労働基準監督署へ通報すると何をしてもらえるのか

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・労働基準監督署に対しておこなえることは、相談・申告・公益通報であること
・申告・通報をおこなった場合は、労働基準監督署が事実関係を確認し、違法行為が確認できれば指導・監督をおこなうこと
・指導・監督をおこなっても改善されない場合は、送検や告訴、告発をおこなう場合があること

労働基準監督署に通報するにはどのようにすればよいのか、どのようなことに対して通報できるのか、通報することで労働基準監督署は何をおこなってくれるのかを知りたいのではないでしょうか?

労働基準監督署は、労働基準法などの法律に基づき、会社などへ立ち入り検査をおこない労働条件などの確認をおこなう行政機関です。調査した結果、法律違反が認められれば会社に対して是正するように指導・監督をおこないます。

この記事では、労働基準監督署に対しておこなえることは何か、どのような内容を申告・通報すべきか、申告・通報したら何をしてもらえるのか、申告・通報するにはどうすればよいのか、申告・通報するときの注意点について解説します。

労働基準監督署に対しておこなえること

会社で起こった出来事に関して労働者が労働基準監督署でできる行為は、以下の3点です。

  • 相談
  • 申告
  • 公益通報

  • 気軽にできる相談

    労働基準監督署あるいは労働局内に設置されている「総合労働相談コーナー」では、解雇や労働条件、採用、いじめなどの労働問題に関する相談を受け付けています。専門の相談員と直接話をする以外にも、電話での相談も可能です。

    労働基準法に基づく申告

    会社内で違法な行為を発見した場合には、労働基準監督署へ申告をおこなえます。(労働基準法104条)申告ができる内容は、労働基準法に違反している場合、あるいは労働基準法に基づいた命令に違反している場合です。申告を受け付けた場合には、事業所や労働者に対して事実関係の確認をおこない、法律違反があれば是正するように指導・監督します。また、臨検という立ち入り調査がおこなわれる場合もあります。

    事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。

    ② 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

    引用:労働基準法104条

    公益通報者保護法に基づく公益通報

    公益通報とは、会社内の違法行為に対しておこなわれるもので、公益通報保護法によって定められています。会社内の違法行為を是正しやすくすることを目的としており、違反している法律に対応する行政機関へ通報する仕組みになっています。

    公益通報が対応している法律の範囲は、労働基準法を含めさまざまなものがあります。会社内の違法行為が労働基準法に関する内容であれば、通報する行政機関は労働基準監督署です。

    つまり、労働基準監督署に対して会社の違法行為を伝える方法は、申告と公益通報の2種類があるということです。労働者からの話を聞いた労働基準監督署は、労働基準法に関する内容であれば自分たちで対応し、対応できない内容であれば関係する行政機関への案内と連絡をおこないます。

    労働基準監督署へ申告・通報すべき内容とは

    労働基準監督署へ通報すべき内容とは、労働に関する法令に違反している行為がおこなわれている、あるいはおこなわれようとしている行為です。

    具体的には以下のようなことが会社でおこっている場合に通報すべきでしょう。

    • 賃金の未払いが発生している
    • 雇用契約と異なる労働を強制される
    • 会社が休日や有給休暇の取得を認めない
    • 不当な解雇や懲戒処分

    • 上記のような労働に関する法令に違反する行為がおこなわれており、違法行為がおこなわれていることを証明できる場合に申告・通報しましょう。会社の同僚から聞いたり噂話を耳にしたりするような、具体的な証拠がない場合は申告・通報すべきではありません。ただし、労働に関する法令以外の違法行為など労働基準監督署の管轄外の通報であれば、ふさわしい行政機関へ案内してもらえます。

      労働基準監督署へ通報すべきかどうか分からないのであれば、通報ではなく相談することも検討してみましょう。

      労働基準監督署に申告・通報したら何をしてくれるのか

      労働基準監督署は、会社の違法行為の連絡を受けると、事実確認をおこなったあとに違法行為が確認できれば是正を図るように指導・監督をおこないます。指導・監督をおこなっても違法行為が繰り返されるなどの是正が認められない場合には、強制捜査を含む司法警察権限を行使し、送検や告訴、告発をおこなう場合もあります。

      労働基準監督官の権限には以下のようなものがあります。

      ・監督する事業場に、昼夜を問わずいつでも自由に予告なく立ち入ることができる

      ・事業所に対して帳簿及び書類の提出を求め、従業員等に対して尋問をおこなうことができる(労働基準法101条1項)

      ・立入調査や書類の提出を拒んだり妨げたりした場合は処罰される場合がある(労働基準法120条)

      労働基準監督署に申告・通報する方法

      労働基準監督署に申告・通報する方法は、以下の3つです。

      • 労働基準監督署に直接行く
      • 労働基準監督署へ電話する
      • 労働基準監督署へメールを送る

      • それぞれ対応する時間が異なるため、使える時間に合わせて申告・通報しましょう。

      労働基準監督署に直接行く

      それぞれの労働基準監督署は、管轄する場所が分かれています。勤務する会社を管轄する労働基準監督署はどこなのかを確認したうえで訪問しましょう。労働基準監督署が直接訪問を受け付けているのは、平日の8:30から17:15までになります。

      労働基準監督署へ電話する

      勤務する会社を管轄する労働基準監督署へ電話で申告・通報することも可能です。また、「総合労働相談コーナー」ではあらゆる分野の労働問題への相談を受け付けています。

      労働基準監督署へメールを送る

      メールを送る場合は、厚生労働省のサイトに設置している「労働基準関係情報メール窓口」送信フォームを利用します。送信した内容は、所轄する労働基準監督署や都道府県労働局において、立入調査対象の選定などに活用されます。ただし、送信した内容に関する相談や照会はできません。

      労働基準監督署に申告・通報するときの注意点

      労働基準監督署に申告・通報する場合には、以下の3点に注意しておきましょう。

      • 法令違反の具体的な情報が求められる
      • 申告・通報したことが会社に知られる可能性がある
      • 申告・通報した人は法律によって守られる

      • 労働基準監督署に申告・通報したのに思ったような結果にならなかった、状況が悪化したという結果になる恐れもあります。申告・通報するときにはしっかり準備をおこない、不明な点がある場合は労働基準監督署に確認することが重要です。

        法令違反の具体的な情報が求められる

        労働者の申告・通報に基づいて労働基準監督署が立ち入り調査などをおこなうためには、どの部署で法令違反がおきているのか、どの程度の法令違反なのか、どの部署に確認すれば法令違反の事実が特定できるのかなどの、具体的な情報が必要になります。

        申告・通報したことが会社に知られる可能性がある

        労働基準監督署が法令違反の事実を確認するためには、会社の資料だけでは不足する場合があります。たとえば賃金不払いに関する内容の場合、会社のタイムカードが改ざんされていれば、労働基準監督署が法令違反かどうかを特定することは難しいです。このような場合には、申告・通報があったことを会社へ通知し、パソコンの利用時間を確認するなどの労働実態の把握が必要になります。

        申告・通報があったという事実を公表できるかどうかは立ち入り検査に大きく影響するため、申告・通報するときには公表してよいかを伝えておきましょう。

        申告・通報した人は法律によって守られる

        会社の法律違反を労働基準監督署へ申告・通報した人は、労働基準法104条あるいは公益通報者保護法によって守られます。申告・通報したことで会社が解雇や不当な配置転換などの労働者に対する不利益な行為をおこなえば、労働基準法違反です。

        監修者


        みんなのユニオン

        執行委員岡野武志

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        みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。