不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

内定切りって法的に問題ない?違法となるケースや対処法などを解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181016190511 322a622f666a673ef62f8fbfdfbbf6017c9404f7 1

この記事でわかること

  • 「採用内定時に知ることができなかった事実が発覚し、それが内定を取り消ししても仕方ないと思われるほど重大な事項」と考えられるケースでは、内定切りは正当だと判断される可能性が高い
  • 内定時に予測が可能であれば、業績悪化を理由とする内定切りも違法になる可能性あり
  • 法的には内定切りは解雇と同じ行為だと考えられている

内定切りとは、企業から労働契約の締結を約束された後に、企業側の一方的な事情によってこの労働契約を取り消される行為です。

求職者はその企業で働くために時間をかけて選考対策を練り、複数回の面接をくぐり抜けてきたわけです。

内定を獲得できて喜びに浸っていたところ、内定取り消しを言い渡されたら奈落の底に落とされたような感情を抱くでしょう。

ですから求職者にとって、内定切りは絶対に許せないあるまじき行為です。今回は内定切りは法的に問題無いのか解説していきます。実際に内定切りに直面した場合にどうすれば良いのか対策も紹介するので、ぜひご一読ください。

内定切りって違法じゃないの?

ご存知の通り、現在内定切りを行う企業が増えています。

内定切りをするならはじめから採用活動を行わなければいいのでは、と思われるかもしれません、

しかし、業績の悪化が思った以上に深刻で、採用計画を下方に見直さざるを得ない状況なのです。

とはいえ求職者にとっては内定切りされたらたまったものではありません。なかには前職を既に退職してしまった人もいて、そのような方にとって内定切りは本当に死活問題です。そもそも内定切りは法的に許される行為なのでしょうか?まずは内定切りの違法性を確認しましょう。

内定取り消しが違法になる場合

結論から言うと、内定取り消しは場合によっては違法になる可能性もあります。大日本印刷採用内定取り消し事件(昭和54年7月20日最高裁)という判例で、裁判所が内定切りの違法性の判断基準を示しているので確認しましょう。要約するとこの判例では「採用内定の取り消し事由は内定当時に企業が知ることができず、もしくは知ることが期待できない事実であって、このことをもって採用内定を取り消す行為が客観的合理性を備え、社会通念上仕方ないと認められるものに限られる」と述べています。シンプルにまとめると内定切りの理由は「採用内定時に知ることができなかった事実が発覚し、それが内定を取り消ししても仕方ないと思われるほど重大な事項」である必要があるということです。つまり「印象が悪い」「社風が合わない」などといった主観的な理由で内定切りを行うことは認められないのです。

また「経営が赤字で採用する余裕が無い」という理由は、一見すると仕方がない事由に考えられます。しかし、前述した通り、判例では内定時に予測しうるものかどうかが重大なポイントとされています。このためいくら客観的にみて合理的な理由でも、それが内定時に容易に予測できる内容であれば、上記の判断基準からすれば、違法と判断される可能性があると考えられます。

内定切りが正当だとみなされる場合

逆に内定切りが正当だとみなされる場合はどんなケースでしょう。

まず内定後に予測の範囲を越えて経営が悪化した場合は内定切りの正当な理由になり得ます。例えば今回のように疫病が蔓延したなどの事情は到底予測できるものではないので、疫病が原因の業績悪化を理由とする内定切りは正当性が認められてしまうかもしれません。内定後に経営が悪化して内定者を迎え入れると人件費を圧迫して、社員の人員整理を行わなければいけないという状況であれば、内定切りの正当性が認められる可能性は十分考えられます。また、以下のように内定者側の都合で内定切りの正当性が認められるケースもあります。

内定者が大学を卒業できない

学歴や経歴など採用を判断するにあたって重要な部分で内定者の虚偽申告が発覚した場合

内定後に、内定者が病気やケガにかかり勤務できなくなった場合

内定切りを行っても致し方ない事情が存じていたとしても、内定切りの方法は求職者に十分な配慮をする必要があります。配慮に欠け、求職者に精神的なダメージを与えた場合、損害賠償請求が認められる場合もあります。例えば、入社日1週間前になっていきなり、業績悪化を理由に内定取り消しをした場合、損害賠償請求の対象となる可能性は低くありません。

実際に内定切りを受けたらどう対処すればいい?

現在企業を取り巻く環境は大変厳しく、新卒・中途関わらず、いつ誰が内定切りにあってもおかしくありません。

コロナの影響を受けていないように思えるIT系企業のエンジニアでも、内定切りの被害にあった人が確認されています。これから選考を受ける人は他人事だと思わず、自分の身に火の粉が降りかかる可能性も十分頭に入れ、転職活動に励むことが大切です。ここでは内定切りにあった場合取るべき行動を解説するので、ぜひチェックしてください。

まず内定切りは解雇と同じ行為であることを認識する

まだ実際に働いていないので意外に思われるかもしれませんが、一般的には内定切りは解雇と同じ行為だと言えます。なぜかというと、企業が求職者に内定を出した時点で労働契約は成立していると考えられています。

労働契約が成立した段階で、企業側の一方的な都合で契約の意思を翻すことは、まさに解雇と同じ状況です。つまり内定切りは解雇の一種と言えるため、内定切りの違法性を主張したければ、法的には解雇と同様の論理を採用することになります。解雇の場合、解雇理由が客観的な合理性を備え、社会通念上相当なものだと認められなければいけません。

また、手続き的には解雇を行う際は、従業員に対して30日前に解雇予告を行う、もしくは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法20条)。

こうした解雇理由や解雇手続きに関する内容は、内定切りの場合も当てはまります。ですから内定日の2週間前に内定取り消しを言い渡されたケースでは、会社に対して解雇予告手当の請求を行える可能性があります。

「内定」か「内々定」か確認する

説明した通り内定時点ですでに労働契約が成立したと考えられますが、内々定時点では労働契約はまだ成立していないとされています。内々定は正式な手続である内定の準備段階の行為だと考えられるため、雇用契約は成立していないと考えるのが一般的です。したがって内々定の時点では内定の時のように、雇用上の地位を請求することは難しいと考えられています。ですから労働契約の締結を断られた時点が、内定時か内々定の時なのかきちんと確認することが必要です。

専門機関に相談する

内々定ではなく「内定切り」を受け、その理由や手続きに関して疑義がある場合は労働法令の専門機関に相談するのが一番です。労働トラブルの相談先というと「労働基準監督署」を真っ先に思い浮かべるという人は多いでしょう。しかし労働基準監督署は基本的に、明らかに労働基準法違反に該当するケースでなければ動いてくれません。このため違法だと確信できないケースでは、あまり利用をおすすめできない機関です。こういう場合は、労働法に強い弁護士に相談するのが良いでしょう。弁護士は基本的に依頼者の意思に沿うように動いてくれるので、法的にグレーなケースでも違法の方向で話を進めていきます。企業との話し合いがこじれ裁判手続きに移行した場合も、訴訟代理人をそのまま担当してくれるので心強いです。弁護士によって得意・不得意分野があるので、弁護士選定の際は労働問題に強い弁護士に依頼するよう注意してください。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。