不当解雇・退職勧奨の
お悩みお聞かせください
※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします
※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください
この記事でわかること
アルバイトをしているけども、かなりの長時間労働をさせられているような場合に、その長時間労働は法律に違反しないか気になる方も多いと思います。
中には、アルバイトだから法律が守ってくれるわけではない、と諦めている方もいらっしゃいます。
しかし、結論から申し上げますと、アルバイトでも労働基準法の適用はあり、労働基準法では労働時間に上限が定められています。
そこで、このページでは、アルバイトをしている方が知っておきたい労働時間についての労働基準法の定めと、労働基準法に違反する使用者への対応方法についてお伝えします。
目次
まず、アルバイトに労働基準法は適用されることを知っておきましょう。
まず、労働基準法が誰を保護しているのかを確認しましょう。
労働基準法は、労働者の権利を保護する法律です。
詳細については後述しますが、労働時間についての定めをしている労働基準法32条は、使用者は労働者に所定の労働時間を超えて労働させることを禁止しています。
では「労働者」とは何なのか?そこにアルバイトは含まれるのでしょうか。
「労働者」の定義については、労働基準法9条が「職業の種類を問わず、事業又は事務所…に使用される者で、賃金を支払われる者」としています。
つまり、雇用契約を結んで賃金が支払われている人については労働者ということができます。
そのため、アルバイトであっても雇用契約で賃金が支払われているので、労働者であるといえます。
そのため、アルバイトにも労働基準法が適用されます。
これは、アルバイトに限らず、パートや派遣社員といった他の雇用形態の場合にも同様に雇用契約に基づいて賃金が支払われているので、労働基準法の適用があります。
では、労働基準法では、労働時間などの規定はどのようになっているかを確認しましょう。
まず、労働時間の上限については、上述しましたが労働基準法32条が次のように定めています。
休憩時間を除き1週間に40時間を超えて労働させてはならない
休憩時間を除き1日8時間を超えて労働させてはならない
アルバイトで1日のシフトが拘束9時間、休憩時間1時間である場合には、基本的には、後述する36協定がない限りは残業させてはならないことになっています。
また週5で拘束9時間、休憩時間1時間のシフトに入っているような場合には、36協定がない限りは残業させてはならないことになっています。
36協定(さぶろくきょうてい)があれば、労働基準法32条の労働時間を延長することができることになっています。
36協定とは、労働基準法36条に規定されていることからこのように呼ばれているものです。
労働基準法36条は、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者
と書面で協定を結んで、行政官庁に届け出た場合に、労働基準法32条に定められた時間よりも延長して労働させることができるとしています。
ただ、仮に36協定があっても、無制限に労働させることは認めてはならないので、労働基準法36条4項で次のような上限が定められています。
1ヶ月に45時間
年360時間
ただし、36協定に特別条項がついている場合には、次のルールによります。
時間外労働は年720時間まで
1ヶ月に100時間を超えてはならない(休日労働含む)
2~6ヶ月平均で80時間を超えてはならない(休日労働含む)
時間外労働が月45時間を超えるのは年6回が上限
アルバイトでも残業をした場合には、残業代が支払われます。
労働基準法37条1項は、残業代については次の場合には割増賃金の支払いをする必要があります。
1日8時間または1週40時間を超えた場合には25%
1ヶ月に60時間を超える時間外労働については50%(中小企業については猶予されています)。
労働基準法37条4項で、午後10時から午前5時までの間に労働させた場合には、25%の割増賃金を支払わなければならないとしています。
アルバイトで深夜に時給が上がるのは、この規定によるものです。
労働基準法34条1項で、使用者は労働者に労働時間が6時間を超える場合には休憩を与えなければならないとしています。
休憩時間は労働時間に応じて
労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分
労働時間が8時間を超える場合には少なくとも1時間
と規定がされています。
アルバイトだから…といって労働時間に限らず労働基準法の規定が守られないことは頻繁にあります。
この場合の対応方法を知っておきましょう。
労働基準法に違反した会社にはどのようなペナルティが科せられるのでしょうか。
労働基準法違反がある場合には、監督官庁である労働基準監督署は行政指導をすることができる旨が規定されています。
労働基準法101条は、会社に立ち入って帳簿および書類の提出を求めたり、使用者や労働者に尋問を行うことができる旨規定しています。
また、労働基準法104条の2第2項では、会社に報告をさせたり、出頭を命じることができると規定しています。
さらに、労働基準法違反については、刑事罰も規定されています(119条以下)。
刑事罰は労働基準法違反がある場合に必ず科せられるわけではなく、違反が悪質な場合に科せられます。
アルバイトで働いていて労働時間に関する規定が守られない場合の対処方法としては、労働基準監督署から会社に対して行政指導をしてもらうことによって改善してもらうのが良いでしょう。
なお、労働基準監督署に通告をしたことを理由に、労働者を解雇することは禁止されています(労働基準法104条2項)。
契約をしている労働時間を超えて残業しているにもかかわらず、残業代の支払いがない、休憩時間を与えられておらずその分の給与の支払いがない、といった場合には、民事上の請求をすることになります。
内容証明を送っても会社が支払わない場合には、法的な手段の検討をします。
訴訟を起こすことが考えられますが、労働事件の紛争解決については、労働審判という方法もあります。
労働基準監督署に通告を行う、民事上の請求を起こす、などのアクションをする際には、会社が労働基準法に違反していることがわかる証拠が必要になることがあります。
タイムカードやパソコンを使う場合にはメールの送受信履歴やアクセスログなどのデータが挙げられます。
こういった証拠は退職後に確保するのが難しいといえますので、何かしらアクションをする場合には在職中から確保をするようにしましょう。
このページでは、アルバイトの方でも労働基準法が適用されることと、労働時間に関する労働基準法の規定、労働基準法に関する規定が守られない場合の対応方法についてお伝えしてきました。
アルバイトだからといって労働時間に関するものなど労働基準法が守られないことがあるのですが、それは法律違反です。
おかしいな?と思うことがあれば、早めに専門家に相談をしましょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。