業務災害とは?怪我や病気になったときに労働者はどう守られるか。

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・業務災害にあった場合には、労災保険の対象になる。
・業務災害とは、業務上の負傷・業務上の疾病のことをいう。
・会社が業務災害を認めない場合には労働基準監督署に相談をして、労働基準監督署の職権によって調査してもらう

「仕事中に怪我をした」
「仕事が忙しすぎて働き過ぎで病気になった」
このような場合に思いつくのは、労災ではないでしょうか?
仕事中の怪我、仕事が原因で病気をした場合を、業務災害といい、労災保険の対象になります。
このページでは業務災害について詳しくお伝えします。

労災保険の給付対象になる業務災害とはどのようなものか

まず、労災保険の給付対象になる業務災害とはどのようなものなのでしょうか。

業務災害とは

業務災害とは、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」をいいます(労働者災害補償保険法7条)。
法律の条文では以上のような書き方をしていますが、一般的には「業務上の負傷」と「業務上の疾病」として、怪我と病気で業務災害に該当する場合について詳しく検討することになります。

通勤災害も労災保険の対象になる

仕事をするにあたっては、通勤が欠かせない人のほうが多いです。
この通勤中に怪我にあうような場合を通勤災害と呼んでいて、同じように労災保険の対象になります。
基本的には住居から通勤場所との往復、就業場所間の移動などで怪我をしたような場合がこれにあたります。
仕事帰りに買い物にいく、会社の同僚と飲みに行くというようなこともあるでしょう。
このような場合には、次の5つのケースを除き、通勤災害とは認めないことになっています。

  • 日用品の購入など
  • 職業訓練をうける
  • 選挙権の行使をする
  • 病院や診療所で治療を受ける
  • 要介護状態にある一定範囲の親族の介護で継続・反復している場合

  • 労災保険ではどのような給付が受けられるのか

    労災保険の対象となると次のような給付を受けることができます。

    給付の名称

    内容

    療養補償給付

    怪我や病気の治療をうけるための医療費

    障害補償給付

    怪我や病気によって発生した後遺症が後遺障害等級に認定されると給付されるもの。

    後遺障害等級第1級から第7級の場合には障害補償年金が支給される。

    後遺障害等級第8級から第14級の場合には障害補償一時金

    休業補償給付

    怪我や病気によって仕事ができなかった場合の補償

    遺族補償給付

    怪我や病気が原因で亡くなってしまった場合の遺族に対する補償

    葬祭料

    無くなった人の葬祭を行うときに、葬祭を行う人に対して給付

    傷病補償年金

    怪我や病気を治療して1年6ヶ月経過してもなおっておらず、後遺障害等級に該当する場合に給付される

    介護補償給付

    後遺障害等級が第1級の人、第2級の精神・神経障害および胸腹部臓器障害の人が現に介護を受けているときに給付される

    業務上の負傷にあたるかどうかをケース別に検討

    業務災害である「業務上の負傷」とはどのようなことを指すのでしょうか。
    以下の3つのケースに分けて検討しましょう。

    事業主の支配・管理下で仕事をしているような場合

    まず一つは、会社に出社して、会社の中や事業所で業務に従事している場合です。
    基本的には業務災害になるのですが、以下のような場合には業務災害と認められないことがあります。

    • 労働者が就業中に私用や業務を逸脱した行為を行っていて怪我をしたような場合
    • 労働者が故意に怪我をしたような場合
    • 労働者が個人的な恨みで会社とは関係のない第三者に暴行をされて怪我をした場合
    • 天変地変によって怪我をした場合で、環境が怪我をしやすい環境にあると認められないような場合

    • 事業主の支配・管理下にあっても仕事をしていない場合

      出社をして職場に居るような場合でも、お昼休みや就業時間の前後で、まだ仕事はしていない場合があります。
      このようなときに発生した怪我は業務とは関係がないので、業務上の負傷にあたりません。
      ただし、職場の施設・設備が壊れているのを放置していたなど、事業主の管理状況が原因で発生した怪我は、業務上負傷とされます。
      仕事中にトイレにいくことは、休憩ではなく業務に付随したものとして扱われます。

      事業主の支配下にあるが管理下を離れて業務に従事している場合

      営業の方であれば、職場から外出して商談先に向かいます。
      また、遠方に出張するようなこともあります。
      このように、仕事で行っている以上、事業主の支配下にあるといえるのですが、職場にいないので管理からは離れている場合には、基本的に業務災害と認められます。

      業務上の疾病といえるための3要件を確認

      業務上の疾病とはどのような場合を指すのでしょうか。

      業務と疾病との間に因果関係が必要

      怪我と異なり、疾病は業務から発生したかどうかが定かではないことがあります。
      脳出血を発症したとして、仕事のしすぎなのか、食生活が乱れや運動不足などの不摂生が原因なのか、確実に断言することができません。
      そのため、業務と疾病との間に相当と言える因果関係があることが必要で、一般的には次の3要件が満たされることが必要です。

      労働の場に有害因子が存在する

      職場など、働いているところに、有害因子が存在していることが必要です。
      病気の原因になるような化学物質を取り扱っていたり、過度に負担のかかる業務であったような場合がこれにあたります。
      空気の悪い職場で喘息を発症したような場合や、残業時間が多い職場で脳出血が発生した、というような例が挙げられます。

      健康障害を起こしうるほどの有害因子にばく露したこと

      上記のような有害因子に身をさらす(ばく露)することによって疾病が発生するといえますが、有害因子にばく露したからといってただちに健康障害が起きるとは限りません。
      健康障害が起きる程度にばく露していたことが必要で、有害因子とばく露をしていた頻度・期間を総合的に考慮します。

      発症の経過および病態

      有害因子へのばく露によって、どのように健康被害が出るかは、人によってことなるといえます。
      そのため、有害因子へのばく露によって、どのように疾病が発症し、その後の経過や病態から、相当因果関係を判断します。

      会社が労災を認めない場合の対処方法

      会社が、怪我や病気を労働災害と認めてくれず、必要な手続をしない場合にはどうすれば良いのでしょうか。
      労働災害かどうかを認定する権限は労働基準監督署にあり、会社にはありません。
      労災申請のためには、会社が申請書類の事業主証明欄に署名押印をする必要があるのですが、労働災害と認めたくないことから署名押印をしないケースがあります。
      このような場合には、会社の署名押印なしに労働災害を申請をすることが可能で、申請書を提出すれば労働基準監督署の職権で調査をしてくれます。
      会社が労災を認めない場合には、労働基準監督署に相談をしてみましょう。

      まとめ

      このページでは、業務災害とは何かについてお伝えしてきました。
      仕事をする上で怪我をする病気になったとき、特に働けなくなったような場合には生計を立てるために重要なものになります。
      もし会社が申請を認めてくれないような場合でも、諦めずに労働基準監督署に相談をして、労働災害と認定してもらうようにしましょう。

      監修者


      みんなのユニオン

      執行委員岡野武志

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      みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。