懲戒解雇でもらえる解雇予告手当とは|もらえない場合の理由も解説

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懲戒解雇を言い渡されたとき、即日解雇になることもあると思います。
そのとき、解雇予告手当を受け取ることができるのか、気になりますね。

そもそも、懲戒解雇が違法である可能性もあります。
不当に解雇されないために、懲戒解雇について確認しておきましょう。

懲戒解雇が起きる理由と他の解雇との違いは何か。懲戒解雇が認められる要件や退職金の受け取りについて解説しています。解雇予告手当の有無やその金額についてもまとめていますのでご覧ください。また、懲戒解雇の3つのポイントで違法性を確認しましょう。

懲戒解雇はどんな理由で起こる?その後もらえる手当は?

懲戒解雇と聞くと、重大な処分という印象がありますよね。
懲戒解雇以外に普通解雇もありますので、それぞれの違いをまずは確認していきましょう。

懲戒解雇が認められる要件と、退職金・失業保険を受け取ることができるのかも解説しています。

普通解雇と懲戒解雇の違いとは?

普通解雇とは、債務不履行等を理由とする使用者による労働契約の解約のことです。これに対して、懲戒解雇とは、懲戒処分の一環としての労働契約の解約のことです。普通解雇も懲戒解雇も、会社・使用者側の意思表示で一方的に「労働契約上の従業員たる地位」を消滅させる点で共通します。
問題になる点は?

懲戒解雇のケースでは、退職金不支給の合法性や、即日解雇の適法性が問題になることが多いです。この点、懲戒解雇自体の有効性と、退職金や即日解雇の有効性の問題は、別々に判断されることになります。懲戒解雇は、懲戒処分の中でも最も重たい処分のため、その理由の合理性が厳しく審査されます。

懲戒解雇が認められる要件とは?

懲戒解雇が認められる要件は、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の2つを具備していることです。労働契約法15条は、「(懲戒解雇は)客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定めています。
認められるパターンは?

懲戒解雇が認められるパターンとしては、経歴詐称、業務命令違反、職場規律違反、会社物品の私用、私生活上の非行、二重就職、兼業禁止違反などのケースが多いです。もっとも、懲戒解雇が認められるためには、これらのケースにおいても、「一線を超えている」程度に悪質であることを要します。

懲戒解雇で退職金・失業保険は貰える?

懲戒解雇で退職金をもらえるかは、ケース・バイ・ケースです。一般論としては、退職金の全部または一部をもらえないケースが多いです。これに対して、懲戒解雇の場合でも、雇用保険に基づく失業給付はもらうことができます。懲戒解雇の場合でも、失業者を保護する必要性は変わらないためです。
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懲戒解雇と退職金の問題は、「懲戒解雇の場合は退職金を不支給とする社内規則の合法性」の問題と、「実際に全額不支給とする処分の合法性」の問題を分けて考える必要があります。退職金不支給の社内規則自体について、原則として、公序良俗等に違反することなく合法と判断されることが多いです。

これに対して、「全額不支給処分の合法性」については、判断が分かれるところです。退職金は勤続の功に対する報酬としての性格を有します。勤続の功を抹消させる程度の信義違反がない限り、退職金の全額を不支給とすることは不当です。裁判では「3割だけ支払え」等の判決が出たケースもあります。

即日の懲戒解雇でも受け取れる解雇予告手当とは?

原則、解雇は30日前に予告をしていないといけません。
その日数を切った場合に、解雇予告手当を支払う必要があります。

しかし、懲戒解雇でも受け取ることができるのか疑問ですね。

即日の懲戒解雇でも解雇予告手当を受け取ることができるのか、解説していますのでご覧ください。

解雇予告手当があれば即日解雇できる?

懲戒解雇でも普通解雇でも、解雇の有効要件を満たす限り、解雇予告手当を支払えば即日解雇することが可能です。解雇予告手当とは、学説上は諸説ありますが、「30日前に解雇の予告をしなければならない」という解雇予告義務を免れるために支払うお金(平均賃金30日分の手当)のことだからです。
即日解雇の傾向は?

もっとも、即日解雇のケースでは、解雇の要件が厳しく審査される傾向にあります。即日の解雇だと、諸般の事情から、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合として、解雇が無効と判断されるリスクが高いです。法的には、予告手当の支払いより、予告を行う方が安全です。

解雇予告手当はいくらもらえる?

解雇予告手当は、即日解雇の場合は、「平均賃金の30日分」と定められています。即日解雇以外の場合は、解雇予告された日の時期によります。例えば、解雇の10日前に解雇予告された場合は、10日分の解雇予告は法律的に有効なため、残りの20日分について平均賃金を請求することができます。
即日解雇が有効な場合は?

もっとも、懲戒解雇の場合は、労働基準法20条の「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」に該当するとして、所定の手続き(労働基準監督署長の認定など)により即日解雇が有効となるケースがあります。即日解雇が有効な場合は、会社に対して解雇予告手当を請求することはできません。

労基の解雇予告除外認定とは?

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合、または労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合は、労働基準監督署長の認定を経て、即日解雇することができます(労働基準法20条1項・3項)。この制度のことを「労基の解雇予告除外認定」と呼ぶことがあります。
使用者判断で使える制度?

解雇予告除外は、事前に所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合に限って認められる制度です。使用者の恣意的な判断によって使われて良い制度ではありません。懲戒解雇の場合でも、労働基準監督署長の認定のない解雇予告除外は違法です。除外がない場合は、会社に解雇予告手当の支払いを請求できます。

その懲戒解雇、違法では?3つの確認ポイント

懲戒解雇は重い処分です。

懲戒解雇を受けたとき、その処分が違法でないか確認しましょう。

そのために、次の3つのポイントを踏まえておきます。
・理由の合理性
・手続きの違法性
・解雇予告手当の未払い

違法に懲戒解雇を受けないために、ぜひご覧ください。

そもそも懲戒解雇の理由は合理的か?

懲戒解雇は、客観的に合理的な理由がない限り、違法かつ無効となります。理由の合理性については、諸般の事情を考慮の上、総合的に判断されます。懲戒解雇の場合は、経歴詐称、業務命令違反、職場規律違反、私生活上の非行などが一線を超えてるようなケースで、合理性が認められることが多いです。
問題となるケースは?

また、会社側が想定する懲戒理由が合理的だとしても、「実際に行われた真実」と「会社側が想定する事実」が異なる場合も多く、その場合は調査の過程や事実の認定が別途、問題となります。懲戒解雇は、従業員の身分を奪うという極めて重たい処分であるため、事実の認定は正確に行われる必要があります。

懲戒解雇の手続きに問題はないか?

懲戒解雇の理由が客観的に合理的だとしても、懲戒解雇の手続きが社会通念上相当といえない場合は、当該解雇は違法かつ無効になります。懲戒解雇の手続きに問題があるケースとしては、退職金の不支給や即時解雇の適法性が問題になります。当該処分の合法性については、個別に判断されることになります。
一方的に処分されたら?

懲戒解雇の手続きに問題があるケースとしては、そもそも懲戒解雇の根拠規定となる就業規則等が整備されていない場合などがあります。また、従業員側の言い分を聞く機会を設けず、一方的な調査のみで事実を判断し、懲戒解雇という極めて重たい処分を下した場合なども、手続きの有効性が問題になります。

解雇予告手当が支払われなかったら?

懲戒解雇で解雇予告手当が支払われなかった場合は、合法の場合と違法の場合があります。懲戒解雇の場合は、労働基準法20条の「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」に該当することが多く、所定の手続きを踏んでいる場合は、即日解雇も法律的に有効とされることがあるからです。
20条に該当しない場合は?

もっとも、懲戒解雇の場合でも、労働基準法20条の「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」に該当しないケースもあります。その場合、即日解雇を行なった会社に対しては、解雇予告手当の支払いを請求することができます。金額についても、通常どおり平均賃金の30日相当分となります。

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