アルバイトでも有給はもらえる|気を付けるべき注意点

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・有給がもらえるためには最低限2つの条件が必要になる
・有給によって発生する給料の計算方法には3つあり、アルバイトの場合は通常賃金による計算が多い
・有給取得の申請には気を付けるべき点が5つある

「有給」と聞くと、正社員でなければもらえないと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

労働基準法(39条1項参照)上、アルバイトでも一定の要件を満たせばもらえることができます。

以下では、アルバイトはどのような条件の下で有給を取得できるのか詳しく解説していきます。

実は気づいていないだけであって、すでに有給が発生している可能性があります。ぜひ自分は有給がもらえるのか、また、もらえるとしてどのくらいもらえるのかを確認してみましょう。

有給が与えられる条件|正社員とアルバイトの場合の計算方法


「有給」と聞いて、どの程度具体的にイメージできるでしょうか。

仕事を休んでも給料がもらえる、という程度のイメージしかもっていない方が多いのではないでしょうか。

労働基準法上、取得条件から日数まで具体的に定められています。

どのような場合に「有給」が取得できるのか解説していきます。

そもそも有給とはなにか


一般的に表記されている「有給」とは、労働基準法(以下、労基法)上の「年次有給休暇」を指します(労基法39条参照)。

そして、年次有給休暇とは、賃金の支払いを受けながら労働義務を免れることができる制度、とされています。

有給を取得できるための条件とは


①雇入れの日から6か月間継続勤務
②全労働日の8割以上出勤

これら①②の条件を満たせば、たとえアルバイトであっても有給を取得することができます(労基法39条1項)。

有給を取得できる日数

取得できる日数については、労働時間や勤務日数によって異なります。

すなわち、ここで正社員とアルバイトの違いが出てきます。

(1)週30時間以上、または週5日または年間217日以上の場合

このような勤務時間や勤務日数は正社員の場合が多いでしょう。図に表すと以下の様になります(労基法39条)。

週所定労働日数

1年間の所定労働日数

雇入れの日からの継続勤務期間

6か月

1年

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6年

6か月以上

5日

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日



正社員の方の多くは、上記の日数を最低限取得することができます。

(2)週30時間未満、かつ週4日以下または年間48日~216日の場合

この場合は、短時間労働者(いわゆるパートタイム労働者)として労働時間に比例して有給が与えられます(労働基準法39条3項、同法施行規則24条の3第3項)。
つまり、バイトをされている方は基本的にこちらを参照することになります。

週所定

労働日数

1年間の所定労働日数

雇入れの日からの継続勤務期間

6か月

1年

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6年

6か月以上

4日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日



週所定労働日数及び1年間の所定労働日数をみて、雇入れの日からの勤続勤務期間に応じて上記の図のように有給が与えられます。

もっとも、週の所定労働日数が少なくても、週の所定労働時間が30時間以上の労働者は、たとえアルバイトであっても(1)の通常の労働者と同様の計算になる点に気を付けてください。

有給の発生のタイミングと消滅までの期限


一番初めの有給は働き始めてから半年で発生します。そして、最初の有給が発生した日から1年ごとに、新たな有給が与えられます。取得日数については、上記の(1)(2)の図の通りになります。

ただし、それぞれの有給の発生から2年後には消滅します。すなわち、最初の有給は就業開始の2年半後には消滅することになります。その次の有給は、3年半後に消滅ということになります。

例えば、10日の有給があったとしても、その後2年間で半分(5日間)しか消費しなければ、残りの半分(5日間)は消滅してしまうことになってしまいます。

有給によって払われる給料の計算方法|3つの計算方法


有給を取得した場合、はたしていくら給料がもらえるのでしょうか。
特にアルバイトの方で労働時間がまちまちの場合には、計算方法が少しわかりにくいかもしれません。

計算方法は具体的に3つあります。それぞれ確認していきましょう。

平均賃金

平均賃金とは、過去3か月の間に支払われた給料の平均額のことをいいます。以下の2つのうち額が大きい方を選択します(労基法12条参照)。

①過去3か月の賃金の合計÷過去3か月の総日数
②(過去3か月の賃金の合計÷過去3か月の労働日数)×0.6

ただし、次の期間がある場合は、その日数及び賃金額は平均賃金の算定期間及び賃金の総額から控除されます(労基法12条3項、労基法規則4条)。

(1)業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
(2)産前産後の休業期間
(3)使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
(4)育児休業及び介護休業期間
(5)試みの使用期間(試用期間)

通常賃金


通常賃金=有給を取得した日の勤務時間×時給
となります。

これは、一日の労働時間が決まっている場合に使われることが多い計算です。
アルバイトで時給の方は通常賃金の計算がもっともシンプルです。

標準報酬月額


健康保険法上定められている標準報酬月額に基づいて計算する方法があります。

標準報酬月額とは、給料を基準に算定されます。

この標準報酬月額を30で割った額を支払うというものです。

もっとも、上限があるなどといった労働者にとってはリスクがあることから、会社と労働者の間で労使協定を締結しなければいけません。
加えて、アルバイトの方は健康保険に加入しなければいけないため、あまり採用されていません。

有給の有効な活用方法|申請時に気を付けるべき点



「給料をもらって仕事を休んで本当に大丈夫かな。」というように、有給を取得する場合、上司にどのように伝えればいいか不安になることが多いでしょう。

そして、会社が忙しいときには、自分からすすんで仕事を休ませてください、とはなかなか言いにくい場合も多いかと思います。

うまく有給を活用する方法についていくつか紹介します。

有給は取得しなければいけないのか?


そもそも、有給は取得しなければいけないのでしょうか。

会社には、年10日以上の有給を与えられた労働者に年5日の有給を取得させなければいけない義務があります(労基法39条7項)。

これは、「働き方改革を推進する法律案」(通称:「働き方改革関連法案」)として、2018年の法改正によって一定の労働者については、会社が有給を取得させる義務が新たに追加されました。

正社員のみならず、アルバイトの場合にも年10日以上の有給を与えられる場合には対象となります。

会社からの有給の時季指定を拒むためには?


原則として、労働者は自分が有給を取得したいと思った場合にはいつでも請求することができます。
これは労働基準法上の権利として保障されています。これを、時季指定権といいます(労基法39条5項本文)。
もっとも、会社の「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季に変更されてしまうおそれがあります(労基法39条5項ただし書き)。
時季指定の変更をするかについて、会社は下記の①~⑤を考慮しなければいけません。

①会社規模の大きさ
会社の規模が小さい場合には、一人が休むだけでも会社の負担が大きいことになります。

②仕事の内容
その人にしかできないような専門性の高い業務内容の場合は、替えが利かないということになります。

③繁忙期か
業務量が多ければ多いほど会社の利益が見込めるので、この時期の人員は重要となります。

④代わりの人を準備できるか
休む人の業務内容をこなせる人が他にいなければ、会社はこの埋め合わせをしなければいけません。これが難しければ、会社には新たに人員を確保するというコストがかかってしまいます。

⑤同じ時期に他に有給をとっている人がいるか
自分が有給を取得する日に他にも有給を取得する人がいないか確認しなければ、一度に複数人が休むことになってしまうため、会社の業務に支障が出るおそれがあります。

会社の雰囲気によってはなかなか上司に相談しにくいことがありますが、労働者には労働基準法上の制度によって「有給」を取得することが保障されているので、このことを再認識していただきたいです。  



監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。