不当な懲戒解雇をされたらどうする?解雇予告手当はもらえるのか

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会社に勤めていると、「懲戒解雇」という言葉を聞いたことがあると思います。

その重々しい言葉に、いい印象を持っている人はいないでしょう。

もし、懲戒解雇をされてしまったら、どうすればいいのでしょうか?

懲戒解雇の意味や、された場合のその後の就職活動への影響などをまとめています。また、懲戒解雇は自由にできるものではなく、要件を満たす必要があります。不当な懲戒解雇をされないために、その要件や対応策を確認しておきましょう。

懲戒解雇とは?転職への影響や退職金の支払いはどうなる?

まずは、懲戒解雇の意味を解説していきます。

その意味が分かれば、懲戒解雇をされた場合のその後の転職活動に生じる影響も、想像がしやすいはずです。

気になる退職金や解雇予告手当の支払いについてもまとめていますので、ぜひご覧ください。

懲戒解雇される意味・理由とは?

企業の秩序を乱す行為に対する制裁を「懲戒」といいます。懲戒解雇とは、この懲戒の一種類として行われる解雇のことをいいます。懲戒解雇される意味は、企業の円滑な運営のためです。懲戒解雇される理由は、経歴詐称、職務懈怠、業務命令違反、業務妨害、暴力、セクハラなどが典型的な例です。
懲戒解雇の条件は?

懲戒解雇が有効になるためには、(1)懲戒事由を明記する合理的な就業規則等の規定があること、(2)当該規定に該当する懲戒事由が存在すること、(3)懲戒解雇されることが処分の内容的にも解雇の手続き的にも社会的にみて相当であること、といった各種の条件を満たす必要があります。

懲戒解雇が無効な場合は、従業員としての地位を失うことはありません。そのため、会社に対して、引き続き継続して賃金の支払いを求めることがでます。無効な懲戒解雇によって仕事ができないのは、もっぱら「会社のせい」といえるので、法律的には民法536条2項に基づいた賃金の請求が可能になります。

懲戒解雇されたら転職・再就職に影響は?

懲戒解雇された事実は、転職や再就職において、履歴書に記載したり、採用面接時に回答する必要がある場合があります。この場合は、転職先や再就職先に、懲戒解雇された事由や理由を正直に話しましょう。ここで嘘をつくと、将来また「経歴詐称」として懲戒処分を受けることになりかねません。
不利にならないためには?

この点、懲戒解雇の事実が、転職や再就職においてデメリットにならないようにするためには、懲戒解雇の有効性を争っておく必要があります。懲戒解雇は、前述した各種の条件を満たさない限り、法律的には無効です。この点、解雇の無効を公式に判断してもらうためには、裁判を起こす必要があります。

退職金・解雇予告手当はもらえる?

懲戒解雇の場合は、退職金の全部又は一部が不支給になるケースが多いです。詳細は、各社における退職金規定の内容によります。他方で、懲戒解雇の場合でも、30日前の予告がない解雇においては、労働基準監督署長の認定を得る等の手続きを踏んでいない限り、解雇予告手当をもらうことができます。
不支給に不満があるなら?

また、会社は退職金の全部を支払わないと主張するケースでも、裁判になって、判決により「懲戒解雇は有効であるが、退職金の全額不支給は違法である。退職金についてはその3割を支払え」などの決定が出ることがあります。退職金の不支給について不満がある場合は、専門家に相談してみましょう。

その懲戒解雇、無効かも?不当解雇されない為の手続きを確認

懲戒解雇をされた場合、まずはその有効性を確認しましょう。

懲戒解雇と聞くと、会社の一方的な通告で行なえてしまうようなイメージがありますが、きちんと条件が付されているのです。

不当な解雇の場合は、きちんとした対応を行いましょう。

就業規則の懲戒解雇の条件は?

就業規則の懲戒解雇の条件は、(1)懲戒事由及び懲戒の種類が明記されていること、(2)当該就業規則が従業員に周知されていること、(3)当該規定の内容が合理的であることの三点です。有効な懲戒処分が行われるためには、その前提として、根拠となる就業規則の規定が有効である必要があります。
それぞれの詳細は?

(1)懲戒事由及び懲戒の種類が明記されていることに関して、労働基準法89条は、就業規則の事項として、「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」「制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を明記することを定めています。

(2)当該就業規則が従業員に周知されていることに関して、労働契約法7条は、就業規則が従業員に周知できていない場合は、就業規則の規定は従業員の労働条件にはならないことを定めています。ここでいう周知とは、従業員が規則の内容を知ろうと思えばいつでも知れる状態にあることをいいます。

(3)当該規定の内容が合理的であることに関して、労働契約法7条は、就業規則に定められている事項が「合理的」でない限り、当該規定は労働条件の内容にはならないことを定めています。就業規則における懲戒解雇の規定は、企業の円滑な運営の観点から、必要かつ合理的なものでなければなりません。

即日の懲戒解雇は有効?

即日の懲戒解雇は、適正手続きの観点から無効になることがあります。例えば、就業規則で、解雇の手続きとして「労働組合との協議が必要」「懲戒委員会の討議が必要」「本人に弁明の機会を与えることが必要」などの条件が定められていた場合は、この手続きを経ない即日の懲戒解雇は無効になります。
解雇予告手当はどうなる?

また、仮に即日の懲戒解雇が有効だとしても、解雇予告手当の問題が残ります。懲戒解雇の場合でも、原則として30日前の解雇予告が必要なことは同じです。30日前の予告がない解雇においては、労働基準監督署長の認定を得る等の手続きを踏んでいない限り、解雇予告手当をもらうことができます。

懲戒解雇を通知されたら有給は使える?

懲戒解雇を通知されても、解雇の効力が発生する日までは、有給休暇を使うことができます。懲戒解雇の場合でも、労働基準法20条の定めにより、原則として、30日前の解雇予告が必要です。そのため、会社から懲戒解雇を伝えられた後であっても、有給休暇を使う余地があるケースも多いです。
即日解雇の場合は?

なお、即日の懲戒解雇を言い渡された場合は、解雇が有効である限り、解雇の当日に従業員としての地位を失うため、もはや有給休暇を使うことはできなくなります。その代わりに、労働基準法20条により、会社に対して、解雇予告手当として「30日分以上の平均賃金」の支払いを求めることができます。

懲戒解雇をされたら?不当な場合は損害賠償請求できる?

「自分が受けた懲戒解雇は不当だった!」

そう気が付いたときには、一方的に不当な扱いを受けないためにも、きちんと対応していくことが大切です。

懲戒解雇を受けた場合の復職や失業保険、損害賠償請求について、解説していきます。

懲戒解雇されても復職可能?

懲戒解雇されても、解雇が法律的に無効な場合は、会社に復職することができます。懲戒解雇が無効になるケースとしては、(1)解雇事由が就業規則等に明記されていなかった場合、(2)解雇事由が存在しなかった場合、(3)懲戒解雇の選択が従業員の非行と比べて重たすぎる場合、などがあります。
解雇が無効の場合は?

懲戒解雇が無効で、職場復帰が可能なケースにおいては、会社に対して「解雇日から復帰日までの賃金全額」の支払いを請求することができます。懲戒解雇が無効である以上、職場で就労できなかったのは、もっぱら「債権者の責めに帰すべき事由による」(民法536条2項)と主張することができるからです。

懲戒解雇になると失業保険はもらえる?

懲戒解雇の場合でも、失業保険(失業等給付)をもらうことができます。もっとも、懲戒解雇の場合は、「労働者の責めに帰すべき重大な理由による重責解雇」に該当するため、特定受給資格者としては扱われません。そのため、解雇の場合ですが、基本手当の所定給付日数が手厚くなることはありません。
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「労働者の責めに帰すべき重大な理由による重責解雇」の場合は、正当な理由がない自己都合退職の場合と同様、原則として3か月間の給付制限期間が付くため、この3か月の間は基本手当を受け取ることができません。もっとも、公共職業訓練を受けることにより、この給付制限が解除されることがあります。

懲戒解雇の慰謝料を損害賠償請求できる?

懲戒解雇が無効で、かつ懲戒解雇権の濫用が著しく悪質な場合は、従業員は、会社に対して、懲戒解雇の慰謝料を損害賠償請求することができます。慰謝料とは、不法行為によって被った精神的損害のことです。慰謝料の請求が認められるのは、懲戒解雇権の濫用が著しく悪質な場合に限られます。
悪質な場合とは?

解雇に関する慰謝料請求が認められたケースとしては、(1)使用者による一線を超える退職勧奨やパワハラがあった場合、(2)解雇の根拠がまったくなかった場合、(3)労働組合活動を妨害するための解雇だった場合、などの例があります。慰謝料の金額は、数十万円〜100万円程度のことが多いです。

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