失業保険がもらえないことはある?受給できない3ケースを確認!

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

・雇用保険の被保険者でない場合、失業保険はもらえない
・受給資格要件を満たしていない場合、失業保険はもらえない
・給付制限にひっかかった場合、失業保険はもらえない(給付制限の「期間」が設けられている場合は、その期間中のみ)

広義の社会保険は、様々なものがありますが、その中でも雇用保険は、離職した際、一定の要件を満たせば失業保険を受けられる、労働者にとって大切な社会保険です。
しかし、実際に離職した際、失業保険は絶対にもらえるものでしょうか?
もし失業保険がもらえないとなると、生活に不安が残り、十分な求職活動ができなくなってしまいます。
自己都合退職ではなく、不況による解雇等で離職した場合はなおさらです。
失業保険がもらえないケースについて、この記事で確認していきましょう。

失業保険がもらえないケース1|被保険者でない

失業保険がもらえない代表的なケースは、そもそも失業保険の「被保険者でない」というものです。
それでは、失業保険の被保険者について、内容を確認していきましょう

失業保険のおおまかな内容

そもそもですが、「保険」とは、偶発的な事故の発生によって生じる財産上の損失に備えて、その脅威を受ける者達が、あらかじめ一定の掛金(保険料)を互いに出しあっておき、その積立金から、事故があった人に対して保険金を与え、その事故による損害を補償する制度です。
つまり、失業保険は、労働者にとって脅威となる「失業」という事故に対してあらかじめ保険料を払っておき、もし失業した場合、一定の要件を満たせば、求職活動中の生活の補償として、保険給付を受けられる制度となります。

しかし、実際には、失業保険という名前の保険料を、社会保険として支払うことはありません。
失業保険は、正式には、「雇用保険」の中の「被保険者に対する求職者給付」を指しています。
つまり、労働者が納める保険料は、正しくは「雇用保険料」であり、実際に失業した際に給付される保険金は、「被保険者に対する求職者給付」となります。

被保険者になっていない場合、失業保険はもらえないことになります。

失業保険の被保険者となる労働者とは

失業保険として給付される保険金は、「被保険者に対する求職者給付」であり、被保険者でない場合、失業保険はもらえないことを確認しました。
次に、失業保険の被保険者となる労働者について、確認していきましょう。

以下の2要件を満たした労働者は、正社員やパート・アルバイト等の雇用形態に関わらず、原則として失業保険の被保険者となります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

ただし、上記を満たしていても、被保険者とならない、以下のような例外も存在します。

  • 株式会社・有限会社の代表取締役、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員、合名会社の代表社員、会社の取締役、監査役などの役員
  • 協同組合、農業協同組合などの役員、社団もしくは財団法人の役員その他各種団体の役員
  • 個人事業の事業主(法人であっても実質的には代表者の個人事業と認められる事業の代表者を含む)と同居している親族
  • 季節的な業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者
  • 昼間学生
  • 事業主と委任関係にある各種の外務員
  • 家事使用人
  • 海外で現地採用される者
  • 船員であって、御苑に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く)

失業保険の被保険者であるかを確認する

要件を満たすという意味で、失業保険の被保険者に該当していても、「本当に保険に加入しているかわからない」、「保険料を支払っているかわからない」場合、まずは給与明細を確認してみましょう。
失業保険の保険料は、毎月の給与から「雇用保険料」という名目で天引きされることがほとんどなので、明細を確認すれば、判断ができます。

しかしながら、保険料が天引きされていたとしても、実際には会社が雇用保険に加入していなかったというケースも存在します。
もし、「本当に加入しているか不安だ」という場合は、公共職業安定所(ハローワーク)の窓口で、被保険者資格の確認をすることができます。
詳しくは、管轄のハローワークへお問い合わせください。

失業保険がもらえないケース2|受給資格がない

次に、失業保険の「受給資格がない」場合、失業保険はもらえないことになります。
受給資格について、内容を確認していきましょう。

失業保険の受給資格とは

失業保険の給付を受けることができる資格を受給資格と言います。
受給資格を有する者を受給資格者といい、受給資格者でない場合は、失業保険はもらえません。

原則として以下の①~③を満たしたとき、失業保険の受給資格が得られます。

  1. 離職による被保険者資格喪失の確認を受けたこと
  2. 失業していること(労働の意思および能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態にあること)
  3. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること

受給要件①資格喪失の確認を受ける

労働者が離職した場合、会社は、公共職業安定所に被保険者資格喪失の届出を行う必要があります。
届出が行われたら、公共職業安定所は、労働者が被保険者でなくなったことの確認を行います。
この確認を受けることが、失業保険を受給するための要件の1つとなります。

ちなみに、この一連の流れの中で、労働者側でやることは特にありません。
離職後に、公共職業安定所長から、会社を経由して「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書」が届きます。
その通知書が無事に届いたのであれば、被保険者資格喪失の確認ができていることになります。

受給要件②失業している

失業保険受給資格要件の2つ目は、失業していること(労働の意思および能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態にあること)です。

ここでの注意点は、単に職を失っているだけでは、この要件を満たさないという点です。

例として、以下のような場合は、失業しているとみなされません。

  • 病気や怪我で働くことができず、療養期間が必要な場合 
  • 妊娠・出産・育児のため、すぐに就職が出来ない場合
  • 定年退職をしたので、しばらく再就職せず年金で生活していく場合 …等

「働ける状態であるが、まだ職に就けていない(求職活動中である)」という状態であるかが重要です。

受給要件③一定の被保険者期間がある

失業保険受給資格要件の3つ目は、原則として、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることです。
※「1か月」としてカウントされる月は、基本的には、賃金支払基礎日数が11日以上ある月です。

なお、特例として、倒産・解雇等による離職の場合は、「離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上あること」が受給資格要件となります。

失業保険がもらえないケース3|給付制限

失業保険の被保険者であり、失業保険の受給資格があれば、失業保険は原則として受け取ることができます。
しかし、「給付制限」にひっかかった場合、それらを満たしていても失業保険がもらえないことになります。
給付制限という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、ここで内容をしっかり確認していきましょう。

失業保険がもらえない「給付制限」とは

給付制限とは、受給資格者が一定の事由に該当する場合に、失業保険の給付が制限される(もらえない)ことを指します。

次のような場合、給付制限が行われます。

  1. 積極的な就職意欲に欠けている場合
  2. 離職理由からみて任意的失業の場合
  3. 不正受給を行った場合

ただし、③の不正受給以外は、基本的に給付制限となる「期間」が定められており、その期間が明ければ、失業保険を受給できる状態になります。

給付制限事由①積極的な就職意欲がない

失業保険は、求職活動中の生活補償を目的としているため、積極的な就職意欲がない場合、失業保険は給付されません。

具体的に言うと、

  • 公共職業安定所の紹介する職業に就くことを拒む
  • 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒む
  • といった場合が該当します。

この場合、拒んだ日から起算して1か月間が給付制限期間=失業保険がもらえないことになります。

給付制限事由②任意的失業による離職

離職理由によっては、給付制限が発生します。

  • 正当な理由がなく自己の都合によって退職した
  • 自己の責に帰すべき重大な理由によって解雇された

このような理由で離職している場合、失業保険の受給資格決定日から7日の待期期間後、給付制限期間が設けられ、失業保険がもらえないことになります。
なお、給付制限期間は、以下の通りです。

正当な理由がなく自己の都合によって退職した

2か月間

己の責に帰すべき重大な理由によって解雇された

3か月間

自己都合退職による給付制限について詳しく知りたい方は、「自己都合退職で失業保険を受けるために―受給までの給付制限とは」記事をご参考にしてください。

給付制限事由③不正受給を行った

受給資格者が、偽りその他不正の行為によって失業保険等の支給を受け、又は受けようとした場合は、不正受給とみなされます。
結果、そのような支給を受け、又は受けようとした日以後、失業保険はもらえないことになります。

他の給付制限と違い、不正受給の場合は、不正をした時から失業保険がもらえないだけでなく、それまで不正に受給したお金の返還も命ぜられます。
さらに、返還が命ぜられた不正受給金額とは別に、不正の行為により受給した額の2倍に相当する金額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命ぜられることがあります。

失業保険がもらえないだけでなく、ペナルティまで課されているので、不正受給は絶対にしないようにしましょう。

最後に

失業した際、一定の要件を満たせば、求職活動中の生活を補償してくれる失業保険制度。
労働者にとって非常に頼もしい存在です。
しかしながら、この記事で紹介したように、「被保険者でない」、「受給資格がない」、「給付制限(期間中)」の3ケースに該当する場合、失業保険はもらえないことになります。
実際に離職した後、「失業保険がもらえないケースに該当していた!」とならないよう、あらかじめ確認しておきましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。