納得できない内容の解雇予告通知書 撤回や慰謝料請求は可能か

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・解雇予告通知書の交付には解雇予告の証跡を残す目的がある
・解雇予告通知書を受け取ったら解雇理由証明書を請求することが大切
・不当解雇なら撤回や慰謝料請求ができる可能性がある

不況といわれる経済情勢が続く昨今において、企業に勤める労働者は、ある日突然、使用者から解雇を言い渡されてしまうことがあります。

解雇の宣告を受けるというシチュエーションには、いわゆる「肩たたき」のような口頭での宣告をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、解雇予告通知書という書面によって解雇を通知される場合があります。

まさか自分が解雇になるとは想定していなかったところに、突然会社から解雇予告通知書を渡されたとなると、誰でも大きな絶望や焦りを感じるのではないでしょうか。

本稿では、企業が解雇予告通知書を交付する意味や、解雇予告通知書を受け取ってしまったらどのように行動するべきかということについて解説しています。

解雇予告通知書を渡されたことに疑問を感じている方は、本稿の内容を参考にしていただけると幸いです。

解雇予告通知書とはどのようなものか

まずは、解雇予告通知書とはどのようなもので、なぜ交付されるのかということについて述べていきます。

解雇を予告した証跡として交付される

解雇予告通知書とは、使用者が労働者に対して解雇を予告するための書類です。

解雇予告通知書は法律で交付が義務づけられておらず、交付していなかったとしても使用者が罰則を受けることはありません。

しかしながら、使用者が解雇予告通知書を交付することには法律上のトラブルを避ける目的があるのです。

”第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。”(※一部抜粋)

出典:労働基準法( 昭和22年04月07日法律第49号)

使用者が労働者を解雇する場合、労働基準法では『30日以上前に労働者に対して解雇を予告しておかなければならい』と定められています。

解雇の予告は口頭でも可能ですが、解雇となった労働者から「解雇の予告をされていない」と主張されてしまうと法律違反をめぐるトラブルが起きてしまいます。

使用者は、このようなトラブルを回避するための証跡として解雇予告通知書を交付するのです。

解雇予告通知書の記載内容

解雇予告通知書に記載されている一般的な内容については以下のとおりです。

  • 解雇予告通知書の作成日
  • 解雇対象者の氏名
  • 社名・代表者名
  • 対象者を解雇する旨の文言
  • 解雇日
  • 解雇理由(概要)
  • 解雇理由にあたる就業規則  など

解雇予告通知書には、大まかな解雇理由が記載されていることがありますが、具体的な理由までは記載されていない場合がほどんどです。

「就業規則〇条に基づき解雇とします」
「就業規則の第〇条〇項の定めによるため」

などといった記載がされている場合は、該当の就業規則を確認し、自身の言動に当てはまることがないか確認してみましょう。

解雇理由証明書とは別物

解雇予告通知書と混同されがちな書類として、解雇理由証明書という書類があります。

解雇理由証明書は解雇予告通知書とは異なり、労働基準法により交付が義務づけられているため、使用者は労働者から請求された場合に必ず交付しなければなりません。

”第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。”(※一部抜粋)

出典:労働基準法( 昭和22年04月07日法律第49号)

解雇予告通知書はあくまで「解雇することを予告する書類」であるのに対し、解雇理由証明書は「解雇に至る理由を記載した書類」です。

解雇予告通知書を受け取ったものの、解雇にあたる理由に心当たりがなければ解雇理由証明書を請求しましょう。

ただし、解雇理由証明書は解雇予告を受けてから解雇される日までが請求期間であるという点に注意してください。

解雇を撤回してもらいたい

解雇予告通知書を受け取ったものの、解雇される理由に納得できなければ撤回を求めることを検討してみましょう。

使用者側の不当解雇が認められれば、解雇を撤回することができます。

まず解雇とはどのようなものか理解する

不当解雇として会社と争うことになる場合、まずは解雇の種類について理解しておくことが重要です。

解雇は、「整理解雇」、「懲戒解雇」、「普通解雇」の3つに分類することができます。

整理解雇とは、企業の経営不振による人員削減を目的とした解雇で、いわゆる「リストラ」のことです。

懲戒解雇は、業務上横領やセクハラ・パワハラなどの重大な就業規則違反を行った労働者に対する解雇処分のことを指し、懲戒処分の中では最も重いものになります。

そして最後に、整理解雇・懲戒解雇以外の理由での解雇が普通解雇といわれます。

使用者が労働者を解雇する場合、使用者側の主張する解雇理由が正当なものと認められなければ無効となります。

“第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利 を濫用したものとして、無効とする。”(※一部抜粋)

出典:労働契約法(平成19年法律第128号)

労働者は使用者に対して不利な立場であるため、労働契約法によって不当な解雇処分を受けないよう守られているのです。

解雇を撤回をしてもらうための準備

解雇を不当なものとして争うことになる場合、解雇の理由が「整理解雇」、「懲戒解雇」、「普通解雇」のどれにあたり、解雇理由に客観的な合理性があるかどうかについて明確にする必要があります。

使用者側が主張する解雇理由を具体的に明示してもらうため、解雇予告通知書を受け取ったら、すぐに解雇理由証明書の交付を請求しましょう。

解雇予告通知書にも解雇理由が記載されていることがありますが、詳細な理由までは記載されていないことが多いため、必ず解雇理由証明書を請求するようにしてください。

解雇理由証明書を渡され、記載内容についてやはり納得ができないという場合は、労働基準監督署や弁護士に相談して解雇の撤回を求める準備をしましょう。

自分自身で職場の代表者に直談判し、解雇撤回を求めてみることも一つの手段ではありますが、使用者側もある程度の覚悟を持って解雇予告をしている以上、第三者を介入させた方がスムーズな和解が目指せます。

不当解雇として慰謝料を請求したい

解雇が不当解雇である可能性がある場合、その職場に復帰するよりも慰謝料をもらいたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

本章では、不当解雇による慰謝料請求が可能かどうか解説します。

必ずしも慰謝料を請求できるわけではない

使用者側の不当解雇が明らかになった場合に慰謝料を請求できることもありますが、絶対に慰謝料がもらえるという保証はありません。

「慰謝料」とは、自分が精神的苦痛を受けた場合に相手側に請求する損害賠償金であるため、不当解雇により「慰謝料が発生するほどの精神的苦痛受けた」事実を立証する必要があります。

解雇予告のタイミングなどによって逸失利益を支払ってもらえる場合や、未払い賃金があればその相当額を支払ってもらえる可能性はありますが、慰謝料はこれらの金銭とは別のものです。

あくまで「精神的苦痛を受けた」ことに対する損害賠償のため、不当解雇されたからといって必ずしも請求できるわけではありません。

しかしながら、不当解雇された労働者の大多数は、少なからず精神的苦痛を受けるのではないでしょうか。

不当解雇処分を下した使用者に対して、しっかりと相応の対応をしてもらうためには、労働問題に詳しい専門家に頼ることがおすすめです。

特に、不当解雇の争いについて多数の実績がある弁護士に相談することで、納得のいく結果が得られる可能性が高まるため、事前によく調べて相談したほうがよいかもしれません。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。