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倒産による未払賃金が戻ってくる?未払賃金立替払制度の支給要件と立替払金額!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 未払賃金立替払制度は、倒産した会社で働いていた従業員に国が未払賃金の一部を立替払してくれる制度。
  • 対象は会社が倒産した日の6か月前の日から2年以内に退職した従業員。
  • 立替払してもえらえる金額は原則、未払賃金の8割だが限度額がある。
  • 請求手続きは、会社が倒産したことを証明する書類の取り付けと(独)労働者健康安全機構への立替払請求。

勤務先が倒産して給与がもらえなくなると、経済的に困ったことになります。すぐに再就職先が見つからなければ、「これからどうやって生活していこう」「未払の賃金は誰に請求すればいいの」など、大きな不安を抱えることになるでしょう。

今回の記事では、会社が倒産して給与をもらえなくなったときに未払賃金を立て替えてくれる国の制度について解説します。いざというときに慌てないように、今回の記事で制度の概要を確認しておきましょう。

未払賃金立替払制度の内容と立替払状況

会社が倒産して給与をもらえないとき、未払賃金は諦めるしかないのでしょうか。

平成25年以降、負債額1,000万円以上の倒産件数は毎年8,000件前後もあります。その何割かで賃金の未払いが発生していると考えると、労働者の生活は非常に不安定なものになります。

このような事態への対応として未払賃金立替払制度が設けられました。

未払賃金立替払制度とは

未払賃金立替払制度とは、倒産した会社で働いていた従業員に国が給料の一部を立替払してくれる制度です。

立替払してくれるのは独立行政法人労働者健康安全機構という国の機関です。手続きや各種照会への回答も同機構が実施しています。

立替払状況

それでは実際にどれだけの人が未払賃金を立替払してもらっているのでしょう。

(独)労働者健康安全機構の発表によると、令和元年4月から令和2年3月までの1年間の立替払の状況は下記の通りです。

企業数 :1,991件

支給者数:2万3,992人

立替払額:86億3,800万円

引用:(独)労働者健康安全機構「未払賃金立替払事業の実施状況について」

令和2年度の途中実績(令和2年4月~11月の支給者数)は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり対前年比125.5%と大幅に増加しています。

立替払の対象となる従業員と未払賃金

企業が倒産して賃金の未払いがあれば、その全てが立替払してもらえるのでしょうか。所定の要件を満たさないと立替払してもらえないので、少し複雑ですが概要だけでも覚えておきましょう。

立替払の対象となる従業員

未払賃金立替払制度の対象となる従業員には、会社の要件と従業員の要件があります。

(会社の要件)

1年以上労働者を雇って事業を行っていたこと。

会社が倒産していること。

※法律上の倒産(破産手続の開始、特別清算の開始、再生手続の開始など)のほか、実質的に倒産状態にある場合を含みます。

(従業員の要件)

未払賃金があること。

会社が倒産した日の6か月前の日から2年以内に退職した人

従業員の要件は、下図で確認したほうがわかりやすいかもしれません。「2年間」と記載された期間内に退職した人が対象です。

(未払賃金立替払制度の対象となる退職の期間)

引用:(独)労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度の概要」

立替払の対象となる未払賃金

未払賃金立替払制度の対象となる未払賃金は、「 定期賃金(毎月の給与など)」と 「 退職手当(退職金など) 」の2つです。

ただし、対象となる定期賃金と退職手当は「退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日(支払予定日)が到来している未払賃金」に限られます。

給与振込日が退職日より6か月以上前の未払分は、立替払の対象とはなりません。

(立替払の対象となる支払期日)

引用:(独)労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度の概要」

そのほか、下記2つの未払賃金も立替払の対象外となるので注意しましょう。

総額2万円未満の未払賃金

未払のボーナス

立替払される金額

立替払の対象となる未払賃金は全額、立替払してもらえるのでしょうか。立替払してもらえる金額には、一定の制約があります。

未払賃金の8割が立替払される

未払賃金は全額立替払してもらえるわけではありません。対象となる定期賃金と退職手当の未払分合計の8割が、立替払してもらえる金額です。

(独)労働者健康安全機構が立替払した8割の金額は、同機構が倒産した会社に請求(「立替払金の求償」といいます)して回収を図ります。未払いのままの2割については、従業員が会社に請求することができます。

立替払の金額には限度額がある

立替払してもえらえる金額は原則、未払賃金の8割ですが、退職時の年令に応じて限度額が設定されています。限度額を超えた未払賃金は支給されません。

(未払賃金の立替払の限度額)

引用:(独)労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度の概要」

例えば、退職時40歳の従業員が会社倒産によって、定期賃金と退職手当の合計300万円が未払いだった場合、8割計算すると立替払の金額は240万円になります。

しかし、実際の未払額300万円は30歳以上45才未満の限度額220万を超えているので、「立替払の対象となる未払賃金」は220万円、立替払の金額は176万円に減額されてしまいます。

立替払の請求手続き

立替払の請求手続きは、大きく次の2つになります。

①会社が倒産(事実上の倒産を含む)したことを証明する書類を取り付ける

②(独)労働者健康安全機構に立替払の請求を行う

それぞれの手続きについて簡単に説明するとともに、立替払の請求可能期間と問い合わせ先を紹介します。

①会社が倒産したことを証明する書類を取り付ける

会社が倒産したことを証明する書類は、勤務先が法律上の倒産をした場合と実質的に倒産状態にある場合で異なります。

法律上の倒産の場合、裁判所や破産管財人などから下記を証明する証明書を取り付けします。

破産等の申立日・決定日

退職日

未払賃金額

立替払額

賃金債権の裁判所への届出 など

実質的に倒産状態の場合、労働基準監督署長に対して下記の認定申請を行います。

認定されると労働基準監督署長から「確認通知書」が交付されます。

当該事業場が事業活動を停止し、再開の見込みがないこと

賃金支払い能力がない状態になったこと など

②(独)労働者健康安全機構に立替払の請求を行う

裁判所などの「証明書」、または労働基準監督署長の「確認通知書」を入手したら、それらを添えて(独)労働者健康安全機構に立替払の請求を行います。

請求書や添付書類は下記リンクで確認できます。

参考:(独)労働者健康安全機構「未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」

立替払の請求可能期間と問い合せ先

立替払の請求可能期間と問い合わせ先は次のとおりです。

(請求可能期間)

法律上の倒産の場合:裁判所の破産等の決定日の翌日から2年以内

実質的に倒産状態の場合:労働基準監督署長の倒産認定日の翌日から2年以内

(問い合せ先)

問い合せ先は、全国の労働基準監督署、または(独)労働者健康安全機構の「未払賃金立替払相談コーナー」です。

「未払賃金立替払相談コーナー」での相談は緊急事態宣言発令を受け、現在は電話対応のみです。

(未払賃金立替払相談コーナー)

相談場所:神奈川県川崎市中原区木月住吉町1番1号

     労働者健康安全機構 賃金援護部 審査課内

電話番号:044-431-8663

相談時間:平日の9:15~17:00

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。