計算する際に使う「平均賃金」を算定する際にも、産前産後休暇を取ったことが不利に働かないように、その休暇期間中をはずして計算しなければなりません。

産前産後休暇に伴う解雇制限

女性労働者が産前産後休暇中およびその後30日間は、使用者から解雇されることはありません。

これは非常に強い強行規定です。
会社が経営難に陥っている場合や、業務上横領など明らかに労働者側に責任があり懲戒解雇に当たるような場合でも、この期間中に解雇されることはありません。

ただし、打切補償が支払われた場合や、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇が認められます。

この「やむを得ない事由」とは、会社が火災で焼失した場合や、震災による倒壊で事業の継続が不可能となった場合をいいます。

なお、派遣社員の場合、労働契約と派遣契約は別のものなので、産休中に派遣先から契約を解除されても、労働基準法上は問題ありません。

しかし、派遣先から契約を解除されたとしても、派遣元は派遣スタッフと直接労働契約を結んでいます。
そのため、その派遣スタッフは産前産後休暇中およびその後30日間は派遣元から解雇されることはありません。

出産・育児に関する手当て

出産育児一時金とは

出産をした場合、出産は病気ではないので通常の療養の給付は支給されず、出産育児一時金という給付が支給されます。

出産育児一時金は、健康保険の被保険者が出産した場合に、子供1人につき42万円が支給されます。

この給付は妊娠4ヶ月以上の場合が対象で、流産や死産の場合でも4ヶ月以上妊娠していた場合には支給されます。

なお、帝王切開などの異常出産の場合は、療養の給付が行われ、同時に出産育児一時金も支給されます。

また、被保険者が男性の場合で、その配偶者が出産した場合でも家族出産育児一時金として支給されます。

なお、出産育児一時金は健康保険から医療機関に対して直接支払われます。
実際にかかった費用が42万円を超える場合は、本人が医療機関に差額を支払い、42万円未満の場合には、後日残りの額を医療保険者に請求することになります。

また、退職などで健康保険の被保険者の資格を喪失する場合、その喪失日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人が、資格喪失の日後、6ヶ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

ただし、退職後の給付は被保険者に限られているので、被保険者である夫の資格喪失後に被扶養者である妻が出産した場合は、家族出産育児一時金は支給されません。

また、健康保険に加入していた妻が資格喪失後に、夫の被扶養者になってから出産した場合、本人の資格喪失後の給付と、家族出産育児一時金の両方の受給資格がありますが、両方を重複して請求することはできません。

育児休業給付とは

育児休業給付とは、1歳(場合によっては2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、育児休業を開始してから180日目までは、休業開始前の賃金の67%が支給される制度のことです。

育児休業を開始してから181日目からは、休業開始前の賃金の50%が支給されます。

なお、母親の産後休暇(出産日の翌日から8週間)は育児休業給付金の支給対象となる育児休業の期間に含まれない点にご注意ください。

また、育児休業給付を申請する際は、通常、事業主が事業所の所在地を管轄するハローワークに「育児休業給付金支給申請書」を提出します。
(被保険者本人が自ら申請手続を行うことを希望する場合は、本人が申請を行うことも可能です)

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