不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

遅刻すると減給される?就業規則の制裁規定は要チェック!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20190122110542 e9644a56b0a409ebbdc09f34cf16a4a976ec4642 1

この記事でわかること

  • 「ノーワーク・ノーペイの原則」により仕事をしてない時間の賃金はカットされる。(賃金カット)
  • 制裁規定があれば、ペナルティとして仕事していない時間以上の賃金がカットされることもある。(減給)
  • 「遅刻すれば罰金」は労働基準法違反。

寝坊して会社に遅刻したら、遅刻した分の賃金はカットされても仕方がないかもしれませんが、電車が遅れて遅刻したらどうなるのでしょうか。身近なことですが、案外知らない人も多いと思います。

今回の記事では、遅刻したときの減給などについて解説します。また、減給するには就業規則の定めが必要なので、就業規則についても同時に確認します。

遅刻すると給与はどうなるの?|賃金カット・減給・罰金の区分

会社に遅刻した場合、注意を受けて終わるケースもありますが、給与を減らされてしまう可能性もあります。主なケースは次に3つです。

賃金カット:遅刻して仕事をしていない時間の賃金がカットされる

減給:遅刻して仕事をしていない時間に関わらず一定額を減給される

罰金:遅刻した罰として所定の金額を給与から差し引かれる

何となく分かるが理解が曖昧な方が多いのではないでしょうか。それぞれについて詳しくみていきましょう。

遅刻による賃金カット|ノーワーク・ノーペイの原則

会社に遅刻したとき、上司からの注意だけで済んだり、遅刻で仕事を出来なかった分の賃金を引かれたりすることがあります。どちらが正しいのでしょうか。

遅刻で仕事をしなかった時間に対して賃金は支払われない

1時間の遅刻によって労働時間が1時間短くなったとき、会社は1時間分の賃金を給与からカットすることができます。これが賃金カットです。

会社は従業員の労働に対して賃金を支払うので、仕事をしていない時間に対しては賃金を支払う義務がないからです。「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。

この章の冒頭で遅刻したとき注意だけが正しいのか、賃金カットが正しいのかと問いかけましたが、答えは会社の判断次第です。「ノーワーク・ノーペイの原則」で賃金カットしても、温情や指導方針から注意で済ましても会社の自由です。

時間の端数処理

後述する減給はペナルティとして遅刻した時間以上分の賃金がカットされるのに対し、賃金カットは遅刻した分の賃金のみがカットされるという点が異なります。

そのため、賃金カットをするときは仕事しなかった分の賃金を正確に算出する必要があります。1分単位で計算するのが理想的ですが、「遅刻したときは5分単位で切り上げて賃金から控除する」という規定の会社もあります。

労働基準法第89条では「賃金の計算方法」を就業規則に記載することを会社に義務付けているので、わからないときは会社に確認しましょう。

もし、「30分単位で切り上げ」する会社があれば問題です。5分遅刻しただけで25分間の賃金が控除されれば、労働基準法第24条に定める「賃金の全額払いの原則」に反する恐れがあるからです。

電車が遅れて遅刻した場合

寝坊して遅刻したときの賃金カットは納得できそうですが、電車が遅れて遅刻したときはどうでしょう。

会社が賃金カットだと判断すれば、遅刻分の賃金は控除されます。理由はどうあれ「ノーワーク・ノーペイの原則」から賃金カットも仕方ありません。

減給と異なり賃金カットは、従業員の責任を問いただしてペナルティを課すものではありません。労働時間を正確に計算して、労働時間に見合った賃金を支払うだけの話です。

遅刻による減給|就業規則の制裁の定め

賃金カットに対して、減給は制裁にあたります。労働基準法の制裁は、労働契約法の懲戒(処分)と同義語です。

「3回遅刻したら1日欠勤」は制裁による減給

3回遅刻したら1日欠勤したものという規定は、3日間1時間づつ遅刻したケースでは「ノーワーク・ノーペイの原則」から逸脱し、「賃金の全額払いの原則」にも反します。

しかし、この規定が遅刻を繰り返す従業員への制裁としての要件を満たせば、会社は遅刻を繰り返した従業員の給与を減給することができます。制裁(または懲戒)については、次の定めがあります。

制裁の定めをするときは「制裁に関する事項」を就業規則に記載しなけれなならない。(労働基準法第89条)

懲戒処分が、従業員の行為の性質や諸事情から「客観的に合理的な理由」を欠き「社会通念上相当」であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とする。(労働契約法第15条)

つまり、制裁について就業規則に記載され、制裁に「客観的に合理的な理由」があってその内容が「社会通念上相当」ならば、制裁による減給は認められるということです。

減給の額には制限がある

前述の条件を満たせば、「3回遅刻したら1日欠勤」の制裁規定は、有効なのでしょうか。

労働基準法第91条は、減給の額について制裁規定の制限を設けています。

一回の減給額が、平均賃金の一日分の半額を超えてはならない

減給の総額が一賃金支払期における賃金総額の十分の1を超えてはならない

1日の平均賃金が1万円、月給が20万円、「3回遅刻したら1日欠勤」の規定がある場合、3回遅刻すれば平均賃金1日分の1万円が減給です。月給20万円の10分の1を下回るので、上記制限をクリアしています。

遅刻による罰金や懲戒解雇

「9時から勤務という会社との労働契約を破ったので、罰金として遅刻1回につき5,000円の罰金」という規定は、問題ないでしょうか。

従業員への罰金は労働基準法違反

前述のような罰金を従業員に課すことは、労働基準法で禁止されています。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。(労働基準法第16条)

従業員が一方的に不利益を押し付けられることを防ぐ目的で設けられました。実際の損害額が未確定なのに予め額を決めて罰金を設ければ労働基準法違反です。

遅刻による懲戒解雇もありうる

就業規則に懲戒解雇事由として記載されていれば遅刻などの勤務不良を理由に懲戒解雇されることもあります。

ただし、数回の遅刻で懲戒解雇されれば「社会通念上相当」な措置とはいえず不当解雇となる可能性が高いでしょう。懲戒解雇は、会社から何度も注意を受け始末書や減給などの処分を受けても改善の見込みがない場合などに限られます。

遅刻したときの賃金カット、減給、罰金などについて解説してきました。罰金は法律違反ですが、賃金カットと減給については就業規則に定めがあれば有効です。

ただし、制裁として減給する前に制裁の定めを周知する、改善に向けた指導を行う、など会社側も対応を求められます。遅刻をしないようにすることは当たり前ですが、遅刻による減給についてはあまり神経質になる必要はありません。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。