雇用保険なしとされているて違法な場合と労働者の対応方法

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・週20時間以上・31日以上の雇用する見込みがある場合には雇用保険に加入しないとといけない。
・雇用保険加入義務があるのに会社がはいらない場合には罰則がある。
・会社が雇用保険にはいってくれない場合にはハローワークに申告を行う。

「小さい会社だから雇用保険はなしとしている」
「アルバイト・パートに雇用保険はなしとしている」
などとして、雇用保険に加入していないことがあります。
啓発用のポスターなどで雇用保険に加入しなければならないことを目にして、自分の場合に雇用保険に入っていないのは違法なのではないか?と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、雇用保険に加入していないことが法律上どのように取り扱われて、違法な場合に労働者はどのような対応をすることができるかをお伝えします。

一定以上働く場合に雇用保険への加入は義務である

まず、一定時間以上働く場合には雇用保険の加入は義務であることを知っておきましょう。

雇用保険への加入は義務である

雇用保険は、雇用保険法に規定されているもので、失業をした場合の失業手当の給付を行ったり、職業訓練を行うなどの目的をもった制度です(雇用保険法第1条)。
雇用保険は労働者が適用される事業について適用事業としていますので’(雇用保険法第5条)、基本的には会社が労働者を雇用する場合には加入するものであると考えてよいです。
会社から、「従業員が数人の小さな会社なので、雇用保険の対象外」などと説明されているケースが多いのですが、従業員を1人でも雇うと加入する義務があります。

一定の時間以上労働しない者には適用されない

上記のように、基本的には雇用保険に加入するのですが、次の場合には適用しないことになっています(雇用保険法第6条)。

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満
  • 31日以上雇用されることが見込まれない

週に20時間以上働くわけではない、31日以上働くわけではない、という場合には会社は加入の必要がありません。
アルバイトやパートとして働いている場合には、この労働時間以内の場合もあり、そのような場合には雇用保険に加入していません。
しかし、アルバイトやパートでも週20時間以上働く場合には雇用保険に加入する義務があります。

会社が雇用保険に加入したがらないのはお金がかかるから

そもそも、雇用保険は給与から天引きをされて、その分を会社が納めることになっているのに、どうして雇用保険に加入したがらない会社がいるのでしょうか。
実は、雇用保険は、労働者だけではなく、会社も費用負担を強いられるものになります。
雇用保険の料率は次のようになっています。

種類

労働者の負担

事業者の負担

一般

0.3%

0.6%

農林水産・清酒酒造

0.4%

0.7%

建設

0.4%

0.8%

つまり、雇用をすると会社も雇用保険料がかかることになるため、お金をかけたくないと考えた会社は雇用保険に入りたがらないということになります。

加入義務に違反する会社へのペナルティ

雇用保険の加入義務に違反する会社には、行政指導
の対象となる・刑事罰が科せられるというペナルティがあります。
雇用保険法に違反する行為については、雇用保険法77条以下で、行政庁が会社に対して報告をさせる、文書の提出をさせる、出頭を命じる、立入検査を行うといった行政指導を行うことができます。

会社が雇用保険に入ってくれない場合の対応策

では会社が雇用保険に入ってくれない場合の対応方法を確認しましょう。

本当に雇用保険に入っていないかを確認することができる

まず、雇用保険に入っていないことをしっかり確認しましょう。
給与明細を確認して、雇用保険料が引かれていない場合には、雇用保険に加入していない可能性が強いですし、仮に雇用保険料がひかれていても、会社が加入していないような場合があります。
雇用保険法第8条・9条は、厚生労働大臣は雇用保険の被保険者である労働者から、被保険者となっていることなどの確認することを請求することができることを定めています。
この事務はハローワークで行っていますので、最寄りのハローワークに問い合わせをしてみましょう。
なお、この確認の請求をしたことを理由に、解雇などの不利益な取り扱いをすることは禁止されています(雇用保険法第73条)。

ハローワークに申告を行う

上述したように、雇用保険に加入していないのは、雇用保険法違反となります。
雇用保険法に関する問題は、厚生労働大臣から都道府県の労働局長に委任され、その権限が公共職業安定所長に委任されることが規定されています(雇用保険法第81条)。
そのため、上述の確認の請求と同様にハローワークに申告をして、行政指導を行ってもらうことによって、雇用保険への加入を促すことが期待できます。
申告の際には、週20時間以上勤務しており・31日以上継続して働く見込みであること、雇用保険に加入していないことを示す証拠があるほうが良いといえます。
雇用契約書や直近のシフト表、給与明細・上述した確認の請求によって雇用保険に加入していないことを示すものなどを揃えて提出をしましょう。
なお、相談だけであれば、労働局などに設置されている総合労働相談コーナーに行うことも可能です。

会社を辞めるような場合には2年遡って納付してもらう

会社をやめてしばらく失業保険をもらいたい、という場合でも、自己都合退職の場合には2年、会社都合退職などには1年、雇用保険に加入していたことが必要です。
つまり、行政指導を行ってもらって、すぐに加入したとしても、そのままでは2年ないし1年経過しないと、会社を退職しても、退職後に失業手当がもらえなくなってしまいます。
雇用保険は2年間分の未納部分については支払うことができるようになっており、これによって失業保険を受け取ることができるので、会社に2年分の未納金を支払ってもらうように、ハローワークに相談をします。

雇用保険未加入で失業したときには求職者支援制度

雇用保険に未加入のまま失業して、失業手当がでない場合に利用したい制度として、求職者支援制度を知っておきましょう。
求職者支援制度とは、雇用保険を受給できない場合に行うもので、求職者支援訓練という無料の職業訓練を受けることによって、給付金を受けることができます。
支給要件として、本人の収入が8万円以下・世帯全体の収入が25万円以下などの様々な要件がありますが、職業訓練を受けながら毎月10万円・交通費をもらうことができ、長いものですと半年以上じっくり学ぶことができるものもあるので、手に職をつけることが可能となります。

まとめ

このページでは、雇用保険に加入していない場合の法律の規定と、労働者の対応方法についてお伝えしました。
会社の負担になることから、加入されないこともある雇用保険ですが、週20時間以上労働する人を1人でも雇えば、加入する義務があるものになります。
退職後に失業手当をもらえなくなる不利益は大きいものになるので、早めにハローワークに相談をすることをお勧めします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。