働き方改革で年5日の有休取得が義務化!有給休暇の基本を解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・有給休暇とは、仕事をしなくても給与が支給される休暇のこと。
・有給休暇の付与日数は法律で定められ、パートなど短時間労働者も勤続年数に応じて付与される。
・原則は自分の好きな時季に有給休暇を取得することができるが、多くの従業員が同時に休暇指定した場合、会社には時季変更権がある。
・働き方改革で政府は有給休暇取得の促進を図っており、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け積極的に有給休暇を取得しよう。

平成30年度の有給休暇取得率は52.4%で、欧米諸国と比較して低位です。有給休暇を取りにくい日本の企業文化が原因といわれ、働き方改革を推進する政府も有給休暇取得の促進を図っています。

今回の記事では、有給休暇の定義や付与日数の決め方について解説するとともに、有給休暇を取得するときに知っておきたい法律上の決まりごとを紹介します。社会人の基礎知識として覚えておきましょう。

有給休暇と働き方改革

はじめに、有給休暇の意味と有給休暇が付与される要件について確認しましょう。

有給休暇とは

有給休暇とは、仕事をしなくても給与が支給される休暇のことです。有給休暇については労働基準法第39条に定めがあり、所定の要件を満たした従業員に所定日数の有給休暇を付与することを、会社に義務付けています。

有給休暇は正式には「年次有給休暇」といいますが、有給や年休とよばれることもあります。

有給休暇が付与される2つの要件

入社後に初めて有給休暇が付与されるのは下記の2要件を満たしたときです。

  • 雇い入れの日から6か月継続勤務している。
  • 全労働日の8割以上の出勤をしている。

  • 継続勤務とは、職場での在籍期間を意味し勤務の実態に即して実質的に判断されます。雇用形態が変更(契約社員から正社員など)になった場合も、継続勤務の扱いになります。

    また、出勤率の計算では業務上の災害により休業した日や、法律上の育児休業日、介護休業日は出勤したものとして取り扱います。

    働き方改革による有給休暇取得の義務化

    働き方改革法案が成立し、平成元年4月1日より会社は「年5日の有給休暇」を従業員に取得させることが義務付けられました。働き方改革の「長時間労働の是正」と「ワーク・ライフ・バランスの実現」という目的に沿った施策の一環です。

    有給休暇の完全取得が理想ですが、取得の少ない人でも1年間に最低5日以上は有給休暇を取得するよう、企業に強制するものです。企業は有給休暇を付与するだけでなく、取得させる義務まで負うことになったのです。

    有給休暇の付与日数

    毎年の有給休暇の付与日数は法律で下限が定められ、勤続年数が長くなるほど増えます。また、フルタイムの正社員とパートやアルバイトなどの短時間従業員では付与日数は異なりますので、それぞれについて説明します。

    正社員の有給休暇の付与日数

    正社員などのフルタイムの有給休暇の付与日数は、勤続年数に応じて次の通りです。

    (有給休暇の付与日数)

    勤続年数

    0.5年

    1.5年

    2.5年

    3.5年

    4.5年

    5.5年

    6.5年以上

    付与日数

    10日

    11日

    12日

    14日

    16日

    18日

    20日

    付与日数は労働基準法第39条に定める最低限度であるため、企業が独自にこれを上回る日数の有給休暇を付与することもあります。

    パート・アルバイトの付与日数

    下記要件に該当するパートやアルバイトなどの短時間従業員の有給休暇の付与日数は、勤続年数に応じて次の通りです。

    • 週所定労働日数4日以下 かつ
    • 週所定労働時間30時間未満

    • (短時間従業員の有給休暇の付与日数)

      週所定

      労働日数

      1年の所定労働日数

      勤続年数(年)

      0.5

      1.5

      2.5

      3.5

      4.5

      5.5

      6.5


      付与日数

      4日

      169-216日

      7日

      8日

      9日

      10日

      12日

      13日

      15日

      3日

      121-168日

      5日

      6日

      6日

      8日

      9日

      10日

      11日

      2日

      73-120日

      3日

      4日

      4日

      5日

      6日

      6日

      7日

      1日

      48-72日

      1日

      2日

      2日

      2日

      3日

      3日

      3日

      有給休暇の時効

      有給休暇の取得は原則、従業員が自由に決めることができますが、時効があるので注意しましょう。

      労働基準法第115条により、有給休暇は発生の日(付与日)から2年間で時効により消滅します。有給休暇が新たに付与される日の前日までに、2年前に付与された有給休暇を消化しないと、有給休暇は消滅して無駄になります。

      また、1年前に付与された有給休暇は次年度に繰越されます。

      有給休暇の取得時季

      有給休暇の取得については、労働基準法第39条で以下の定めがあります。尚、有給休暇では、取得するタイミングのことを「時期」ではなく「時季」と表記します。

      従業員の時季指定権

      会社は、有給休暇を従業員の請求する時季に与えなければなりません。

      つまり、従業員は自分の好きな時季に有給休暇を取得することができるのです。
      この権利のことを「時季指定権」といいます。

      会社の時季変更権

      従業員から請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合、会社はほかの時季にこれを与えることができます。

      この権利を会社の「時季変更権」といいます。 ただし、時季変更権が認められるのは、同じ日に多くの従業員が同時に休暇指定した場合などで、単に「業務多忙だから」という理由では認められません。

      有給休暇の計画的付与

      会社は労使協定を締結することにより、従業員が保有する有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、労使協定で定めた時季に与えることができます。

      これを「有給休暇の計画的付与」といいます 。有給休暇が5日しかない従業員については適用されず、有給休暇が10日の人は5日間は自分の好きな時季に取得できます。

      有給休暇の時間単位付与

      年次有給休暇は原則、1日単位で付与されますが、労使協定を締結することにより1時間単位でも付与できます。

      これを「有給休暇の時間単位付与」といいますが、1年間で使えるのは5日分までに限られます。また、労使協定で定めるのは下記事項です。

      • 時間単位付与の対象となる労働者の範囲
      • 時間単位付与の対象となる日数(5日以内)
      • 時間単位付与できる1日の時間数
      • 1時間以外の時間を単位とする場合、その時間数

      • 時間単位で有給休暇を取得するかどうかは、従業員が自分の都合で決めるもので会社から強制されるものではありません。

        会社に対する時季指定義務

        年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、会社は有給休暇の日数のうち
        年5日について会社が時季を指定して取得させることが義務付けられています。

        これを会社に対する「有給休暇の時季指定義務」といいます。ただし、既に5日以上取得済みの従業員に対して時季指定は不要です。

        「計画的付与」が業務の忙しい時季の休暇取得を避けること(または、暇な時期の休暇取得を促進すること)を目的とするのに対し、「時季指定義務」は従業員の有給休暇取得の促進を目的としています。

        (時季指定を行うタイミング)

        会社が時季指定を行うタイミングは、有給休暇を付与したときでなくても問題ありません。ただし、有給休暇を付与した日から1年以内です。

        時季指定の目的は従業員の有給休暇取得の促進(1年間で最低5日以上の有給休暇取得)であるため、次のように設定することも可能です。

        • 有給休暇の付与日から一定期間が経過したタイミング(半年後など)で取得日数が5日未満の従業員に対して時季指定をする。
        • 過去の実績から有給休暇の取得日数が著しく少ない従業員に対し、年間を通じて計画的に取得できるよう付与日に時季指定をする。

        • 監修者


          みんなのユニオン

          執行委員岡野武志

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          みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。