不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

働き方改革で変わる残業時間の上限規制を解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

465 1

この記事でわかること

  • 改正前の時間外労働・休日労働のルールでは無限に残業させることができていた。
  • 働き方改革で時間外労働・休日労働に上限規制が制定された。
  • 会社が違法な残業をさせている場合の対処法が分かる。

「働き方改革」は労働者が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるようにするための改革です。

長時間労働は健康に対して悪影響を与えますし,仕事と家庭の両立を阻害します。

そこで今回は働き方改革の中で残業についての改正ポイントを説明していきます。

労働基準法における労働時間のルール

労働時間については労働基準法によってルールが決められています。

基本的に,労働者と使用者間で合意に基づく法律所定の手続を踏まなければ労働時間を延長することはできません。

労働時間・休日に関する労基法上のルールについて

法律は「使用者は,労働者に,休憩時間を除き1週間について40時間を超えて,労働させてはならない」,また「使用者は,1週間の各日については,労働者に,休憩時間を除き1日について8時間を超えて,労働させてはならない」と規定しています。(労働基準法第32条1項2項)

労働時間は「一日8時間」まで,「週に合計40時間」までというルールです。

この法定労働時間を超える労働のことを時間外労働といいます。

また,法律上,労働者には「毎週少なくとも1回の休日」が与えられています。(労働基準法第35条1項)

これを法定休日といいます。

時間外労働・休日労働をさせる場合には,36協定の締結が必要

法律には,「使用者は,当該事業場に,労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合,労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし,厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては,」法定労働時間を延長したり,法定休日に労働させることができると規定されています。(労働基準法第36条1項)

つまり,使用者が労働者に時間外労働や休日労働をさせるには

①労働基準法第36条に基づく労使協定(通称「36(サブロク)協定」と呼ばれます)の締結

②所轄労働基準監督署長への届出

が必要です。

36協定では,「時間外労働を行う業務の種類」や「時間外労働の上限」などを決める必要があります。

時間外労働に対しては,所定の賃金に一定割合を上乗せした金銭が支払われなければなりません。

この割増賃金が一般的に残業代や残業手当と呼ばれている賃金です。

また,法定休日に労働した場合には,割増賃金率は35%以上で計算することが義務付けられています。(労働基準法第37条1項,割増賃金令)

時間外労働の上限規制について

これまで,36協定で定める時間外労働については,厚生労働大臣の「告示」(労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(限度基準告示))によって,上限の基準が定められていました。

しかし,臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には例外がありました。

そのような場合には「特別条項付き」の36協定を締結すれば,限度時間を超える時間まで時間外労働を行わせることができるという抜け穴がありました。

これまでの限度基準告示では,時間外労働の上限については罰則による強制力が無く,特別条項を設けることで上限なく時間外労働をさせることができるようなルール設計となっていました。

このような問題点を踏まえて法改正がなされました。

働き方改革による時間外労働の上限規制

時間外労働の上限に関する問題に対して,法改正により罰則付きの上限規制が制定され,さらに,臨時的な特別な事情がある場合にも上回ることができない上限が設定されました。

改正前の36協定の問題点

改正前では,特別条項付きの36協定を締結しておくことで無限定に時間外労働を行わせることができたことで,以下のような問題が発生しました。

  • 長時間労働が原因による精神疾患を患う労働者の増加
  • 過労死や自殺する労働者の増加
  • 労働者の健康面の不安の増加
  • 仕事と家庭生活の両立の困難さ
  • 時間外労働に対する罰則付き規制

法改正によって,法律上時間外労働の上限は原則として「月45時間」,「年360時間」となりました。(労働基準法第第36条4項)

また,臨時的な特別の事情があって労使が合意する「特別条項」がある場合でも,以下のルールを守らなければなりません。(労働基準法第36条5項,6項3号)

  • 時間外労働が「年720時間」以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が「月100時間」未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」がすべて1か月あたり「80時間」以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは,年6か月が限度

上記のルールに違反した使用者は刑事罰の対象なります。

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(労働基準法第119条1号)

特別条項の有無に関わらず,1年を通して常に,時間外労働と休日労働の合計は,月100時間未満,2~6か月平均80時間以内にしなければなりません。

適用開始時期と上限規制が猶予・除外される職種

働き方改革法案は2018年6月に成立しましたが,適用時期は以下のように企業の規模によって異なりました。

  • 大企業については,2019年4月1日から適用開始
  • 中小企業については,2020年4月1日から適用開始

また,時間外労働の上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業種にあります。

以下の事業・業種については上限規制の適用が5年間(2024年3月31日まで)猶予されます。

  • 建設事業
  • 自動車運転の業務
  • 医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

2024年4月1日以降の取り扱いについて,「建設事業」については,災害の復旧・復興の事業を除き,上限規制がすべて適用されます。災害の復旧・復興の事業に関しては時間外労働と休日労働の合計について,「月100時間未満」「2~6か月平均80時間以内」とする規制は適用されません。

「自動車運転の事業」については,特別条項付き36協定を対決する場合の年間の時間が労働の上限が年960時間となります。時間外労働と休日労働の合計については建設業と同様です。また,時間外労働が「月45時間」を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

「医師」については,具体的な上限時間は今後,省令で定めることとされています。

「鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業」については上限規制がすべて適用されます。

その他働き方改革で変わる残業とは?

この他に働き方改革の内容として,中小企業についても「月60時間」を超える時間外労働をした場合の割増賃金率が引き上げられます。

働き方改革以前は,中小企業について,月60時間を超えても割増率は25%とする猶予期間が設けられていました。

しかし,2023年4月1日からはこの猶予が撤廃され,中小企業についても月60時間を超える時間外労働について割増賃金率が50%以上となります。(労働基準法第37条1項但書き)

会社が時間外労働の上限規制に違反している場合

以上説明してきたとおり,働き方改革で時間外労働には従来の規制に加えて上限規制が付け加わりました。

労働者としては,自分がどれくらいの時間労働しているのかを適切にチェックして上記規制に違反している場合には労働義務はないということを理解することが重要です。

労働者が気を付けるべきポイントを簡単に説明したいと思います。

時間外労働をさせるための所定の手続は完了しているか

まずは,使用者が労働者に対して時間外労働を適法にできるような手続を完了しているか否かをチェックしておきましょう。

具体的には書面により労使協定を結び,労基署に届出をしていなければそもそも時間外労働をさせることができません。

まずはそのような労使協定があるか否かを確認しましょう。

労働時間は適切に把握できているか

使用者が時間外労働を命じることができる場合であっても,上限規制を超えるような違法な運用は許されません。

残業の実態を明らかにするためにも労働時間の管理をしておきましょう。

労働時間の管理が杜撰な場合にはそもそも労働時間を把握することができません。

記録やタイムカード,労働時間管理ソフト等,客観的に証明できる形で証拠を残し労働時間を明らかにしておく必要があるでしょう。

違法な時間外労働が行われている場合の対処法

時間外労働の上限規制に違反している残業を命じられている場合には会社に対して拒否・是正を要求しましょう。

また,未払の残業代がある場合には会社に請求することができます。

会社がなんらの対応を取らない場合には労働基準監督署や弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士に依頼すれば,複雑な残業代の計算や会社との交渉事項を一任することができます。

したがって,労働者にとって手続に伴うストレスの大部分を軽減することができます。

残業が多くお悩みの方はまずは弁護士に相談してみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。