雇い止め通知書とは?「雇い止めに関する基準」についても解説!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181012185254 806284e77a6ea5896bcd80ee3c35adfe98642681 1

この記事でわかること

・雇い止め通知書とは、労働契約満了時に会社が更新を拒否して従業員との契約を終了させることを、従業員に通知するためのもの。
・会社が従業員に対し「雇い止めの予告」や「雇い止め理由の明示」を行うときに、雇い止め通知書が使用される。
・通知書が交付されても、雇い止めされないケースもあるので覚えておこう。

新型コロナウイルス感染症の影響で解雇や雇い止め見込みの労働者数が8万8千名を超えました。パートや契約社員で働く人の中には、自分も雇い止めにならないか心配している人もいるでしょう。

今回の記事では、雇い止め時に会社から交付される「雇い止め通知書」について解説します。通知書が交付されても雇い止めされないケースも紹介しますので参考にしてください。

雇い止めとは|雇い止めの定義と現状

まずは、雇い止めについての基本事項と新型コロナウイルス感染症の影響による雇い止めの現状について説明します。

雇い止めとは

雇い止めとは、「有期契約労働者」の労働契約が満了したとき、労働者が契約の更新を希望するにも関わらず契約が更新されないことです。雇い止め後に次の仕事が見つからなければ失業することになります。

有期契約労働者にはパートやアルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託社員などが該当します。

有期労働契約と更新

有期契約労働者が会社と締結する労働契約を「有期労働契約」といい、契約期間は3か月や6か月、1年など、比較的短い期間です。

契約期間が満了し同様の(または内容を変更した)契約を再契約することを「更新」といい、会社と従業員の合意により労働契約が更新されます。

更新されないと労働契約は終了します。従業員は更新を希望するが、会社が更新を拒否して契約終了するのが雇い止めです。

新型コロナウイルス感染症の影響による雇い止めの状況

厚生労働省の2月19日現在の調べでは、新型コロナウイルス感染症の影響で解雇や雇い止め見込みの労働者数が8万8千名を超えました。そのうち約半数は、パートや派遣社員、契約社員などの非正規労働者です。

  • 解雇等見込み労働者数:8万8,574名
  • うち.非正規労働者数:4万2,160名

  • 参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(2月19日現在集計分)」

    雇い止め通知書とは|通知書の内容と「雇い止めに関する基準」

    次に雇い止め通知書について説明します。雇い止めについて厚生労働省が設けた基準を満たすため、雇い止め通知書が利用されることもあります。

    雇い止め通知書とは

    雇い止め通知書とは、有期労働契約が満了するとき、会社が更新を拒否して従業員との契約を終了させることを従業員に通知するためのものです。

    会社に雇い止め通知書を発行する義務はありませんが、後々のトラブルを避けるために書面で従業員に通知するケースもあります。

    特に、次に解説する「事前に雇い止めの予告が必要なケース」では、予告したことを明確にするために雇い止め通知書が利用されます。

    厚生労働省の「雇い止めに関する基準」

    厚生労働省策定の「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」は、雇い止めをめぐるトラブル防止・解決のために設けられました。

    主な内容は次の3つです。

    • ①雇い止めの予告
    • ②雇い止め理由の明示
    • ③契約期間についての配慮(所定の有期契約労働者との契約期間をできるだけ長くするよう努力)

    • 参考:厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」

      ①雇い止めの予告

      契約期間が満了すると原則、有期労働契約は終了します。しかし、次のケースで会社が更新を拒否するときは、契約満了の30日以上前に従業員に更新しないことを予告しなければなりません。

      • 3回以上更新している
      • 契約期間1年以下の派遣契約を更新して通算1年超契約している
      • 1年を超える派遣契約を締結している

      • ②雇い止め理由の明示

        会社が雇い止め予告を行った後、従業員から雇い止め理由についての証明書を請求されれば、会社は証明書を発行することが義務付けられています。

        雇い止め通知書は、雇い止め予告を行う手段として使われたり、雇い止め理由の証明書として使われたりします。2つの内容が記載されていることを明確にするために「雇い止め通知書兼雇い止め理由証明書」という名称を使用する会社もあります。

        雇い止め通知書の記載内容

        雇い止め予告と雇い止め理由の証明書として、雇い止め通知書が作成されていれば一般的には次の内容が記載されています。

        • 通知日
        • 雇い止めの対象となる労働者名
        • 使用者である会社の名称と代表者名
        • 労働契約の満了日
        • 契約を更新しない旨の文言
        • 更新しない理由

        • 通知書の名称(雇用期間満了予告通知、雇い止め予告通知、通知書など)や書式は会社によって異なりますが、一例を下記します。

          ◯◯ ◯◯殿


          令和3年◯月◯日

          株式会社 ◯◯◯

          代表取締役◯◯ ◯◯

          (会社住所)


          雇い止め予告通知書



           この度、令和◯年◯月◯日に貴殿と締結した有期労働契約の期間が満了します。下記の通り、契約の更新は行わないことと致しましたので、ここに30日前の通知をいたします。


                          記


          • 有期労働契約の満了日:令和3年◯月◯日
          • 契約を更新しない理由:取引先との契約終了に伴い担当業務が終了するため


                                           以上

          契約を更新しない理由として次のものがあります。

          • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
          • 契約締結当初から更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため
          • 担当していた業務が終了・中止したため
          • 事業縮小のため
          • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
          • 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため など

          • 雇い止めできないケース

            前述の「雇い止めに関する基準」に従って会社が正当な手続きを踏めば、雇い止めを避けることができません。しかし、下記ケースに該当すれば労働契約を継続できる可能性もあります。

            更新を繰り返し5年超勤務したケース

            有期契約労働者が更新を繰り返し5年超勤務した場合、「有期契約労働者の無期転換ルール」が適用されます。

            無期転換ルールとは、下記要件を満たした有期契約労働者が希望すれば期間の定めのない労働契約を結ぶことができるというものです。

            • 有期労働契約の通算期間が5年を超えている
            • 契約の更新回数が1回以上ある
            • 現在と同じ使用者と契約更新している(直近更新時の使用者=現在の使用者)

            • 通算5年というのは平成25年4月以降に最初に締結した有期労働契約を起点に計算するため、現在、同一の会社で5年超勤務している人は無期転換ルールの対象となります。

              参考:厚生労働省「無期転換ルールハンドブック」

              雇い止め法理により雇い止めが無効とされるケース

              雇い止め法理とは、有期契約労働者保護の観点から所定の要件に該当する雇い止めを無効とするものです。法改正によって労働契約法第19条に条文化されました。

              具体的には下記のようなケースでは、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」として雇い止めが無効になる可能性があります。

              • 無期契約労働者を解雇することと社会通念上同視できるケース:
              • 数年にわたって派遣社員が希望すれば契約は更新されてきた、更新時期に契約を交わすことなく継続して仕事を続けてきた、など

                • 契約が更新されると期待することについて合理的な理由があるケース:
                • 会社側から「基本的に契約は更新する」と言われた、更新後の期間を前提とした業務についての言動があった、など

                  参考:厚生労働省「雇止め法理の法定化(第19条)」

                  監修者


                  みんなのユニオン

                  執行委員岡野武志

                  詳しくはこちら

                  みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。