何時から深夜残業になるの?深夜残業をする人が知っておくべき法律知識

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・22時から5時までの間にする残業が法律上の「深夜残業」である。
・深夜残業をした者には割増賃金を支払わなければならない
・深夜残業をしているにもかかわらず割増賃金が支払われない場合には、労働基準監督署に通告する、民事訴訟・労働審判を起こすなどの方法がある。

残業が夜遅くになることが続いている方の中には、深夜残業になっているにもかかわらず残業代の支払いが適切にされていないような場合があります。
何時から深夜残業になるかというと22時から5時の間で、深夜残業には1.5倍~の割増賃金を支払う必要があります。
このページでは、深夜残業についての法律知識と、適切な残業代の支払がない場合の労働者の対応策についてお伝えします。

「深夜残業」についての法律の規定を確認

まず、「深夜残業」についての法律の規定を確認しましょう。

何時からが「深夜残業」なのか

深夜残業となるのが何時からなのかを確認しましょう。
労働基準法37条4項は、22時から5時までの間の労働を深夜労働と規定しています。
残業の時間が遅くなって22時を超える場合を深夜残業といいます。
時間がはっきり法定されているので、始業の時間が9時の方でも、10時の方でも、18時の方でも変わらないことになります。

「深夜残業」をさせる場合には割増賃金を支払う義務がある

深夜残業をさせる場合には、割増賃金を支払う義務があります。
割増率についてはまず次の表で結論を確認しましょう。

区分

割増率

深夜残業

50%

深夜残業(60時間を超える)

75%

法定休日労働+深夜残業

60%

労働基準法37条1項は、残業をさせる場合には25%の割増賃金を支払う義務があること規定しており、併せて労働基準法37条4項は、深夜労働をする場合に25%の割増賃金を支払う義務があることを規定しています。
深夜残業になった部分についてはこの割増が合算され、50%の割増賃金を支払う義務があります。
残業時間が60時間を超える場合には、通常の残業をする場合でも50%の割増率となり、深夜残業と併せて75%の賃金の支払いが必要です。
60時間を超える部分についての割増率アップは、2020年12月の段階では中小企業には適用されておらず、適用は2023年4月1日からになります。
法定休日に深夜残業をする場合には、残業部分についての割増は考慮されず、法定休日の割増率35%と深夜労働の割増率25%を合算した60%の割増賃金の支払いが必要になります。
9時始業(休憩1時間)の方が23時まで働いたときの割増率は次のようになります。

時間

割増率

9:00~18:00

0%

18:00~22:00(残業)

25%(60時間以内)

22:00~23:00(深夜残業)

50%


もし、労働基準法に規定されている割増賃金を支払わない場合には、行政指導の対象になるほか、労働基準法119条1号で、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。

そもそも残業をさせるには36協定が必要

ここまで、会社が労働者に残業をさせることができることを前提に、深夜残業になる場合についてお話ししてきました。
しかし、そもそも会社が労働者に法定労働時間以上の労働をさせるためには、36協定というものが必要です。
36協定とは、労働基準法36条に規定されていることからこのように呼ばれており、

  • 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者

と結ぶ協定をいいます。
結ばれた協定については書面にして労働基準監督署に届け出ます。
この協定なしに時間外労働をさせることはできず、労働基準法32条に規定されている1週40時間・1日8時間以上労働をさせると、行政指導の対象になるほか、労働基準法119条1号で6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになります。

深夜残業に関する規定が守られない場合の対応方法

使用者が深夜残業に関する規定を守らない場合、労働者はどのような対応方法があるでしょうか。

会社の人事担当と話し合う

まずは、会社の人事担当と話し合ってみましょう。
雇用に関する法令は非常に細かいため、人事担当者に専門的な知識がないと、抜け・漏れが発生します。
36協定がない、深夜残業の割増賃金の計算が間違っている・支払いがない、といった部分は非常に基本的なことですので、会社が法令を守るつもりであればすぐに対応をしてもらえることが期待できます。
一人で交渉が難しい場合には、社内・社外の労働組合を使って、団体で交渉するのも良いでしょう。

労働基準監督署に通告をする

会社の法令違反が全く改善されないような場合には、労働基準監督署に通告を行いましょう。
深夜残業に関する労働者保護の規定は労働基準法に根拠があるものであり、労働基準監督署が監督官庁となります。
労働基準監督署は、必要に応じて、会社に立ち入ったり、会社に報告・出頭義務を課するなど、行政処分に関する様々な権限を持っています。
また、労働基準法違反によって刑罰が科される際には、警察のような役割をはたすことになります。
労働基準監督署に通告を行うと、行政指導を通じて改善することが期待できます。

民事訴訟・労働審判を利用する

すでに退職してしまったが、深夜労働の割増賃金が支払われなかったような場合には、法的な手段を利用することになります。
法的な手段としては裁判(訴訟)を起こすことが挙げられますが、労働問題については労働審判という裁判所で行う手続も用意されています。
残業代の支払いがないような場合には、裁判所は付加金の支払いを命じることがありますが、これは民事訴訟を起こした場合のみです。
なお、具体的な健康被害が生じていなくても、長時間残業の事実に裁判所が慰謝料を認めていることがありますので、併せて請求をすることを検討してみましょう。

深夜残業の証拠はしっかり集める

労働基準監督署に通告をする場合でも、民事訴訟などを起こす場合でも、深夜残業をしていた証拠をしっかり集めておくことが必要です。
タイムカードがあるような場合には有力な証拠になりますが、そもそもタイムカードがないような場合や、タイムカードを切らせて働かせているような場合もあります。
パソコンのアクセスログ、メールやSNSのメッセージの送受信記録、業務日報などがあるようであればコピーにとるなどをしておく必要があります。
これらの記録が断片的な場合には、手書きのメモなどでも良いですが、詳細をしっかり書くようにしましょう。

まとめ

このページでは、深夜残業の法律知識についてお伝えしました。
基本的なことでありながら法律の規定は細かいので、弁護士に相談をするのが良いでしょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。