違法なリストラとはどのような場合か。対応方法とともに紹介

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・リストラとは会社の業績が振るわない場合にする人員整理
・リストラが適法になるためには4つの要件を満たさなければならない
・違法なリストラに対しては従業員の地位を確認する訴訟を起こす

会社の業績がふるわず、会社から解雇を言い渡された、といういわゆるリストラにあった場合にはどのようにすれば良いのでしょうか。
会社の業績が振るわないのでやむをえない部分もあるのですが、一方で日本では解雇はそんなに簡単にできるものではありません。
結論から先に申し上げますと、業績が振るわないからといってする解雇は違法となる場合もあります。
このページでは、そもそもリストラとは何なのか、リストラが適法とされる場合はどのような場合か、違法である場合の対応方法についてお伝えします。

リストラとは日本では整理解雇と同義に使われる

まず、リストラとはどのような意味なのかを確認しましょう。

リストラの本来の意味は再構築

リストラは英語でリストラクチャリング(Restructuring)を省略したものです。
本来、リストラクチャリングは「再構築」を意味し、会社が収益性を高めるために、成長部門に資源を配分したり、不採算部門から撤退したりなどの組織を変更をすることを言います。

バブル崩壊以後リストラは整理解雇の代名詞に

会社の収益性が悪いときにはリストラクチャリングは人員整理や事業所閉鎖といった手段が主になります。
バブル崩壊以後に人員整理が相次いだときに、リストラクチャリングはリストラと略され頻繁に使われるようになります。
その結果、現在の日本では、リストラという言葉は人員整理の意味で用いられています。

リストラは主に整理解雇を意味する

リストラと一口にいってもいろんなものが含まれます。
希望退職者を募集したり、有期雇用契約をしている人の雇止めをする、不採算部門を整理するために配置転換を行う、などがあります。
しかし、リストラとは今日では解雇を指すことが一般的です。
解雇には次の4つの種類がありますが、リストラはその中でも整理解雇に該当します。

種類

概要

普通解雇

労働能力が低下した・無くなったりした場合や、勤務態度が不良であるなどで、懲戒解雇以外で労働者に原因がある解雇のことを言います。

懲戒解雇

会社の秩序を乱す行為に対する処罰として行われる解雇です。

諭旨解雇

懲戒解雇をするのに相当な理由があるものの、温情として一定期間内に退職を促し、退職しない場合に懲戒解雇とするものをいいます。

整理解雇

企業の業績悪化に伴ってする人員整理としてのリストラのことをいいます。

リストラとしての整理解雇が適法になる要件

リストラとして行われる整理解雇ですが、収益をあげるためであればいつでも行うことができるわけではありません。

労働契約法16条は解雇を制限する

解雇については、労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とされています。
従来日本では、終身雇用制を基礎とした社会構造となっていたため、解雇をされるのは労働者にとっては大きなダメージです。
そのため、解雇は制限すべきことになり、判例によって「解雇権濫用法理」が確立されました。
この解雇権濫用法理を明文化したのが労働契約法16条です。
整理解雇については次の4要件を検討することになります。

  • 人員整理の経営上の必要性
  • 解雇を回避する努力を行ったか
  • 人選に合理性があるか
  • 解雇の手続が妥当か

  • 要件1:人員整理の経営上の必要性

    要件の1つ目は、人員整理をする必要性がある場合です。
    債務超過や赤字が続いているなど、一定の経営上の困難があるといえる場合に、人員整理の必要性が認められます。

    要件2:解雇を回避する努力を行ったか

    要件の2つ目としては、会社が解雇回避の努力義務を果たしたかどうかが問われます。
    収益性を高めるためにはリストラの他にも様々な方法があります。
    賃金を引き下げる・残業を減らす・希望退職を募集するなど、リストラをしなくてもいいように会社が努力することが必要となります。

    要件3:人選に合理性があるか

    要件の3つ目は、人選に合理性があるか、です。
    整理解雇を理由に経営者が気にくわない人だけを解雇する、というのは合理的ではありません。
    解雇にあたっては一定の基準を設けて、その基準に沿った人選をするなどする必要があります。

    要件4:手続の妥当性

    最後の要件は、リストラを行う手続が妥当であるかです。
    事前に労働者側と十分に話し合うなどして、労働者側の理解を得られるための説明や協議をする必要があります。

    4つの要件を総合的に判断して有効・無効を判断する

    4つの要件についての判断方法ですが、必ずしも4要件を全て満たしていなければならないわけではなく、4つの要件について総合的に考慮をして、解雇が相当であるかどうかを判断します。
    この判断は非常に難しいので、自分が対象になったときには、弁護士に相談するのが望ましいといえます。

    解雇が違法である場合の対応方法

    リストラとして行われた整理解雇が上記の4つの要件に照らすと無効だと判断できる場合には、どのような対応方法があるのでしょうか。

    解雇が無効であるとして従業員の地位を争う

    労働者側からは、解雇は無効であるという主張をします。
    解雇が無効であれば、いまだに従業員の地位にある、と法律上判断することが可能です。
    また、従業員の地位にあったのであれば、給与がもらえていたのですから、支払われていなかった給与の請求をすることができます。
    以上より、解雇が無効であるので、従業員の地位にあり、未払いの給与の支払いを求めて会社と争うことになります。

    現実的ではない場合には金銭で解決することも

    不当解雇をされたような場合には、もはや会社にも居場所はなく、労働者としても今の会社に戻りたいとは思えない場合もあります。
    このような場合には、会社と交渉をして、主張としては以上のように解雇は無効という主張をしつつも、解決方法として金銭の支払いを求めるという方法もあります。

    交渉をして解決しない場合には裁判・労働審判を利用

    不当解雇については会社と交渉しますが、会社が不当解雇であることを否定して譲らない、賠償金額について折り合わない場合には法的な手段を利用することを検討しなければなりません。
    法的な手段としては裁判を起こすことが考えられますが、不当解雇などの労働問題に関しては、労働審判という裁判所を利用する解決方法も利用することができます。
    また、法的な手続を利用する前には、弁護士に相談して交渉を依頼することも検討しましょう。
    不当解雇をするような場合には、会社・労働者の間に感情的な溝があることも多く、当事者で交渉をし続けても感情的な溝が原因となって交渉がうまくいかないことがあります。
    弁護士を立てて会社と交渉をすることで、当事者が面と向かって交渉をして角が立つのを和らげたり、弁護士からの請求であるような場合には大ごとになる前に応じる、という効果が期待できます。

    まとめ

    このページでは、リストラとはどのようなものかと、リストラが法律上許されるのかどうかの判断基準、および違法なリストラ行為への対応方法についてお伝えしました。
    リストラの違法・適法は判断が難しいので、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。

    監修者


    みんなのユニオン

    執行委員岡野武志

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    みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。