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会社を退職した、あるいはまだ在職しているけれども働いたはずの残業代が出ない、ということでお困りではないでしょうか。
定時を過ぎるとタイムカードが押せないようにしてある、固定残業代が支払われているから、管理職扱いだから…そんな様々な理由をつけて、残業代を支払おうとしない企業も、悲しいことに珍しくはありません。
ですが残業代の支払いは、労働基準法で明確に認められたもので、長時間働く労働者の保護という側面もあります。
この記事では、実際の残業代請求の方法からその金額の計算方法、請求に付随する疑問について解説しています。
目次
一口に残業代請求と言っても、すぐに裁判を起こす、というわけではありません。
実際にはその前に、一定の形式にのっとった会社への残業代請求、その後の話し合い、労働審判などの手続きで未払いの残業代を獲得できるケースもあります。
それぞれ、どのような方法なのか見てみましょう。
まずは会社に対して、「〇〇円の未払い残業代を支払え」という通知書を内容証明郵便で送ることが考えられます。
内容証明郵便とは、誰が、誰宛に、いつ、どのような内容の手紙を出したのかということを、郵便局が公的に証明してくれるものです。
さらに料金を上乗せして、配達証明付きとすれば、相手に何月何日に配達したのかを郵便局が差出人にはがきで証明してくれます。
内容証明郵便を送ることで、以下のような効果を得ることができます。
内容証明郵便を送ると、その後会社との話し合いの場を持てることがあります。そこで要求通りの支払いを認めてくれるのであれば残業代請求は終了します。
ですが金額や、支払いをするかどうかで争いがある場合には労働審判などの法的手続きをとる必要があります。
労働審判制度とは、解雇や給料の不払いなどの労働トラブルを、裁判よりも迅速、適正かつ実効的に解決することを目的として導入されたものです。
労働審判は通常の裁判とは異なり、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人(労働者側・会社側)による労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で、個別労働紛争を審理します。
労働審判委員会は適当な頃合いに調停を試み、仮に調停による解決へと至らない場合には、トラブルの実情に即した柔軟な解決を図るために労働審判を行います。
このようにして出された調停や労働審判の内容は、確定すれば裁判上の和解と同じ効力があり、これを理由に強制執行を申し立てることもできます。
ただし、労働審判に対して当事者どちらかからの異議申立てがあれば、その労働審判は効力を失い、労働審判事件は訴訟に移行することになります。
少額訴訟とは、民事訴訟のうち60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続きのことをいいます。
つまり請求しようと思っている未払い残業代が60万円以下であれば、少額訴訟を利用することができます。
少額訴訟には、通常の裁判と異なり、以下のような特徴があります。
会社側との話し合いや労働審判によっても和解に至れなかった場合は、訴訟(通常の民事訴訟)を行うこともあります。
手続きは労働審判などに比べると非常に煩雑になりますが、割増賃金と同額の付加金・遅延損害金もあわせて請求することができます。
よって、手元に証拠が十分に揃っており、確実に未払い分を請求したい場合には訴訟に踏み切るのも有効です。
実際に残業代を請求する際は、「〇〇円の残業代を請求する」と具体的な金額を示さなければなりません。
月給制の場合に、実際にそれを計算するときは、以下の計算式が用いられます。
残業代=(時間外手当の計算基礎賃金/1カ月の平均所定労働時間数)×残業時間数×割増率
それぞれ、どのような数字が入るのか見てみましょう。
時間外手当の計算基礎賃金とは、各種手当を含めた給料(月給制の場合は月給)のことを指します。
なお、以下のものは労働と直接的な関係が薄いことから、月給から除外されます。
1カ月ごとの所定労働時間数は、次のようにして求められます。
所定労働時間数=(365日-年間総休日日数)÷12月×1日の所定労働時間数
残業の場合は、通常の労働時間のものよりも割増された賃金が支払われます。
具体的には、最低でも下記の数値以上の割増を行わなければなりません。
もしも時間外労働かつ深夜労働のときは×(1.+0.25+0.25)、休日労働かつ深夜労働のときは×(1+0.25+0.35)が割増率となります。
なお、2023年4月から施行される改正では、月に60時間を超える時間外労働に関しては、その部分の割増率が50%になり、「時間外労働×(1+0.5)」の計算となります。
基本的には、残業時間が何時間かはタイムカードの打刻時間によって判断されます。
会社側が命令して労働者を残業させていたり、直接命令しなくても、通常の労働時間では終了しないと考えられる膨大な量の業務を命令していた場合には、その時間については割増賃金の支払いをしなければなりません。
ですが、以下のような「残業したことを疑わせる事情」があるときには、残業代が減額されることがあります。
残業代請求の方法・金額の計算式の他にも、残業代請求にあたって様々な疑問が浮かんできて、請求が億劫になってしまうかもしれません。
そのため、そのうち代表的な疑問にお答えしていきましょう。
企業を退職した後でも、残業代請求について時効が成立するまでは、未払い分の金額を請求することが可能です。
具体的な時効期間については、以下のようになっています。
派遣労働者やアルバイト・パートも、正社員と同様に残業代を請求することができます。
派遣労働者の時間外労働については、派遣元がその責任を負うことになっていますので、残業代は派遣元に請求することになります。
①派遣元の就業規則に残業の規定がない、②派遣元が36協定を締結していない、③派遣先の「就業条件明示書」に残業の記載がない、などの場合に残業を命じられたとしても、その命令は違法となります。
残業代請求における債務不存在確認訴訟とは、会社側が原告となり、未払いの残業代が存在しないことの確認を求めて提起する訴訟をいいます。
このとき、債権者である被告が債権発生事実について証明責任を負うとされているので、未払い賃金があるという事実を、労働者が立証しなければなりません。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。