育児休業は誰がいつからいつまでもらえる?育児休業給付金まで確認!

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は育児休業を取得できるが、要件が存在する
・会社に申し出ることにより、原則として養育する子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)になるまでの間、育児休業を取得できる
・育児休業給付金は、基本的に、元々支払われていた給料の50%(育児休業開始日から180日目までは67%)に相当する額が支給される

出産はとてもおめでたいことです。
できれば出産後は、育児に集中したいですよね。
そういった労働者のために、法律上、会社に申し出ることで、生まれた子を養育するための休業、つまり育児休業(育休)を取得できることになっています。
育児休業という制度があることを知っていても、「誰が」「いつから」「いつまで」もらえるか、また、育児休業給付金が支給されるのかどうかを知らない方は多くいます。
この記事で、育児休業制度・育児休業給付金制度それぞれの内容について確認していきましょう。

育児休業制度について

育児休業とは、子どもを養育する義務のある男女労働者が、法律に基づいて取得できる休業を指します。
それでは早速、育児休業の制度について、根拠法から対象者・期間までを確認していきましょう。

育児休業の根拠法

育児休業は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(通称:育児介護休業法)に規定されています。
法律上、会社は、要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません。

似た言葉に「育児休暇」がありますが、こちらは法的に制度として整備されたものではないため、注意してください。

育児休業対象者

育児介護休業法上、育児休業を取得することができるのは、原則として1歳に満たない子どもを養育する男女労働者です。
そのうえで、育児休業を取得できる労働者の範囲として、法令上以下のような要件が設定されています。

①有期契約労働者は、会社への申出時点において、以下の2要件を満たしていなければ、育児休業を取得できない(育児介護休業法5条)
(1)同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
(2)養育する子どもの1歳6ヵ月に達する日までに、労働契約(更新される場合は、更新後のもの)が満了することが明らかでない

※なお、「子ども」は、労働者と法律上の親子関係がある子であれば、実子・養子は問われません。

②以下の要件(育児介護休業法6条)に該当する労働者について育児休業をすることができないこととする労使協定を締結した場合であって、以下の要件に該当し会社側から育児休業を拒まれた労働者は、育児休業を取得できない
(1)雇用された期間が1年未満
(2)1年以内に雇用関係が終了する
(3)週の所定労働日数が2日以下

③日々雇用される方(日雇い労働者)は、育児休業を取得できない

育児休業できる期間

原則として、1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、原則として養育する子どもが1歳(一定の場合は、最長で2歳)になるまでの間、育児のために休業できます。

1人の子どもについて、父母ともに原則1回の育児休業を取得できます。
特例として、パパ休暇を利用して産後8週間以内の期間に育児休業をした場合は、申出により、再度、育児休業の取得が可能です。

育児休業期間が延長されるケースとは

父母がともに育休を取得する場合、取得期間は1歳から1歳2か月まで延長されます(パパ・ママ育休プラス制度)。(育児介護休業法9条の2)
なお、父母それぞれが取得できる休業期間(母親は産後休業期間を含む)の上限は、1年間となります。

さらに、養育する子どもが1歳(パパ・ママ育休プラス制度の場合、1歳2か月)に達した後も、なお休業することが必要と認められる特別の事情がある場合、労働者の雇用の継続を促進し、円滑な職場復帰を図る観点から、最長2歳まで育児休業が延長されます。

【特別の事情と認められる具体例】

  • 保育所等における保育の利用を希望し、申し込みを行っているが、入所できない場合
  • 子どもを育てる予定だった配偶者が、死亡した場合

  • …等

育児休業の申出期限と産前産後休業

育児休業を取得したい場合、会社に申し出る必要があります。
申出期限は、育児休業開始予定日の1か月前までと法律で定められています。

そのため、育児休業を取得する場合は、産前休業に入る前や、産前産後休業中に、申し出を行うことになります。
育児休業と産前産後休業は、一緒に使われることが多いですが、別の制度となります。

産前産後休業は、母体保護の観点から定められたもので、労働基準法に規定があります。
産前休業とは、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、労働者が請求すれば取得できる休業です。
産後休業とは、出産の翌日から8週間の間の、就業できない休業期間を指します。
なお、産後6週間を過ぎた後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業できます。(労働基準法65条)

男性の場合、産前産後休業は存在せず、子どもが生まれたその日から、「育児休業」が取得できます。

育児休業給付金の支給について

育児休業で仕事を休んでいる場合、一般的に、会社から給料は出ません。
しかしながら、一定の要件を満たしていれば、育児休業給付金が支給されます。
それでは、要件を確認していきましょう。

育児休業給付金とは

子を養育するために休業した労働者の生活及び雇用の安定を図るため、国から支給される給付金を、育児休業給付金といいます。

育児休業給付金の対象者

育児休業給付金が支給される労働者は、以下の5つの要件を満たした方です。

①雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者である
大前提として、育児休業給付金は、雇用保険法に定められている給付のうちの1つとなります。
よって、雇用保険に加入していない場合、育児休業給付金は受け取れません。
なお、雇用保険の被保険者の中でも、短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者は除外されているので、注意してください。

雇用保険の被保険者についてもっと知りたい方は、「雇用保険の対象者は誰?万が一に備えて給付を受けられる対象を確認!」記事を参考にしてください。

②1歳未満の子供がいる
原則として、育児休業をすることができるのは、1歳に満たない子を養育する男女労働者でした。
よって、育児休業給付金が申請できる労働者も、原則として生まれてから1歳未満の子供がいる間だけです。
ただし、前述した、育児休業を延長できるケースに該当した場合は、最長2歳までとなります。

③育児休業期間中に就業した場合、月に10日(もしくは80時間)以下である
育児休業中に就労した場合でも、「臨時的・一時的であって、その後も育児休業を継続するということが明らか」であれば、職場復帰とはみなされず育児休業給付金を受け取ることができます。
その場合でも、育児休業給付金を受け取るためには、就労した期間が月に10日(もしくは時間単位で80時間)以下である必要があります。

④育児休業を開始した日前2年間で、みなし被保険者期間(1か月に11日以上働いた月)が通算して12か月以上ある

⑤育児休業期間中に、会社から賃金として支払われる額が、元々(休業開始前)の給料の80%以上でない
例えば、元々の給料が20万円だった労働者が、育児休業期間中であっても(20×0.8=)16万円以上の賃金を受け取っている場合、育児休業給付金は支給されません。

育児休業給付金の支給期間

育児休業できる期間と同じです。
原則として養育する子どもが1歳(一定の場合、最長2歳)になるまでの間、育児休業給付金を受け取ることができます。

ただし、この期間内に育児休業を終了した場合は、休業を終了した日までしか、育児休業給付金は支給されません。

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金は、基本的に、元々支払われていた給料の50%(育児休業開始日から180日目までは67%)に相当する額が支給されます。
※健康保険・厚生年金保険の保険料負担は免除されます。

なお、元々支払われていた給料は、正確には
休業開始時賃金日額(育児休業を開始する前6か月間の賃金を180で割った額)
×支給日数(通常は30日)
と計算されます。

例えば、育児休業開始前の6か月間で180万円を給与として受け取っていた場合、休業開始時賃金日額は1万円です。
よって、育児休業給付金は150,0000円(育児休業開始日から180日目までは201,000円)となります。

ただし、育児休業期間中に、会社から賃金を支払われた場合、以下のような調整が入ります。

会社から支払われた賃金額

育児休業給付金の額

元々の給料の30%(育児休業開始日から180日目までは13%)以下

50%(育児休業開始日から180日目までは67%)

元々の給料の30%(育児休業開始日から180日目までは13%)超~80%未満

支払われた賃金額+育児休業給付金の額の合計額が、元々の給料の80%に相当するまで

元々の給料の80%以上

支給されない

なお、父母ともに育児休業を取得し、どちらも育児休業給付金を受け取れる場合、それぞれで育児休業給付金額を計算します。

最後に

厚生労働省が発表した「令和元年度雇用均等基本調査」によると、女性の取得率は83%で、男性は7.48%でした。
男女ともに年々増加傾向にはありますが、数字で見てわかるように、男性の育児休業はなかなか進んでいません。
しかし、育児休業は、1歳未満の子を持つ男女労働者の権利です。
2017年に行われた育児介護休業法の改正では、会社が労働者やその配偶者の妊娠・出産を知った場合、その方に個別に育児休業等に関する制度を知らせる努力義務も課せられました。
社会全体として、育児休業の取得を推進する動きがあるといえます。
生活保障のための育児休業給付金制度も設けられているので、父母ともに協力して育児を行うことを検討してみてはいかがでしょうか。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。