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過去の事例をもとに家族が過労死した場合の補償や会社への責任追及

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 過労で倒れた本人・遺族は労災保険で給付を受けることができる。
  • 過労死をさせた会社に対して刑事事件として追及することができる可能性がある。
  • 過労死をさせた会社に対して「安全配慮義務違反」を主張して損害賠償請求をすることなどができる。

一家の大黒柱が過労死してしまったような場合、家族を失った悲しみを抱えたまま、その後の生活はどうするのか?という問題が発生します。

過労死である以上補償を受けることができると考えられても、どのような補償を受けることができるのかわからない方も多いのではないでしょうか。

また、会社に対してどのようなことを主張できるのかも気になります。

このページでは、過労死の遺族がどのような補償が受けられるのか、会社にどのような責任を追及できるのかについてお伝えします。

過労死をした場合の労災保険の給付

まず、過労死をした本人が亡くなるまでにかかった治療や入院についての負担や、遺族が補償を受け取ることができる労災保険について確認しましょう。

過労死には過労自殺も含まれる

前提となる過労死とはどのようなものか確認しましょう。

過労死とは、文字通り働き過ぎによって病気などによって死亡することを言います。

過労死には、働き過ぎであることが原因で脳卒中・心筋梗塞・急性心不全などの心血管発作による死亡のみならず、過労によって精神疾患を発症したことにより自殺した過労自殺も含みます。

過労死の本人に支払われる給付

過労死した本人が、病気を発症してから治療や入院をしている間にはどのような補償が受けられるのでしょうか。

この場合、労災認定がされると、労災保険からの給付が受けられます。

給付の内容としては、病院で治療を受ける・入院や通院する際の治療費についての療養給付や、仕事を休まざるを得なかった分に対応する休業給付を受けることができます。

過労死で亡くなった人の遺族が受けることができる補償

本人が亡くなってしまった場合には、遺族は労災保険によって次の2種類の給付を受けることができます。

一つは、遺族補償給付で、労災で亡くなった人の収入によって生計を維持していた人に、年金および一時金として支払われるものです。

そして、葬儀を行った遺族に対しては、葬祭料の支給がされます。

長時間労働が原因の場合の労災認定における過労死ライン

過労死の原因に長時間労働が挙げられます。

過労死と認定されるかどうかについて「過労死ライン」という残業などの時間外労働時間の目安があります。

過労ラインとは、時間外労働が

発症前2ヶ月間ないし6ヶ月にわたり、1ヶ月80時間を超える

発症前1ヶ月間に100時間を超える

ことをいいます。

この時間を超えて長時間労働をさせている場合には、長時間労働と病気の発症の関連性が強いと評価されます。

過労死の遺族が会社に刑事事件として責任追及するには

過労死の遺族としては、会社に刑事事件として責任追及することが考えられます。

過去の事例とともに刑事事件として追及できる可能性について確認しましょう。

過労死をさせたことを直接処罰する規定はない

過労死をさせたことで会社および会社の役員を処罰することはできないのでしょうか。

現状日本の法律では過労死をさせたこと自体について刑事罰で処罰する規定はありません。

刑罰を科する場合には必ず法律の根拠がなければならないので、過労死を招いたこと自体は処罰の対象になりません。

業務上過失致死罪で不起訴になった事例

過労死についてよく議論になるのが、業務上過失致死罪(刑法211条)での処罰はできないのか?ということです。

しかし、西日本高速道路で道路補修工事の施行管理を担当していた労働者が、時間外労働が100時間を超える状態が続きうつ病を発症して自殺してしまったケースにおいて、遺族が業務上過失致死で上司を刑事告訴した事件では、神戸地検に不起訴処分とされています(なお、検察審査会では不起訴が不当であるという議決がされています)。

現実に立件が難しいということもあり、業務上過失致死罪で刑罰に問うことは難しいと考えるべきでしょう。

36協定を結んでいない場合の刑事罰

もし時間外労働をさせているのに36協定がない場合には、労働基準法32条に違反し、刑事罰の対象になります。

労働基準法32条は、労働時間の上限を1日8時間・1週40時間までとしています。

会社が労働者にこれを超える残業をさせるためには、労働基準法36条所定のいわゆる「36協定(さぶろくきょうてい)」を結ぶ必要があります。

もし、36協定がなく1日8時間・1週40時間を超える労働をさせている場合には、労働基準法119条1号で、6ヶ月以下の懲役はまた30万円以下の罰金に処する旨が規定されています。

2015年12月に発生した電通の女性新入社員が社員寮から飛び降りて自殺した事例では、36協定を結んでいた労働組合が従業員の50%を下回っていたことを理由に、36協定が無効で、罰金刑が科されています。

時間外労働の上限を超えた場合の刑事罰

36協定がある場合でも、労働基準法36条6項各号に違反する時間外労働をさせている場合には、同じく労働基準法119条1号によって処罰がされます。

労働基準法36条6号は時間外労働と休日労働が

1ヶ月100時間

複数の月の平均80時間

坑内労働などの特に健康上有害な業務については1日2時間

を超えてはならないといしています。

上述の電通の女性新入社員の飛び降り自殺の件では、月に50時間と定めていた36協定に違反して、月に130時間以上の残業をさせていた点でも追及がされました。

残業代が支払われてい場合の刑事罰

長時間残業が常態化している場合に注意したいのが、残業代の支払いが適切ではない場合があります。

残業代は労働の対価として賃金ですので、労働基準法24条が定める方法に従って支払いをする必要があります。

残業代に対する支払いの全部又は一部がない場合には、労働基準法24条に違反したものとして、労働基準法120条1号によって30万円以下の罰金刑が定められています。

刑事での責任追及を望むのであれば弁護士に相談

上記のように刑罰法規はあるのですが、これに違反したからといって必ず処罰がされるわけではありません。

そのため、処罰を求めたい場合には、被害届を出す・刑事告訴を行うなどの、過労死をした人の遺族側からのアクションが必要な場合もあります。

被害届は単なる申告ですが、刑事告訴を行うと捜査機関は事件を捜査する法的な義務が課されます。

そのため、刑事告訴をなるべく受けないようにするような運用がされていることがあります。

どうしても刑事告訴を求めたい場合には、弁護士に相談したり、弁護士に依頼して行うようにしましょう。

過労死を引き起こした会社に損害賠償を請求する

刑事事件としての処理と同時に、会社に対して損害賠償請求を請求することができます。

会社は労働者に対して安全配慮義務を負っている

会社と労働者は雇用契約を結んでいますが、契約書に書かれていなくても、会社は労働者に対して安全に働けるように配慮する義務を負っています(労働契約法5条・最高裁判例)。

過労死をするほど労働をさせることは、安全配慮義務に違反した行為として、損害賠償請求の対象になります。

退職後に症状を発症したような場合に争いが長期化することも

過労死に至るような心身のダメージは蓄積して発症するため、過重労働をしていた会社を退職した後に病気として発症することもあります。

このような場合に、会社は過重労働と病気の発症との因果関係を争ってくることが多く、争いは長期化します。

そのため、なるべく早く弁護士に相談をすることが望ましいといえます。

まとめ

このページでは、過労死について事例をみながら、どのような補償を受けられるか、会社に対する責任追及ができるか、についてお伝えしてきました。

会社に対する刑事責任・民事責任については、会社からの反論も想定されるので、弁護士に早めに相談をするようにしましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。