退職金はいくら?退職金の計算パターンと税金の計算方法も解説!

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・退職金の主な計算方法は、「定額方式」「基本給連動方式」「別テーブル方式」「ポイント方式」の4つ。
・「定額方式」「基本給連動方式」の退職金額は、勤続年数で決まる(影響が大きい)。
・「別テーブル方式」「ポイント方式」は、制度設計次第で会社に対する功績や会社が重視する項目が退職金額に反映している。

定年が近い人や転職を検討している人の中には、退職金がいくらもらえるか気になっている人もいるでしょう。今回の記事では、退職金の計算法や退職金にかかる税金の計算方法を中心に解説します。

退職金の計算方法は勤務先の就業規則で確認できますが、会社によって大きく異なります。主な計算方法を理解したうえで就業規則を確認すれば、自分で退職金額を計算できるようになります。

退職金の種類と平均金額

退職金は、退職時に一括して支給されるケースと企業年金のように分割して支給されるケースがあります。まずは、退職給付制度の種類と実際にいくら位の退職金が支給されているのか確認しておきましょう。

退職給付制度の種類

従業員が会社を辞めるときの退職給付制度は主に次の3つです。

  • 退職一時金制度のみ
  • 退職年金制度のみ
  • 退職一時金制度と退職年金制度の両方

  • 総務省統計局の「平成30年就労条件総合調査」では、退職給付制度のある会社は調査対象の80.5%です。従業員数300人以上の会社では90%以上が制度を導入していて企業規模が大きいほど導入率は高くなります。

    制度別にみると最も多いのが、「退職一時金制度のみ」です。制度別の導入状況は次の通りです。※分母は退職給付制度を導入している企業

    • 退職一時金制度のみ:73.3%
    • 退職年金制度のみ :8.6%
    • 両制度を併用   :18.1%

    退職金規定をどう定めるかは法律上の制約はなく、会社によってさまざまです。年功序列の終身雇用制度が崩れ、転職が当たり前になったことに伴い、退職金をなくす代わりにその分を給与に上乗せする会社も増えています。

    参考:総務省統計局「平成30年就労条件総合調査」

    退職金の平均金額

    それでは、実際に退職金はいくらくらい支払われているのでしょう。前述の「平成30年就労条件総合調査」で退職事由別にみると次の通りです。

    • 自己都合退職:1,519万円
    • 会社都合退職:2,156万円
    • 希望退職  :2,326万円

    • ※金額は一時金と年金の合計。対象は平成29年度の勤続20年以上かつ年齢45歳以上、大学卒の退職者。

      次に勤続年数別にみると、勤続年数に応じて退職金額は増加しますが「30~34年」以降は増えなくなります。

      (勤続年数別の平均退職金額)

      勤続年数

      希望退職

      会社都合退職

      自己都合退職

      20~24年

      1,402万円

       634万円

       780万円

      25~29年

      1,995万円

      1,786万円

      1,399万円

      30~34年

      2,522万円

      2,572万円

      2,110万円

      35年以上

      2,530万円

      2,403万円

      2,116万円

      全年齢

      2,326万円

      2,156万円

      1,519万円


      ※退職給付額は一時金と年金の合計。対象は平成29年度の勤続20年以上かつ年齢45歳以上、大学卒の退職者。

      参考:総務省統計局|平成30年就労条件総合調査

      退職金の計算方法は主に4種類

      退職金の決め方は会社によって異なりますが、就業規則をみれば退職金の計算方法はわかります。就業規則をみて理解できるように、主な計算方法を4つ紹介します。

      • ①勤続年数に応じた定額方式
      • ②基本給連動方式(基本給連動型)
      • ③別テーブル方式(別テーブル制)
      • ④ポイント方式(ポイント制)

      • 計算方法①勤続年数に応じた定額方式

        1つ目の計算方法は勤続年数に応じた定額方式です。「勤続年数が◯年~◯年の人は退職金は◯万円」と決める方法で、下記のイメージです。

        (勤続年数別退職金表の例)

        勤続年数

        退職金額

        3年未満

        0円

        3年以上5年未満

        50万円

        5年以上10年未満

        200万円

        10年以上15年未満

        400万円

        15年以上20年未満

        600万円

        勤続年数によって退職金額がすぐにわかること、長期勤続すれば退職金額が増えること、が定額方式のメリットです。一方、勤続年数以外の要素、たとえば会社への功労などが反映しないというデメリットがあります。

        計算方法②基本給連動方式(基本給連動型)

        2つ目の計算方法は基本給連動方式です。退職時の基本給をベースとして、勤続年数に応じた支給率を乗じて計算します。

        • 退職金額=退職時の基本給✕勤続年数に応じた支給率

        • (勤続年数別の支給率の例)

          勤続年数

          勤続年数に応じた支給率

          1年以上5年未満

          1.0

          5年以上10年未満

          3.0

          10年以上15年未満

          6.0

          15年以上20年未満

          10.0

          20年以上25年未満

          15.0


          ※勤続年数の区切りは1年ごとに設定するなど、会社により異なります。

          基本給連動方式のメリットは比較的計算が容易なこと、年功が退職金額に反映すること、などです。退職時に基本給をベースにするので定額方式とは異なりますが、会社への功労などが十分に反映しないというデメリットもあります。

          (退職事由の反映)

          基本給連動方式に限らず、退職事由を退職金の計算に反映している会社も多いです。会社都合と自己都合の支給額を変えるなどですが、反映方法は大きく2つに分けられます。

          • ①上表の「勤続年数に応じた支給率」を退職事由ごとに設ける。
          • ②ベースとなる退職金額を計算したあとに退職事由による係数を乗じる

          • ②の場合、退職金額は下記にて計算します。

            • 退職金額=退職時の基本給✕勤続年数に応じた支給率✕退職事由による係数

            • 下記は退職事由による係数の一例です。就業規則を確認する際、見落とさないようにしましょう。

              • 解雇、定年退職、会社都合退職、死亡   :退職事由による係数1.0
              • 自己都合退職、休職満了後の退職、懲戒解雇:退職事由による係数0.8

              • 計算方法③別テーブル方式(別テーブル制)

                3つ目の計算方法は別テーブル方式です。基本給連動方式に似た仕組みで、「退職時の基本給」の代わりに「役職や等級に応じて決められた基準額」を用いて計算します。基準額は基本給などとは別に定めるため別テーブル方式などとよびます。

                • 退職金額=役職・等級などによる基準額✕勤続年数に応じた支給率

                • 勤続年数を退職金額に反映しながら、基準額の設定次第で会社に対する功績に応じた年金制度を設計できるメリットがあります。ただし、退職直前に降格した場合など、在職中の功績が評価されない可能性もあります。

                  計算方法④ポイント方式(ポイント制)

                  4つ目の計算方法はポイント方式です。ポイント方式の計算方法は次の通りです。

                  • 退職金額=退職金ポイントの累計 × ポイント単価

                  • 退職金ポイントは、下記などの評価項目を一定期間ごとに従業員に付与して退職時に累計するのが一般的です。

                    • 勤続年数
                    • 職能・職務等級
                    • 役職 など

                    ポイント単価は、評価項目や付与ポイントの設定によって大きく異なるので会社によって様々です。

                    ポイント方式は、会社への貢献度や会社が重視する評価項目を退職金額に反映できるメリットがあります。ただし、ポイント方式を導入するには下記の環境が整っている必要があります。

                    • 職能・職務等級制度が有効に機能している。
                    • 評価項目を適正にポイント化できる、正しく評価できる組織・機能がある。

                    • 退職金にかかる税金

                      最後に、退職金にかかる税金について説明します。給与と比べて退職金の金額は大きくなるので、税金も多額になることもあります。

                      退職金にかかる税金の計算方法

                      退職金にかかる税金は所得税です。給与に対する所得税と異なるのは退職所得控除などによって課税対象額が大幅に減額されることです。退職所得控除額は勤続年数によって下記のとおりです。

                      • 勤続20年以下:40万円×勤続年数
                      • 勤続20年超 :800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

                      • 課税所得の計算は下記のとおりです。

                        (課税所得)=(退職金額-退職所得金額)×1/2

                        計算方法の詳細は下記リンクを参照ください。

                        参考:国税庁「退職金と税」

                        退職金にかかる税金は源泉徴収される

                        退職金にかかる税金は会社で源泉徴収されるので、個人で計算して確定申告する必要はありません。

                        退職金の支給時期は会社によって異なりますが、支給日が近づくと会社で税金がいくらになるか教えてもらえるかもしれません。

                        監修者


                        みんなのユニオン

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                        みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。