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パワハラの録音行為は違法とは言えない!バレずに録音する方法も紹介

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • パワハラの音声を録音する行為は、反社会的な方法や訴訟法上の信義則に違反しさえしなければ違法にはならない
  • 就業規則で社内での録音行為が禁止されている場合でも、パワハラの告発を目的とした録音は懲戒処分の対象となるとは言えない
  • 何とかして証拠をおさめようと焦ってはいけない

パワハラを受けたら何とかして上司や会社に責任を負わせるべく、訴訟を検討する方もいます。裁判で自分の主張を通すためには、証拠が必要です。このため、上司からのパワハラを録音して音声として残したいと考える人もいるでしょう。

気になるのは、職場で録音する行為が法的に認められるのかという点です。職場での録音が違法行為だとしたら、相手の違法性を追及するためにしたことが、かえって自分の首を絞める事態につながります。今回はパワハラの音声を録音する行為の違法性、録音する際の注意点などを解説します。ぜひご一読ください。

パワハラの証拠とりを目的とした録音は認められる?

パワハラは通常、証明が難しいので、証拠を押さえるには相手に隠れて録音するしかないと考えられます。

しかし許可も取っていないのに他人の話す内容を録音することは、倫理的にはもちろん法的にも大丈夫なのかと思ってしまうでしょう。まずは、パワハラの証拠取りを目的とした録音の正当性を探っていきます。

原則として録音データには証拠能力が認められる

会話において、当事者の一方が、他方に許可を取らずに会話の音声を録音する行為を「秘密録音(無断録音)」と呼びます。秘密録音は民事訴訟において証拠能力を備えており、裁判で証拠として用いても構わないとされています。このため秘密録音は違法だとは言えず、秘密録音の一種だと言えるパワハラの録音行為も違法ではないと言えるでしょう。

ただし人格権を著しく害するような反社会的な手段を用いた録音行為は証拠として認められません。ここで言う「反社会的手段」とは、例えば暴力や脅迫といった犯罪的な行為を用いて音声を取得する方法を指します。(参考:東京高裁昭和52年7月15日判決)

また最近の判例では、反社会的手段という基準とは別に「諸般の事情を総合的に考慮し、当該証拠を採用する行為が訴訟上の信義則に反すると認められる場合、例外的に証拠能力が失われる」という基準が示されました。訴訟上の信義則とは、簡単に言えば、民事訴訟上求められる手続きへの信頼を損なう行為は行ってはいけないということです。この判例では大学職員の上司から部下に行われたパワハラ行為に関して、審議非公開・録音禁止のルールがある学内のハラスメント防止委員会の音声を、匿名の第三者が録音した音声データについて証拠能力なしと判じられました。(参考:東京高裁平成28年5月19日判決)

まとめると、反社会的な方法や訴訟上の信義則に該当する場合を除けば、上司等のパワハラの録音行為は違法ではないと言えます。ただし録音行為が従業員に不利に評価されることがあるので、録音の前に場面や目的に関して弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

録音は就業規則で禁止されているケースも

パワハラの録音は違法行為ではありませんが、会社の就業規則で禁止されているケースがあります。会社は就業規則において会社の秩序を守るためのルールを定めることが可能なので、中には「職場内での録音を禁止する」との規定を設ける会社もあります。就業規則に違反してしまうと、懲戒処分を受ける可能性も高いです。

では就業規則に録音禁止の規定がある会社ではパワハラの録音はできないかというと、そうとは限りません。就業規則に定められた服務規律や懲戒処分等のペナルティに関する事項は、従業員の行為が企業秩序に違反する場合に適用されるものです。単に従業員のプライベートを暴くことを目的とした録音は禁じられて当然ですが、従業員の心身を脅かす悪質なパワハラが行われている場合、その窮地から脱するための録音行為は企業秩序を乱す行為とは言えません。

また会社には従業員の安全への配慮や良好な職場環境を維持する義務があります(労働契約法第5条)。パワハラは従業員の安全を脅かす行為に他ならず、パワハラの状況証拠を得るための録音行為は当然認められるべきだと考えられます。ましてやパワハラの追及を目的とした録音に対して懲戒処分を命じる行為は、会社側の方が企業秩序を乱す行為を助長していると言えるでしょう。

まとめると、就業規則で録音行為を禁止する会社は存在しますが、それでもパワハラの告発を目的とした録音は企業秩序には違反しないと考えられます。

上司や会社にバレずにパワハラの録音をする方法

パワハラの録音行為自体は問題無いとは言っても、バレずにうまく録音するのは難しいものです。万一録音がバレてしまった場合、今まで以上に酷いパワハラ行為を受けたり問答無用で会社から追い出されたりするケースが考えられます。ここでは録音がうまくいくか不安を抱える方に、上司や会社にバレずに録音をする方法を紹介します。

ボイスレコーダーを見つかりづらい場所に設置しておく

近年はパワハラという言葉が浸透し、パワハラをしてはいけないとの共通認識ができあがってきました。上司としても、パワハラととらわれる発言は避けるよう細心の注意を払っているはずです。

そういった場合でも、本人が不在の状況で差別的な発言が行われることがあります。本人がその場にいるいないに関わらず、立場の優位性を背景に悪口や陰口を言う行為はパワハラに該当する可能性があります。

自分がいない状況でパワハラの証拠を掴みたければ、ボイスレコーダーを設置しておく手法が有効です。見つかりにくい場所にあらかじめボイスレコーダーを仕込んでおき、自分がいない状況下でなされたパワハラ発言を記録します。置く場所としては、机に積んでいる書類の束の中やいつも置かれているものの影などが考えられます。

注意点としては、エアコンやシュレッダーなど動作音がする可能性がある機器の近くは避けることです。人に見られないようボイスレコーダーを回収するタイミングにも細心の注意を払いましょう。ちなみに確実に音声を取得するために、スマホの録音機能ではなく高性能のボイスレコーダーを利用することをおすすめします。

無理して録音しない

パワハラの録音機会はそう何度も訪れるものではありません。何とか録音できたとしても、音声が不明瞭では証拠にはならないので撮り直す必要があります。録音がうまくいかないと次第に気持ちに焦りが生じるでしょう。

しかし、無理して録音するのはやめてください。例えば上司がパワハラ発言をするように敢えて挑発する行為は、労働者側に非があると捉えられる恐れもあります。また、音声を自分に有利な内容にするために編集を行う行為は、証拠の改ざんに他なりません。無理して録音するとかえって自分が危険な状態に置かれるので焦ってはいけません。

録音を失敗しないためには、入念な下準備が必要です。今までの状況からどのような環境でパワハラが行われやすかったか考え、似た状況が訪れたらいつでも録音できるよう準備を整えておきます。例えば、移動中の車の中でパワハラが行われやすかったとしたら、カバンの中にボイスレコーダーを仕込ませておくとバレにくいでしょう。

パワハラを受けて精神的にキツイ状況も分かりますが、焦らず頭はクールに、確実性の高い方法を考案しましょう。

録音していることは誰にも打ち明けない

パワハラの録音をしようとしていることは、職場内外問わず、誰にも打ち明けないことをおすすめします。できれば家族や親友に対しても話さない方が良いでしょう。誰と誰がつながっているかは分かりません。誰かに話すことで上司や会社にバレる危険が高まるのは確実です。気持ち的には探偵につけられているつもりで、秘密裡に事を進めましょう。もしどうしても誰かに相談したい場合、弁護士などの専門家が適任です。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。