不当解雇は労働基準監督署に相談する?問題解決の方法を徹底解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・不当解雇は法律の規定にそわない解雇のことをいう。
・不当解雇の最終的な解決方法は民事訴訟である。
・不当解雇の相談先には、労働基準監督署・労働局・弁護士などがある。

解雇をされたけどもこれは不当解雇である、と争いたい場合に、専門的な知識を持った人に助力をしてもらうための相談は誰ににするのでしょうか。
労働に関する相談として、公的な機関に相談したいと思ったときに、労働基準監督署は候補の一つにあがります。
本当に不当解雇問題の解決には、労働基準監督署に相談するのが正しいのでしょうか。
このページでは不当解雇問題で労働基準監督署がどう関わるか、不当解雇の解決方法と一緒にお伝えします。

法律の規定に沿わない解雇が不当解雇

まず、不当解雇とはそもそもどのようなものをいうのか確認しましょう。

解雇は法律で規制がされている

解雇とは、会社が一方的に労働契約を終了させることを言います。
解雇については、労働能力が低下するなど労働者の個別の事情によって行われる普通解雇、経営不振によるリストラの一環として行われる人員整理としての整理解雇、犯罪を犯したなど会社の規律・秩序の維持のために行われる懲戒解雇があります。
多くの人が労働によってえられる給与で生活をしているので、解雇は生活に重大な影響を及ぼします。
そこで、解雇については、法律で次のような規制がされています。

特定のケースにおける解雇禁止

様々な法律により、特定の理由や期間に解雇が禁止されています。
不当解雇とは、一般的にそのような解雇を制限しているにも関わらずされた解雇のことをいいます。
いくつか例を見てみましょう。

条文

内容

労働基準法19条

業務上で負傷をしたり、病気にかかったために療養している期間、およびその後30日の解雇を禁止している。

労働基準法19条

産前産後の女性の労働基準法65条の休業期間と、その後30日の解雇を禁止している。

労働基準法104条2項

労働基準監督署への通告をしたことを原因とする解雇を禁止している。

労働組合法7条1号

労働組合の組合員であること、労働組合に加入すること、労働組合を結成しようとしたこと、などを原因とする解雇を不当労働行為として禁止している。

労働契約法17条1項

期間の定めがある場合の、やむを得ない事由のない解雇を禁止している。

男女雇用機会均等法9条2項

女性が結婚をしたことを原因とした解雇を禁止している。

法律の規定・就業規則で解雇できる場合でも濫用は禁止

上記のような法律の規定による解雇制限がなく、就業規則上でも解雇をすることができる場合でも、その解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当ではない場合には、解雇は濫用であり、無効であるとされています(労働契約法16条)。
労働契約法16条、また労働契約法16条の元となった解雇権濫用の法理によって、整理解雇をする場合でも整理解雇の4要件を満たしていることが必要であったり、懲戒解雇をする場合には懲戒事由とのバランスを欠くような懲戒解雇は無効とされます。
どのような解雇が濫用として無効といえるかについては、ケースバイケースとなりますので、自分にされた解雇が不当解雇にあたるかは、弁護士に相談をして判断してもらうのが良いでしょう。

不当解雇の被害にあった場合の解決方法

では、不当解雇の被害にあった場合にはどのように解決すればいいのでしょうか。

不当解雇は解雇が無効だと会社に主張する

不当解雇をされた場合には会社に対してどのような主張をするのでしょうか。
解雇を制限する法律の規定にはいくつかの表現がありますが、その制限を無視してされた解雇については「無効」となることになります。
そのため、会社がした解雇は無効であると会社に主張していくことになります。
解雇が無効となると、会社に復職し、不当解雇として出勤できなかった期間の給与の支払いを受けることになります
会社に復職をすることが現実的ではないような場合には、金銭での解決をすることもあります。

不当解雇は最終的には裁判で争う

不当解雇であり無効であるということをどのように争うのでしょうか。
まずは、会社と解雇は無効であるという交渉を始めることになります。
会社が解雇は無効であると認めない場合には、法的な手段をとることになります。
その典型的な方法としては、裁判を起こして、解雇は無効であると判断してもらうことです。
なお、労働関係の争いについては、裁判の他にも労働審判という柔軟な解決方法があります。

労働基準監督署は労働基準法違反の解雇に行政指導をする

不当解雇について労働基準監督署は何もしないのでしょうか。
労働基準監督署の役割は、行政指導を通じて、会社がきちんと労働基準法を守るようにさせる役割を持った役所です。
そのため、労働基準法などに違反した不当解雇について会社に行政指導を行います。
上述したように、休業期間の解雇制限に違反した解雇のような場合に、労働基準監督署から会社に対して行政指導をすることで、会社が不当解雇について態度を改めるということが期待できます。

労働局が行政指導をすることもある

上記のように、労働基準法以外にも解雇を禁じる法律があります。
これについて、労働局が行政指導を行うことがありますので、注意が必要です。
例えば男女雇用機会均等法は、厚生労働大臣が行政指導を行う旨規定しており(男女雇用機会均等法29条1項)、その権限は都道府県労働局長に委任することができる旨が規定されています(男女雇用機会均等法29条2項)。
法令に違反した解雇について不当解雇として争う場合には、労働局に相談をして行政指導を行ってもらうことも検討することになります。

労働基準監督署など不当解雇を相談する機関

では不当解雇にあった場合に、どこに相談をするかを検討しましょう。

労働基準監督署

上述したように、労働基準監督署が所轄となる不当解雇がありますので、労働基準監督署で不当解雇の相談をすることが可能です。
労働基準監督署で相談をして、労働基準監督署でできることについては対応してもらいましょう。
上記のような労働基準法に規定のある解雇制限に違反する場合の行政指導や、解雇理由証明書(労働基準法22条2項)を出さない場合に行政指導をしてもらうなどが期待できます。
労働基準監督署では解決できないことについてはその後にどのような行動をすればよいかのアドバイスを受けることができるでしょう。

総合労働相談コーナー

労働に関する公的な相談先として、総合労働相談コーナーがあります。
都道府県の労働局や労働基準監督署の中にあり、労働問題に関する相談を全般的に受け付けています。
こちらでも、解決方法に対する情報提供を受けることができます。

直接的に解決するためには弁護士に相談すべき

公的な機関としては以上のような相談先がありますが、直接的に解決をするためには弁護士に相談をしましょう。
行政指導は、明らかな法令違反があるような場合には効果がありますが、当事者間で争うような不当解雇については解決に効果がない場合もあります。
そのため、直接的に解決をするためには、相手と交渉をして、最終的には裁判・労働審判によって解雇が無効と確定する必要があります。
解雇が有効か無効か、どのような証拠を集めて交渉・裁判を行うべきかなどを考える必要があるため、弁護士に相談をすることが解決の近道といえます。

まとめ

このページでは、不当解雇について、労働基準監督署とどう関係しているか、不当解雇をどう解決するかについてお伝えしました。
労働基準監督署は、労働基準法に違反する不当解雇には対応していますが、多くの不当解雇について対応していないといえます。
弁護士に相談をするのが近道といえます。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。