派遣社員で働くなら知っておきたい5年・3年ルールの違いとは?

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181115182703 970a427b4f864e1640fc4630810f6aeacac203eb 1

この記事でわかること

・3年ルールは派遣労働者のキャリアアップを狙った法制度
・5年ルールは有期雇用契約者の雇用安定を狙った法制度
・3年・5年を前にした「雇い止め」によるトラブルが発生している

派遣社員として働く方々の中には「3年ルール」や「5年ルール」といった言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか?

これら2つのルールは法律によって定められているものであり、派遣や有期契約といった雇用形態で働く方にとっては重要な法制度になります。

もし、これらのルールを知らずに働いていると、思わぬところで不利益を被る事になりかねません。

この記事では、派遣社員であれば理解しておきたい「3年ルール」と「5年ルール」の違いについて、働く側の視点から解説していきます。

正しい知識を身につけ、雇用主からの不当な扱いに対抗できるようにしましょう。

3年ルールとは?

まずは、派遣社員として働くなら必ず知っておくべき「3年ルール」について理解しましょう。

派遣3年ルールの概要

派遣社員として働く場合、同じ職場や部署内において、有期雇用契約社員として働ける期間を最大で「3年間」と定めているルールのことを、通称「派遣3年ルール」と呼びます。

例えば、Aという派遣元から派遣されたBさんが派遣先の企業に4月1日から働き始める場合、3年後の4月1日には同じ職場では働けなくなります。

もし3年経過した後、派遣社員が引き続き同じ派遣先で働くことを希望する場合は、派遣元から派遣先の企業に対し、あなたの直接雇用を依頼することが義務付けられています。

ただし、別の派遣先の企業へ変更される場合や、仮に同じ企業でも別の部署・課といった別組織であれば3年ルールは適用されないため注意しましょう。

3年ルールの趣旨は、派遣労働者の雇用の安定にあります。そもそも、派遣労働者が同じ部署で3年も働いていれば、その派遣先にとっては必要な人材となり得るわけです。

したがって、「派遣先は有期労働契約という不安点な形で雇用し続けるのではなく、正社員登用や無期雇用に変更しましょう。」という考えがこの法律に込められています。

「3年しか働けないなんて…」と思われるかもしれませんが、あくまで派遣労働者を思ってのルールという点を覚えておきましょう。

3年ルールの対象者

3年ルールの対象者はすべての派遣労働者に対して適用されるものではありません。

以下に当てはまる場合には3年ルールの対象外となります。

3年ルールの対象外となる派遣労働者

  • 60歳を超えている人
  • 派遣元に無期雇用されている人

3年ルールを定める条文

派遣労働者に対する3年ルールを定める法律は、「派遣元企業」と「派遣先企業」の2つに別れています。

それぞれを記載しますので、多少難しいとは思いますが確認しておきましょう。

もし、同じ派遣先で3年を超えて不安定な有期労働契約で働かされそうになった場合にはこの条文が参考になるためです。

派遣法第35条の3


派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

派遣法第40条の2

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。(中略)

2 前項の派遣可能期間(以下「派遣可能期間」という。)は、三年とする。

5年ルールとは

既述した3年ルールとよく混同されがちなものに、「5年ルール」という制度が存在します。

5年ルールは3年ルールとは全く異なる法律になりますから、それぞれを分けて考えることが重要になります。

以下を通して5年ルールについて詳しく確認しましょう。

5年ルールの概要

「5年ルール」とは、派遣会社(派遣元)と派遣労働者の雇用期間が通算して5年を超えた場合に、派遣会社との契約を「無期雇用」に切り替えさせることが可能な制度です。一般的には、「無期転換ルール」などとも呼ばれています。

無期雇用契約に切り替えるためには、派遣労働者側から派遣元の企業に対する申告が必要になります。また、基本的に無期雇用の申告を派遣企業は断ることはできません。

5年ルールの趣旨は、有期契約で働いている労働者の無期契約化を図ることによって、雇用を安定させることにあります。

また後述するように、5年ルールは派遣労働者のみならず、有期契約で働いている契約社員やパートタイマーといった雇用形態の方々を対象しています。

5年ルールの対象者

5年ルールは派遣社員のみではなく、契約社員やアルバイト社員といった有期雇用契約者に対しても適用されます。

5年ルールの対象者は以下のとおりです。

5年ルールの対象者

  • 有期雇用契約をしている労働者のすべてで、以下の要件を満たすもの。


  • 有期雇用契約をしている労働者のすべてで、以下の要件を満たすもの。
    同一企業との契約を結んでいる
    有期労働契約が通算で5年以上を経過している
    1回以上の契約更新を行っている

5年ルールを定める条文

5年ルールを定める法律の条文は以下のとおりです。

条文を暗記する必要はありませんが、例えば、派遣元の担当者に「無期転換ルールなんて知らない」と言われた際に法律を根拠に対抗できますから、簡単に覚えておくと良いでしょう。

労働契約法第18条

 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。


この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

3年ルール・5年ルールをめぐり雇い止めが発生している

ここまで、派遣労働者にとって重要な「3年ルール」と「5年ルール」について解説してきました。

この制度が派遣元や派遣先企業によってしっかりと守られ運用されているうちは、派遣労働者にとってはさほど悪影響を及ぼしません。

むしろ、不安定な有期契約の派遣労働者にとっては、一定の期間働いた後には、無期契約や正社員登用も望めますから、悪い制度とは言えません。

ただし、実際にはこれらのルールの趣旨に反しているブラック企業が多いのが事実です。例えば、3年や5年を超える直前で派遣労働者の契約更新を拒否する「雇い止め」によるトラブルが発生しています。

このような雇い止め行為は、合法・違法の判断を個人が行うのは難しいため、泣き寝入りしている派遣労働者が少なくありません。

まとめ:違法な雇い止めは専門家に相談を

正社員の登用や無期雇用の契約更新を目指して働いていたにもかかわらず、違法な雇い止めによって泣き寝入りしている方は、弁護士や労働組合といった労働問題の専門家に相談してみることをお勧めします。

専門家に労働相談を行うことで、諦めかけていた問題が解決へとつながることが多々あるためです。

3年・5年ルールに関わる不当な雇い止めでお悩みの方は、まずは無料相談を受け付けている専門家や支援団体へのご相談を行ってみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。