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残業代請求できる条件と請求の手段

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 法的に残業代とは何かが分かる。
  • 残業代3類型の計算方法が分かる。
  • 残業代を請求する3つの手段が分かる。

会社から残業代が適切に支払われているか不安になっている方もいらっしゃると思います。

残業代とは通常の給料とは何が違うのでしょうか。またどのように働いたときに貰えるものなのでしょうか。

この記事では残業代の法律上の意味について解説していきます。

また、実際に残業代を請求する場合の3つの手段についても併せて説明していきますので是非最後まで読んでください。

残業代とは

残業代と言われると定時より長く働いた場合に支払われる給料だというイメージの方が多いと思います。大まかにはこのような理解で問題ありませんが、もう少し細かい分類があります。

ここでは残業代が法律上どのように定義されるのかを分かりやすく解説ていきます。

賃金の支払い方にはルールがある

一般的には残業代とひとくくりに表現されますが、法律的にはいくつかの種類に分けられる割増賃金のことを指しています。

「割増賃金」を理解する前提として、まず「賃金」について理解しておきましょう。

賃金とは「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義されています。(労働基準法第11条)

この賃金の支払いには法律上さまざまなルールが規定されています。

賃金の通貨払い・直接払い・全額払い・定期払いの原則

法律には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」、「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と規定されています。(労働基準法第24条1項2項本文)

「賃金直接払いの原則」の趣旨は、賃金のいわゆるピンハネを防止することにあります。ピンハネとは使用者が労働者に支払うべき賃金の一部を取って自分のものにしてしまうことです。

直接払いの原則は他の原則と違い例外が認められていません。

したがって、使用者は賃金を、労働者の委託を受けた代理人に支払うこともできませんし、未成年者の法定代理人に支払うことも許されていません(労働基準法第59条参照)。

また、「全額払いの原則」については、法令に別段の定めがある場合や労使協定がある場合には例外が認められています。

法令による例外としては、所得税の源泉聴取、社会保険料等の控除などです。

労働組合の組合費を賃金から天引きするには労使協定がなければこの原則に違反することになります。

残業代とは割増賃金のこと

では残業代とは何でしょうか。

残業代とは、使用者が労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合に支払わなければならない「賃金」のことをいいます。(労働基準法第37条)

これを割増賃金と言います。

では、割増賃金の種類について次に解説していきます。

残業代の種類とその計算方法

残業代には3つの種類があると説明しました。

では次にそれぞれの詳細について残業代の計算方法も併せて見ていきましょう。

時間外労働の場合の残業代

法律は「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」、また「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と規定しています。(労働基準法第32条1項2項)

労働時間は一日8時間まで、週に合計40時間までというルールです。

この法定労働時間を超える労働のことを時間外労働といいます。

この時間外労働に対しては、所定の賃金に一定割合を上乗せした金銭が支払われなければなりません。

この割増賃金が一般的に残業代や残業手当と呼ばれている賃金です。

時間外労働の割増賃金は通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の25%以上の賃金が支払われます。(労働基準法第37条1項、割増賃金令)

具体的に見てみましょう。

月給25万円で所定労働時間が1日8時間、1か月の勤務日数が20日としましょう。

この場合に1か月の時間外労働が30時間と仮定します。

1時間当たりの基礎賃金を求めると、

 月給25万円 ÷ (所定労働時間8時間 × 勤務日数20日)= 1563円

この人の時間外労働に対する割増賃金は、

 基礎賃金1563円 × 法定外労働時間30時間 × 割増賃金率1.25 = 5万8613円

となります。

休日労働の場合の残業代

法律上、労働者には毎週少なくとも1回の休日が与えられています。(労働基準法第35条1項)

これを法定休日といいます。

法定休日に労働した場合には、割増賃金率は35%以上で計算することが義務付けられています。(労働基準法第37条1項、割増賃金令)

具体的に考えてみましょう。

月給25万円で所定労働時間が8時間、1か月の勤務日数が20日としましょう。

この場合に法定休日が日曜日の労働者がその日に8時間労働したと仮定します。

1時間あたりの基礎賃金を求めると、

 月給25万円 ÷ 所定労働時間8時間 × 勤務日数20日 = 1563円

この人の法定外休日労働に対する割増賃金は、

 基礎賃金1563円 × 法定休日労働時間8時間 × 割増賃金率1.35 = 1万6880円

と計算されます。

ここで注意が必要なのは法定休日に労働しなければ休日労働にはならないということです。例えば土曜と日曜が休日とされている場合に土曜に出勤しても休日労働ではない可能性があります。

どういうことかというと、1週間に1回の法定休日が日曜日でその日は働いていないとしましょう。この場合、1週間をその日曜日から起算すると土曜日は法定外休日になります。つまり、1週間に1回の法定休日の日曜日は既に確保されているので土曜日に労働をして休日労働には該当しないのです。

なお、この場合でも週40時間の労働時間を超える場合には時間外労働として25%の割増賃金の対象になる可能性はあります。

深夜労働の場合の残業代

法律上、深夜の時間帯とされるのは「午後10時から午前5時まで」です。厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時までが深夜の時間帯とされます。(労働基準法第37条4項、同61条1項2項)

労働者が深夜労働を行った場合には、その時間の労働については通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上の率で計算した割増賃金が支払われます。

計算方法は休日労働の場合と同様の手順で割増率25%として計算することになります。

時間外労働が深夜帯に突入した場合や休日労働が深夜帯に突入した場合はどのようになるのでしょうか。上記で説明した計算の組み合わせになるのでしょうか。

結論からいうと、時間外労働が深夜に及んだ場合はその時間の労働については50%以上、休日労働が深夜に及んだ場合はその時間の労働については60%以上の割増賃金が支払われなければいけません。(労働基準法施行規則第20条)

残業代請求の手段と弁護士に依頼するメリット

最後に残業代を請求するための3つの手段を説明します。

示談交渉

示談交渉では会社に対して残業代が支払ってもらえるように弁護士が会社と交渉することになります。

弁護士は会社の人間関係とは無関係な第三者であり、かつ法律の専門家でもあることから使用者側も残業代の支払いに素直に応じてくれる可能性が高まります。

弁護士が当初より介入することで、次にみていくような手段も控えているため使用者の抵抗に対する抑止力も強いと言えるでしょう。

労働審判

話合いで解決できなかった場合には、裁判所に労働審判を申し立てます。労働審判は短期間で紛争を解決しようとする制度ですので、長くとも数か月で終わります。

解決はお互いの話し合いで決まる調停や裁判所が判断する審判によって残業代の支払いを実現します。

弁護士に代理してもらえば数回の審判手続の中で適切な証拠と主張を過不足なく行うことができ、労働者の希望に沿う調停・審判を得ることができるでしょう。

訴訟

労働審判の結果について、労働者と使用者の少なくとも一方に不服がある場合には訴訟手続により判決を得ることになります。

訴訟に要する時間は、半年から1年以上に及ぶ可能性があります。訴訟では法律的な主張を証拠に基づいて展開していくことになります。また、会社側も弁護士に依頼することが通常だと思いますので労働者も弁護士に依頼すべきでしょう。

訴訟で勝訴した場合には残業代に加え、残業代と同額の付加金が認められる可能性もあります。

訴訟は最も時間を要する手段ですが、判決には強制的に権利を実現する効力がありますので、たとえ使用者が抵抗しても残業代を支払ってもらえることになります。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。