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会社をクビになっても退職金はもらえる?

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 退職金には功労報償的性格と賃金後払的性格があるといわれている
  • 退職金の減額又は不支給は就業規則や個別の労働契約においてその旨の記載が必要
  • 会社をクビになった場合、退職金は減額又は不支給とされる場合もある一方、非違行為の程度や継続年数などの貢献度などによっては退職金が減額されないこともある

会社をクビになってしまうことは誰にでもありえることです。

しかしながら、長年勤務していて会社にも貢献していたのに、会社をクビになったというだけで退職金が全額無くなるという事態が生じた場合納得がいかないと思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そのような疑問に関連して、退職金の法的仕組みと会社をクビになった場合の退職金の支給について述べていきます。

※なお、本記事においてはクビ自体は有効な場合を想定しています。

退職金の法的仕組み

そもそも退職金とは法律上どのようなものなのでしょうか。

ここでは、本記事の前提として、退職金の法的仕組みについて述べていきます。

退職金制度の定め方は会社による

労働基準法89条3号の2では、会社が退職金制度を設ける場合には、同制度に関して就業規則に定めを置くことが義務付けられています。

逆に言うと、法律上退職金を労働者に支給することは必須ではありません。

もっとも使用者は、一度退職金制度を定めた場合、その運用は定めた基準に従い適正に運用しなければならず、単に気に入らないからという理由で一人の労働者に不利益に退職金を減額したり支給しないというようなことは許されません。

退職金の性質

上に述べた通り、退職金制度は会社の定めにより千差万別のため、その性格の偏りはあるものの、一般に退職金は①賃金後払的性格と②功労報償的性格を併せ持つとされています。

①について、退職金は一般に賃金額を算定基礎にし、勤続年数に応じて額が加算していくことがほとんどです。そのことから退職金は賃金後払的性格を持つと言われています。

②について、仮に勤続年数に応じて額が加算されていくだけだとすると、1年目1万円ならば30年目30万円というように、退職金の額は勤続年数に比例するというのが妥当な解釈となります。しかしながら、現行の退職金制度の多くは1年目が1万円であっても、30年目になると100万になっているように勤続年数に対して累進的な増加をしていること、過去の勤務が同じでも退職事由によってその支給率に差があることから単に賃金後払的性格だけでなく、会社への貢献度を算定基礎としているといえます。このことを退職金が功労報償的性格を有する、といいます。

退職金の減額と不支給

次に退職金の減額・不支給について一般的な整理をしておきます。

退職金の減額又は不支給にはそれに関する規定が必要

労働基準法89条3号の2により、退職金の制度については就業規則等に明示が必要なことは前述しました。よって、退職金を減額又は不支給とする場合にはその旨を就業規則等に明示する必要があると解されています。

したがって、この規定が就業規則等にない場合、退職金を減額したりすることは不可能になります。

退職金を減額する場合、貢献度と背信性の考慮が必要

次に減額・不支給条項が就業規則等にあったとしても、判例によると、退職金を減額する場合には過去の功労を減殺させる程度でなければならないとされています。

さらに退職金を不支給とする場合には過去の功労を抹消させるほどの事由が必要です。

したがって、ここでは会社への貢献度と背信行為の総合考慮が不可欠となります。

会社をクビになった場合の退職金の減額・不支給

それでは本題である「会社をクビになった場合の退職金の支給」という問題について述べていきます。

ここでは退職金の減額不支給条項は存在するという前提で話を進めていきます。

クビとなった原因の考慮が必要

一概にクビといっても様々な理由が考えられます。①労働者の能力不足や人間関係など職場への不適合を理由とする普通解雇によるクビ、②何らかの非違行為を行ったことに対する制裁として行われる懲戒解雇によるクビ、③会社の経営難などを理由とする整理解雇(いわゆるリストラ)によるクビなどが代表的なクビの例になります。

この中でも、例えば③整理解雇によるクビの場合、労働者が何の非違行為も行っていないことも多く、そのような場合に退職金を減額・不支給とするというのは認められない可能性がかなり高いです。

①普通解雇による解雇の場合、②懲戒解雇に比べて背信性は低いことが多いですが、それでも背信性が高いと判断される場合もないとは言い切れません。

もっとも問題となるのが②懲戒解雇によるクビの場合です。

懲戒解雇は労働者の非違行為に対する制裁として行われるので、何らかの背信性をもった行為を労働者がしたと会社に判断されていることになります。

したがって、一般にクビの中でも懲戒解雇によるものは退職金の減額や不支給が認められやすいといっていいです。

職業とクビの原因との関連にも注意

さらに背信性の考慮においては、クビの原因と業務との関連性、会社に与えた信用性の低下なども考えなければなりません。

例えば、懲戒解雇されたAさんについてその原因が痴漢行為だったとしましょう。

Aさんが通常の会社員だった場合、仮に痴漢行為で会社をクビになったとしても背信性は(低いとは言えないものの)そこまで高いとも言えません。

しかしながら、Aさんがバスの運転手で勤務中ではないものの、客としてバス乗車中に痴漢行為に及んだ場合、企業のイメージダウンの程度は非常に大きく、背信性もかなり高いと言えます。

このような場合には、Aさんの貢献度がかなり高かったとしても、退職金の額をかなり減額されてしまうでしょう。

納得のいかない退職金の減額は弁護士に相談を

退職金は将来設計の上でもかなり重要なものです。

仮に退職金の減額について納得がいかない場合には、何らかの非違行為を行ったという後ろめたさがあったとしても気にせず弁護士に相談しに行きましょう。

退職金には5年間の時効があり(労働基準法115条)、早急な対処が必要です。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。