【能力不足・遅刻欠勤・傷病編】その解雇、不当解雇で無効かも?

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能力が不足してる、勤務態度が悪い、仕事ができるレベルに達していない…そんな理由で解雇を告げられることが、会社ではしばしば起こりえます。

そのように言われてしまうと、こうなったのは自分のせいだとご自身を責め、解雇を受け入れてしまう方がほとんどです。

ですが実際には、そのような能力不足などを理由とする解雇は無効となる可能性があることをご存知でしょうか。

この記事では、①能力不足、②遅刻欠勤が多い、③就労障害がある、この3つの理由にわけて、解雇が無効となる可能性を検討していきます。

そもそも解雇が無効になることはあるの?

解雇する、と言われて頭の中が真っ白になってしまい、どうしたらいいのかわからなくなってしまうこともよくあります。

解雇と会社が言っているのだから従わなければ、と思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。

告げられた解雇理由が無効事由にあたらないか、チェックしてみましょう。

解雇とはどういうこと?

解雇とは、使用者(会社など)が一方的に行う労働契約の解約の意思表示です。

例えば期間の定めのない雇用契約の場合、会社はいつでも解約の申し込みをすることができ、解約申し入れから2週間の経過によって雇用契約は終了するものと定められています(民法627条1項)。

ですが、雇用契約は労働者の生活の基盤なので、使用者が安易に労働者を解雇することが許されると、労働者は安心して働くことができなくなります。

そこで、労働基準法や労働契約法、男女雇用機会均等法など、様々な法律が「このような理由/条件で解雇をしてはいけない」という制限を設けており、民法より優先的に適用されています。

解雇が無効となる条件は?

実際の解雇の制限として代表的なものとして、労働契約法16条は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」ことを定めています。

このとき、会社側が解雇について客観的に合理的な理由があることを主張・立証できなければ、解雇は無効となります。

また、その他の解雇が無効となる条件について、以下のようなものがあります。

  • 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
  • 業務上の疾病による休業期間及びその後30日間の解雇
  • 産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇
  • 解雇の予告又は解雇予告手当の支払いを行わない解雇
  • 女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇

解雇権の濫用とは?

会社は、労働者を解雇する権利(解雇権)を持っています。

ですが解雇に①客観的に合理的な理由がなかったり、②社会通念上相当であると認められないような場合には、その権利を濫用したものとして、解雇は無効となります。

解雇が無効となった場合、職場復帰が可能となるほか、会社から和解金などを受け取って退職することもできます。

能力不足を理由とする解雇

労働者の能力不足を理由とする解雇であっても、その解雇が、客観的に合理的であれば、有効な解雇として認められます。

どの程度の能力不足であれば客観的に合理的といえるかは、労働者の能力不足が解雇により労働者の生活基盤を奪うことになってもやむを得ないと考えられる程度のものかどうかによって判断されます。

能力不足と言われたときに検討する要素

能力不足で解雇を言い渡されたような場合は、能力不足が労働者の生活基盤を奪うことになってもやむを得ないと考えられる程度のものなのか、ということを確認しながら判断します。

実際には、以下のようなものが考慮要素となります。

  • 労働者は新卒者か中途採用者か
  • 採用時に一定の能力が前提とされていたかどうか
  • 労働者の成績、能力が解雇もやむを得ないと考えられるほど低いかどうか
  • 労働者の能力不足等が、就業規則上解雇事由となっているかどうか
  • 能力不足が原因で、業務に支障が生じたこと
  • 能力不足について注意、指導があったかどうか

例えば労働者が新卒者である場合、最初から業務を一人前にこなすだけの能力を持っているはずがないため、会社が新卒者をある程度時間をかけて指導し、成長させることが予定されています。

ですので、新卒者が能力不足を理由に解雇されると無効が認められやすく、一方で中途採用者の場合は新卒者よりは無効が認められにくい、ということになります。

遅刻欠勤を理由とする解雇

遅刻、欠勤、早退があまりにも多いと、職場の規律を乱すとして解雇が言い渡される場合があります。

なお、この記事ではいわゆる懲戒解雇ではなく、普通解雇の理由として遅刻、欠勤、早退が挙げられた場合を考えています。

遅刻欠勤による解雇のときに検討する要素

実際に遅刻や欠勤を理由として解雇を言い渡された場合、下記に述べることを確認して、解雇が無効とならないかを判断します。

  • 遅刻、欠勤、早退の程度や頻度
  • 遅刻、欠勤、早退が多いことが就業規則上解雇事由となっているか
  • 遅刻、欠勤、早退が無届けでなされるなど悪質であるか
  • 遅刻、欠勤、早退の理由が身勝手であったり、虚偽であるなど悪質かどうか
  • 遅刻、欠勤、早退が原因で業務に支障が生じたかどうか
  • 遅刻、欠勤、早退の多さについて労働者への注意が行われ、指導されたが改善しなかったかどうか

実際のところ、遅刻や欠勤が多いことだけを理由とする解雇は、無効となる可能性が高いです。

特に、会社側からの注意があったか、改善の機会が与えられたかということは無効を判断するうえで非常に重視されます。

傷病・障害を理由とする解雇

労働者の傷病や障害があり、就業に支障がある場合にも会社側は労働者を解雇することができます。

ただし、「業務上負傷し、または疾病にかかり療養のため休業する期間およびその後の30日」は、会社がやむを得ず事業継続不可能となった場合や、労働者が打切補償を支払ってもらわない限り、解雇されることはありません。(労働基準法19条1項)

傷病・障害による解雇のときに検討する要素

通常、労働者が就労に支障をきたすような怪我を負った場合、休業制度に基づく休暇を与えることが一般的です。

ですが休暇を十分とってもなお業務が遂行できない場合には、解雇が検討されることもあります。

傷病・障害を理由とする解雇がなされた場合、その無効かどうかの判断について以下のようなものが考慮要素となります。

  • 傷病または障害の程度が業務に耐えられないほど重篤であるか
  • 労働者の就労障害が就業規則上解雇事由となっているか
  • 労働者の傷病または障害に配慮するなど解雇を回避する努力をしたか
  • 業務上の負傷、傷病ではないか

会社側の配慮として、例えば産業医から意見を取得し、時間外勤務や重作業を禁止または軽減する、より負担の少ない業務へ配置転換することなどが考えられます。

そのように労働者に対する配慮が行われたものの、それでも対応しきれず解雇に至ったような場合には、解雇無効を認めてもらうのは難しいもしれません。

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