不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

うつ病を原因に解雇はされない?うつ病で解雇された場合の法的問題と対処法

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20190312193153 228a759fb62158b3c293a59794d8ab2036aed305 2

この記事でわかること

  • うつ病を原因とする解雇を受けた場合、まずうつ病が業務を原因に発症したものか否かが重要なポイントになる
  • 業務起因のうつ病の場合、労働者はほとんどの場合解雇されない
  • 業務起因でないうつ病の場合も、解雇は労働契約法16条により、厳しい制約を受ける

人間誰もが生きていれば病気にかかります。それは身体的なものでなくとも精神的なものもそうです。

特に昨今業務を原因とするうつ病が問題視されています。うつ病は重大な精神病でもあり、最悪の場合自殺にも結び付くものです。

うつ病と診断された社員に対して十分な配慮ができるような会社であればいいですが、残念ながら全ての会社がそうではありません。うつ病を原因に解雇されるような事態も考えられます。

本記事においてはうつ病を原因に解雇された場合に労働者を保護する法律の規定や実際の法的問題についてまとめていきます。

業務起因のうつ病を原因とする解雇

まずうつ病を原因とする解雇について、最初に考えなければならないポイントはうつ病の発症が業務を起因とするものかそうでないかです。

うつ病が業務起因である場合、以下のような重大な法的問題が生じることになります。

うつ病における業務起因性の判断

まず何が業務起因といえるかについて、一概に断言することは非常に難しいですが、主に残業の長さやハラスメントの有無など会社側の原因があるか、業務以外の心理的負荷や個体側要因がないかが考慮されることが多いです。

なお残業時間の長さについてうつ病発生までの過去6か月間の平均残業時間が70時間を超えていた事案について業務起因性が認められるとしたものがあります。

同判決は他の要素も相まって業務起因性を判断しているので一概には言えませんが、厚生労働省によると発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合などは業務起因性が認められやすい要素となる旨述べています。

労働基準法19条1項

業務起因のうつ病の場合、労働基準法19条1項が問題となります。

第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

同項によると、業務起因のうつ病の療養のため休業する期間、その後30日については解雇は禁止されます。

この禁止はほぼ絶対的なものであり、例外は但書にある①打切補償を会社が支払う場合、②天変地異その他やむを得ない事情がある場合のみしか当該労働者の解雇は絶対に許されません。

なお、①の打切補償について定めた労働基準法81条は以下のように定めます。

第八十一条 第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

すなわち①の要件を満たすためには三年間の経過および平均賃金の1200日分の補償の支払が必要になります。

②の天変地異のような事情はめったに起こらないと言っても過言ではないため、このことからも労働基準法19条1項は非常に例外の少ない規定だと言われています。

したがって、うつ病が業務起因のものである場合、例えば会社の用意した休職期間を満了してもうつ病の回復が見込まれないからと言って労働者を解雇することは労働基準法19条1項により禁じられることになります。

うつ病による解雇が不当な場合

うつ病が業務起因のものであって、解雇が労働基準法19条1項に反する場合、その解雇は当然無効なものとなります。

この場合、労働者としては解雇の無効を確認したり(労働者としての地位が存続していることの確認)、不当な解雇をされたことについて損害賠償請求をしたりすることが考えられます。

業務起因でないうつ病を原因とする解雇

上述のように業務起因のうつ病は労働基準法19条1項により非常に強力な制限が課されることになります。

これに対して、うつ病が仮に業務起因のものとは言えない場合、会社側は特に責められるべき要素がないため、うつ病を理由にする解雇であっても労働基準法19条1項のような強力な制限はありません。

しかしながら、そのような場合であっても、うつ病を理由とする解雇が認められないことは十分に考えられます。

労働契約法16条による制限

労働契約法16条は以下のように定めています。

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

すなわち同条によると解雇は客観的に合理的な理由があって、社会的に相当性を有するものでなければならないとされています。

同条に従うとうつ病を原因とする解雇の場合、①主にうつ病について回復の見込みが乏しいものか、②労働者と使用者の労働契約に職務限定合意がない場合に業務の内容や頻度的にうつ病になった労働者が継続勤務可能な配置が可能でないか、③解雇に至るまでに十分な配慮をして相当な手続を経たかなどが判断されることになります。

うつ病による解雇の有効性

具体的には①労働者を診察する医者が、当該労働者について勤務可能と判断している場合に労働者を解雇することは、医師の判断が客観性に欠けるなど特段の事情がない限り労働契約法16条にいう「客観的に合理的な理由」がないと判断される可能性が高いです。

さらに②労働契約の内容的に配転が可能である場合、当該労働者の精神的影響を加味して他の労働環境で働かせることが未だ可能にもかかわらず労働者を解雇することについても労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」がないことになります。

最後に③例えば会社に休職制度があるにもかかわらず、労働者がうつ病と診断され、それを報告してすぐに労働者を解雇する場合など、相当な期間を待たずして労働者を解雇する場合、労働契約法16条にいう「社会通念上相当である」とは言えません。

なお、解雇が不当である場合には上述したように労働者としては解雇の無効を確認したり(労働者としての地位が存続していることの確認)、不当な解雇をされたことについて損害賠償請求をしたりすることが可能です。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。