その懲戒解雇、実は不当解雇かも?解雇が無効になる3ポイント

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

会社から業務態度不良などで「明日からもう来なくていい」と言われてしまった……そんな突然の言い渡しをされたら誰しも不安になるものです。

ですが実は、そのような一方的な「解雇」は非常に条件が厳しく、そう簡単には認められないものであることはご存知でしたでしょうか。

この記事では解雇のなかでも「懲戒解雇」を言い渡されてしまった方に対して、その解雇は本当は無効なのではないか?と疑うための確認事項を紹介しています。

今一度、ご自身の解雇が果たして本当に有効なのかどうか、確認してみましょう。

懲戒解雇が違法な不当解雇になる条件は?

社内でサボっていたのがバレてしまって、もう来なくていいと言われてしまった…そんな状況になった時、残念だけどサボっていたのは自分だから仕方ない、と思われる方は多くいらっしゃいます。

ですが実際は、会社が労働者を一方的に解雇するのはそうそう簡単には出来ないということを、まず知っていただけたらと存じます。

そもそも懲戒解雇って何?どうやって判断する?

懲戒解雇とは、従業員が企業の秩序を乱すような行為をしたとき、会社がそれに対する処罰として一方的に労働契約を終了させることをいいます。

企業の秩序を乱すような行為とは、経歴詐称、度重なる遅刻や無断欠勤、社内での犯罪行為などを指します。

よく「解雇されたが、これは懲戒解雇なのだろうか?」とご不安なままの方もいらっしゃいます。

懲戒解雇かどうかは、解雇を言い渡されたときや離職票に記載してある離職理由を参考にして判断しましょう。

懲戒解雇が無効と判断されやすい理由とは?

懲戒解雇は、懲戒処分のなかでも最も重い処分であり、退職金の全部または一部の不支給や、解雇予告手当の不支給などを伴うことが多く、労働者にとって極めて重大な影響を及ぼす処分です。

また、労働者の経歴にも傷が付くことになり、再就職にも深刻な影響を及ぼすため、裁判所は懲戒解雇の有効性を厳格に審査する傾向にあります。

そのため、懲戒解雇という重い処分は妥当ではなかった、として懲戒解雇が無効と判断されることもよくあるのです。

懲戒解雇されたときにチェックすべき3ポイント

懲戒解雇は、以下の3つの要件を満たしていなければ有効とは言えません。
また、その主張・立証責任は会社側にあります。

  1. 就業規則(労働契約)において、懲戒処分の根拠が明記されている
  2. 従業員の行為が懲戒処分の根拠に該当すること
  3. 懲戒解雇が相当であること

これらの要件が充足されていない場合は、懲戒解雇が違法・無効となります。

具体的には、就業規則に無い理由で懲戒解雇をされたとき、比較的軽微な理由で懲戒解雇をされたときなどは解雇無効となりやすいです。

懲戒解雇の手続きが不適切なとき

懲戒解雇を行うにあたり、適切な手続きがとられていない場合には、懲戒権の濫用として、当該懲戒解雇が無効と判断されることがあります。

会社側がどのような手続きを踏まなければいけないのかということについては、就業規則や労働協約に懲戒処分を行うにあたっての手続きが定められているかどうかによって変わってきます。

懲戒解雇の手続き規定がある場合

就業規則や労働協約に手続きが定められている場合は、その手続きに従って懲戒解雇を行う必要があります。

仮に以下のような事実があると、懲戒解雇が無効と判断されやすくなります。

  • 就業規則、労働協約の規定と異なる手続きによって懲戒解雇がなされた
  • 懲戒解雇をするにあたって、理由の説明がなされなかった
  • 弁明する機会を与えられなかった
  • 設置された懲罰委員会が開かれていない

懲戒解雇の手続き規定がない場合

一方、特に手続きが定められていない場合には、最低限本人に対して弁明の機会を与えることが必要です。

そこで労働者側としては、以下のような事実を確認していく必要があります。

  • 実際に弁明の機会は十分与えられたか
  • 機会付与の際に通知はあったか
  • 弁明内容を示した議事録などはあるか
  • 実質的に弁明の機会を与えた、と言える事情はあるか

懲戒解雇を言われたタイミングで解雇無効になる?

通常、労働者を解雇しようとするときは、遅くとも30日前までに解雇予告を行うか、30日に足りない日数ぶんの平均賃金に相当する解雇予告手当を支払わなければなりません(労働基準法20条1項)。

例えば20日前に解雇予告を行うのであれば10日ぶん、当日に即日解雇するのであれば30日ぶんの解雇予告手当を支払う必要があります。

ただし例外的に、労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合で、かつ労働基準監督署に「解雇予告除外認定申請書」を提出して認定を受けていれば、解雇予告義務が除外されることとなっています。

労働者の責めに帰すべき事由とは、労働者が予告期間を置かずに即時に解雇されてもやむを得ないと認められるほどに重大な服務規律違反または背信行為があることが必要です。

懲戒解雇の理由を後付けされたとき

懲戒解雇の処分後、会社が別の新たな理由を事後的に追加して、懲戒解雇に至ったことを正当化しようとすることがあります。

例えば、不正行為で懲戒解雇された後で、会社がさらに遅刻や無断欠勤を理由として後付けすることなどが挙げられます。

判例は、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、懲戒の有効性を根拠付けることはできないとしています。

具体的には、後から追加された処分理由が追加前のものと密接な関係を持っていたり、懲戒当時から会社がその理由を知っていたことを示す議事録などの証拠がなければ、手続き上の違法が認められる可能性があります。

懲戒解雇の処分が不相当に過大なとき

先にも述べた通り懲戒解雇は非常に重い処分ですから、従業員の行為が相当に批難されるべきものでなければ、解雇無効となる可能性が高まります。

それでは、実際にはどのような理由であれば、懲戒解雇は不相当であるといえるのでしょうか。

解雇以外の懲戒処分にはどのような種類がある?

懲戒解雇は懲戒処分のうち、最も重い処分です。
ですから、懲戒処分に至った理由が比較的軽いものであれば「懲戒解雇よりもっと軽い処分が相当」として、解雇無効となることがあります。

実際の懲戒解雇以外の懲戒処分として、以下のような処分が挙げられます。

  • けん責、戒告(将来に向けての注意)
  • 減給(賃金から一定額を差し引く)
  • 降格(役職、職位、職能資格などを引き下げる)
  • 出勤停止(就労を一定期間禁止にする)

懲戒解雇が許されないような理由とは?

懲戒解雇はいわば会社側の最終手段ですから、懲戒解雇以外には選択肢は存在しなかった、と言えるような事情がなければ許されるべきではありません。

具体的には、特に会社から注意をするなどの行動がなかった、事前に軽い懲戒処分を行うなど段階を踏まずいきなり懲戒解雇が言い渡された、単純な遅刻や欠勤などの理由による懲戒解雇は、不合理であり許されません。

一方で、再三の注意・軽い懲戒処分を行ったが改善される様子がなかった、会社の売上を着服した、社内で刑法上の犯罪行為を行ったなどの特別な事情があれば懲戒解雇も許される可能性があります。
なお、これらの事情は会社側が証明する必要があります。

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執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。