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この記事でわかること
「給与をちゃんと払ってくれない」
「違法な長時間残業をさせられている」
このような労働基準法違反について、なんとかしたいと思っても、どこに・どのように通報をすれば良いかわからない…とお悩みではないでしょうか。
会社が労働基準法に違反していなかどうかについては労働基準監督署が担当をしています。
このページでは、労働基準監督署への通報の方法と、通報にあたってのコツについてお伝えします。
目次
労働基準監督署への通報の行い方について確認しましょう。
労働基準法は、会社に対して労働者の保護のために、様々な制限を課しています。
その制限を守るように監督するのが、労働基準監督署であることが、労働基準法99条3項に規定がされています。
労働基準監督署は、労働基準法違反をした会社に対して、会社に対して立ち入って帳簿や書類の提出を求めたり、関係者から事情聴取をしたり、会社に対して報告をさせる・出頭をさせるなどの処分をすることができることになっています(労働基準法101条・104条の2)。
さらに、労働基準法に違反する場合には、刑事事件として処理することもでき(労働基準法117条以下)、この場合に労働基準監督署は司法警察員としての役割を行うことも明記されています(労働基準法102条)。
労働基準監督署は労働基準法に基づく権限があるので、会社に対して労働基準法を守っているかどうかを自ら確認するのが望ましいといえます。
しかし、日本には無数に会社があり、労働基準監督署のマンパワーにも限りがあります。
そのため、労働基準法に違反する状態で働かされているような場合でも、何もせずに労働基準法違反を是正してもらうことは期待できません。
そのため、労働基準法違反の状態であることを、労働基準監督署に通報することができます。
労働基準法では104条1項で、会社が労働基準法違反である場合には、申告をすることができる旨を規定しており、労働基準法違反を通報したことを理由に解雇することを2項で禁止しています。
労働基準監督署への通報には来所する方法とインターネットで通報する方法があります。
まず、インターネットで通報する方法として、厚生労働省のホームページ内に、労働基準関係情報メール窓口があります(https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/roudoukijun_getmail)。
送信フォームに会社の名前や、自分の属性(現在働いている・雇用形態など)を入力した上で、「情報提供」という形で送信をすることができます。
送信については、匿名にすること、情報提供をしたことを知らせてよいか、などといったことを選ぶことができるようになっています。
あくまでインターネットで情報提供をするにすぎず、労働基準監督署としても内容の真偽を確認することができません。
そのため、同様の通報が相次いでいるような場合などに、労働基準監督署が動くことが期待できます。
次に、地域を管轄している労働基準監督署に直接相談する方法です。
電話などで相談をすることもできるのですが、電話では具体的な内容がわからず、一般的な相談にとどまることが多く、解決をするためには最終的には労働基準監督署に訪問をして相談することが多いです。
労働基準監督署に通報をする際のコツは、証拠をある程度揃えて通報すること、です。
証拠が重要な理由としては、証拠がなければ労働基準法違反が認定しづらいことが挙げられます。
確かに、上述したとおり、労働基準監督署は労働基準法違反があるかないかを確認するためにも、立ち入り検査や報告を求めたりすることができます。
しかし、立ち入りや報告を求めることは、会社にとっては負担のかかることで、これを安易に行うことは妥当ではありません。
場合によっては会社から非難される・訴えられるということにも繋がりかねないからです。
そのため現実には、ただ労働基準法違反があると通報するよりも、証拠をもって労働基準法違反があると通報するほうが望ましいです。
労働基準法違反の中には、給与や残業代の未払いのように、会社に対して民事訴訟を起こすなどの各種請求をすることを視野に入れるものがあります。
民事訴訟においては、請求をする原告が証拠を提出しなければならないこともあり、前提となる交渉でも証拠があると有利に交渉が進むことが期待できます。
民事訴訟を起こすことが想定される場合には、より証拠を残しておくことが重要であるといえます。
では、労働基準法違反の証拠にはどのようなものがあり、集めるにはどんなコツがあるか確認しましょう。
雇用契約に関する違反については、雇用契約書に何が書かれているかを検討することになります。
雇用契約書が手元にあるのであれば用意をします。
会社での就業規則ではどのようなことが記載されているのか検討する場合があります。
就業規則は労働者がいつでも見られるようにしておくことが規定されているので(労働基準法106条1項)、これを閲覧したりコピーをとるようにします。
労働時間の上限を超えている・残業代の支払いがないような場合には、実労働時間の計算が必要となります。
タイムカードがある場合には、紙やカードなどで管理をしている場合には、コピーをとるなどして、提出した後でも労働基準監督署に持っていけるようにしておきます。
webで管理をしているような場合には、スクリーンショットを撮ってプリントアウトをしておくなどが考えられます。
タイムカードがない、タイムカードをきってから働かされるというような場合には、パソコンのアクセスログ、メールやSNSでの送受信履歴、業務日報など労働時間を推認できるものを確保するようにしましょう。
労働基準法19条などの解雇が制限されているにもかかわらず解雇を行うような場合には、解雇理由証明書を会社に提出させます。
労働基準法22条2項は、会社が労働者に解雇の予告をした際には、労働者が解雇理由証明書を請求した場合には、遅滞なくこれを交付しなければならない旨が記載されています。
その記載から不当解雇であることを確認します。
給与や残業代の支払いがない場合に、きちんと支払いを受けておらず、請求をしても支払わない、ということを証明する場合には、会社に対して送った内容証明郵便を証拠に使います。
以上のような客観的な証拠が集まれば望ましいのですが、必ずしも全て収集できるとは限りません。
できる限り集めた上で、証明できない事項については、メモをする・日記をつけておくことは有効です。
労働基準法違反となる行為について、日時や内容、関係する当事者など、細かく正確に記載をしておきます。
このページでは、労働基準法違反があった場合の通報の方法についてお伝えしました。
労働基準監督署に通報をする場合には、できれば直接証拠を添えて通報することが望ましいといえます。
どのような労働基準法違反がある場合に、どんな証拠を収集すべきかはケースバイケースになるので、弁護士に相談するなどして確実に行いましょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。