不当解雇・退職勧奨の
お悩みお聞かせください
※受付のみの時間帯がございます
雇用保険から給付される基本手当(失業保険)は、求職中の離職者の強い味方です。
しかし、その受給にあたっていくつかの条件があるほか、給付までの期間やその後の受給金額は離職理由でも左右されます。
会社から不当解雇された場合、失業保険の受給の面で有利な取り扱いが受けられるかもしれません。ご自身が失業保険を受け取ることができるのか、いつまで受け取ることができるのか、受給の流れや手続きなど、失業保険の条件にまつわる疑問にお応えします。
目次
失業保険をもらうためには、雇用保険に一定期間加入しておかなければなりません。
失業保険の給付に必要な雇用保険の加入期間は自己都合退職と会社都合退職で変わってきますので、ご自分がどちらに該当するか確認してください。
定年退職、退職勧奨の場合もまとめていますので、あとで困らないためにぜひご覧ください。
転職や結婚・引越し・家庭の事情などで退職する自己都合退職の場合、失業保険の受給をするためには、離職の日より前の2年間に、通算12カ月以上の雇用保険加入期間があることが必要です。なお、離職日から1カ月ごとに区切った期間における賃金支払い日が11日以上の期間のみを「1カ月」と計算します。
雇用保険加入の条件は?
雇用保険に加入する条件は①31日以上の雇用見込みがあり、②1週間の所定労働時間が20時間以上であることです。会社は①②の基準を満たす労働者を、被保険者としてハローワークに届け出ます。労働者は本人確認書類をハローワークに持参することで、自身が雇用保険に加入しているかを確認できます。
会社側の倒産・経営不振・解雇(懲戒解雇を除く)・ハラスメント・過度な残業による疲労などで退職する会社都合退職または特定理由資格者の場合、離職の日より前の1年間に、通算6ヶ月以上の雇用保険の加入期間が必要です。雇用保険に加入する条件は自己都合退職の場合と同様です。
なお、倒産や解雇といった会社都合による離職者は「特定受給資格者」といい、自身の傷病や家族の介護といった特定の理由によって自己都合退職した離職者は「特定理由離職者」といいます。
定年退職した方の退職理由ついては、自己都合退職と会社都合退職両方に該当しえます。ご本人が継続雇用を希望せずに定年退職した場合は、自己都合退職となります。一方で本人が継続雇用を希望したにも関わらず再雇用されなかった場合は、会社都合退職または特定受給資格者に該当することがあります。
退職勧奨の場合は?
退職勧奨に応えて退職された場合は、原則として特定受給資格者(会社都合退職)として扱われます。例外として、早期退職優遇制度に応募した場合は会社都合退職とはなりません。なお退職勧奨の旨が離職票に書かれていない場合は、ハローワークに異議申立てをして退職理由の訂正を試みることが可能です。
雇用保険の加入期間が条件を満たしていれば、失業保険を受け取れることが分かりました。
次に気になるのが、失業保険の申請の期間や給付日数です。
給付日数については、自己都合退職と会社都合退職、雇用保険の加入期間、年齢で変わってきます。
失業保険受給中にアルバイトをする場合、不正受給にならないよう注意しなければなりません。詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
失業保険は離職から1~2ヶ月以内に申請の手続きをすることが望ましいです。厳密には、失業保険をいつまでに申請しなければならないという決まりはありません。ただ、そもそも失業保険を受けることができるのは、離職した日の翌日から1年までと決まっています。給付日数が180日だったとしても、離職日の11か月後に申請をすれば、1か月間しかもらえないことになります。給付日数によりますが、早めに申請を行わなかったため失業保険が満額受け取れないこともあるということです。
なお一部例外があり、給付日数が330日の場合は、給付を受けることができる制限が30日延びます。最大で1年間+30日の枠内で、給付日数に従って失業手当を支払ってもらえることになります。不安がある場合は、実際に失業保険の手続きをする際に、ハローワークで具体的な状況を伝えて質問をしてみましょう。
自己都合退職の方の給付日数は、雇用保険の加入期間によって異なります。1年未満は受給することができず、1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日となっています。65歳未満であれば、離職時の年齢は考慮されません。
会社都合退職の場合は?
会社都合退職の方の給付日数は、雇用保険加入期間と離職時の年齢によって、90日~330日の間で決定されます。雇用保険加入期間が1年未満であると共通して90日、それ以降は加入期間が長いほど・年齢があがるほど(60~65歳の方はやや低くなります)所定給付日数が長くなります。
その他の給付日数の基準として、65歳以上の離職者は雇用保険加入期間1年未満で30日分・1年以上で50日分が一括で支払われます。障碍者など就職の困難な方については、雇用保険加入期間1年未満で150日分、1年以上で45歳未満だと300日・45歳以上65歳未満であると360日分が支払われます。
なお2021年1月26日現在、新型コロナウィルス感染症の影響により離職を余儀なくされた特定受給資格者及び特定理由離職者(雇止めの場合に限る)の方は給付日数が原則60日延長されます。
失業保険申請後には、まず7日間の「待機期間」があります。この期間中にアルバイトをすると、その期間だけ待機期間が延長されます。働いたことを申告せずに失業保険を受け取ろうとすると不正受給となり、給付金を受ける権利を失います。さらに不正受給した額の3倍の納付を命じられることもあります。
どうやって申告する?
自己都合退職の場合、その後に2ヶ月の「給付制限期間」があります。この期間はアルバイトすることができますが、収入の有無にかかわらず、失業認定申告書でアルバイトした日などを正確に申告しなければ不正受給となります。また雇用保険加入条件を満たすときは、別途就職の手続きが必要となります。
失業保険を受給している「受給期間」もアルバイトをすることができます。なお失業認定申告書でアルバイトしたことの記載・申告が必要です。申告しなかった場合は不正受給となります。支給金額はアルバイトによる収入額が差し引かれたものになり、差し引き分は受給期間満了後に受け取ることができます。
ハローワークで失業保険を申請してから受給するまでの流れをご説明します。
会社が離職票を出してくれない場合、焦ってしまいますよね。
離職票なしでも失業保険がもらえるのか、確認しておきましょう。
ハローワークでの求職活動についてや失業認定日の手続きについてもまとめています。事前に知っておくと気持ちに余裕もできますよ。
失業保険を受給するには、失業の状態で(1)必要書類をハローワークに持参して求職手続きを行い受給資格を得る、(2)雇用保険説明会へ行く、(3)求職活動をしつつ失業認定日にハローワークに行く、という一連の手続きが必要となります。
離職票がない場合は?
まずは離職票を会社から受け取った後、以下を持参して住所を管轄するハローワークに行き、受給資格取得の手続きを行います。
持参物
なお、離職票の交付手続きは会社に行ってもらう必要があります。
会社が「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」をハローワークに提出すれば、後日ハローワークから会社に離職票が送付されます。
その後、離職者は会社から離職票を受け取り、上記持参物とともにハローワークへ行きます。
そしてハローワークで求職手続きをして失業保険の受給資格を得た後は、7日間の待期期間を経た後、雇用保険受給者説明会に参加します。
説明会に参加後、失業保険の受給に必要な雇用保険受給資格証と失業認定申告書がハローワークから交付されます。
その後、失業保険を受け取るためには、求職活動をしつつ失業認定日にハローワークへ行く必要があります。
また離職票がなくとも、失業保険受給に関する仮手続きを行うことはできます。
離職票は初回の失業認定日(初回の雇用保険受給説明会で日付が指定されます)までに提出する必要があります。
会社が離職票を出してくれていない場合は、会社ならびに所轄のハローワークに問い合わせをしましょう。
関連記事
失業保険の手続きはどうやればいいの?覚えておきたい失業保険の流れ
失業保険を受給する条件のひとつに、失業認定日と次回認定日の期間に原則として2回以上の求職活動を行っていることがあります。
これは労働者の就職の意思を確かめるためです。
なお待期満了日の翌日から初回認定日の前日までの期間においては、1回以上の求職活動が求められます。
求職活動にあたる行動は?
ただし雇用保険説明会への出席が求職活動1回分になるため、会社都合の場合は初回認定日で求職活動の回数が不足する事態になることはまずありません。
自己都合の場合であれば、雇用保険説明会への出席とは別に2回目の認定日の前日までに求職活動を最低2回行えば要件を満たします。
ハローワークを通して求職活動をする必要はあるのか
ハローワークを通した求職活動だけではなく、以下に挙げるような活動を行えば求職活動として扱われます。
なお、求人の閲覧だけでは求職活動にあたりません。
失業認定日は労働者がなおも失業状態にあるか確かめる日ですので、その日にハローワークに赴いて「受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出する必要があります。アルバイトなどを行っていた場合は、この申告書で申告します。他には、求職活動の証明となる書類が必要となることもあります。
なお新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、2021年1月7日以降の緊急事態宣言期間中の一部地域では原則郵送での失業認定が行われている点にご注意ください。
離職後、失業保険を受給している間も健康保険・年金の保険料を支払う必要があります。
住民税については、離職した月によって支払い方法が異なります。
離職した場合、健康保険は以下のいずれかに加入する手続きを行った後、月々の健康保険料を支払う必要があります。
保険料は離職時の標準報酬月額に基づいて決定されます。
保険料の算定方法は各都道府県によって異なるため、気になる方は全国健康保険協会の公式サイトをご確認ください
なお任意継続健康保険を選択した場合は、在職中は会社と折半していた保険料を被保険者本人のみが負担することになるため、今までの2倍の保険料を支払う必要があります。
国民健康保険とは都道府県及び市町村が保険者となって運営する公的な医療保険制度です。
国民健康保険の保険料は前年の所得、国民健康保険の世帯人員数などに応じて決められます。
お住まいの市区町村によって保険料の算定方法は異なるため、気になる方は市区町村の国民健康保険担当窓口へお問い合わせください。
離職後、ご家族が加入している健康保険の扶養家族になれば、保険料を支払う必要はありません。
ただし失業保険は収入とみなされるため、失業保険の金額によっては扶養家族になれない場合があります。
離職後、国民年金保険料の納付が困難な場合は、保険料の免除・納付猶予制度を利用できます。
免除された保険料は後から納めることができます。追納した場合は、保険料を全額納付したときと同じ金額の年金を将来受け取ることができます。
6月1日~12月31日に離職した場合は、離職月の住民税は給与から徴収され、離職月よりも後の住民税は普通徴収で納税します。
6月1日~離職月までの給与分に課税される住民税は翌年納税することになります。
1月1日~5月31日に離職した場合は、離職月の給与から5月分までの住民税を一括徴収されます。
ただし、離職月の給与が5月分までの住民税の金額よりも少ないときは普通徴収に変更してもらうことが可能です。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。