不当解雇・退職勧奨の
お悩みお聞かせください
※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします
※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください
この記事でわかること
もし、あなたの勤めている会社が法律を犯していたり、不正を行っているのを知ってしまったら、それを告発するのはとても勇気がいることですね。
でも、社会的な被害が出てしまったら、取り返しのつかないことになります。
そのために「公益通報」という制度があり、公益通報をした人(公益通報者)が、会社から解雇されるなどの不利益を受けないように「公益通報者保護法」という法律があります。
そして、公益通報の内容として「パワハラ(パワーハラスメント)」も認められています。
この記事では「公益通報者保護法」の解説をしながら、同時にパワハラと公益通報の関係も説明していきます。
「パワハラ」に負けないためにも、ぜひ公益通報の仕組みを理解してください。
目次
公益通報の対象は、会社が違法行為や不正を行っていた場合なので、業務内容によって様々あるため、通報対象となる法律も多数あります。
公益通報の仕方も通報先によって要件が定められており、公益通報者保護法によって保護されるのは、要件を満たしている場合ですので注意してください。
公益通報の通報対象としてイメージとしやすいものとしては「禁止されている化学物質を排出している」とか「食品の表示が偽装されている」などがあります。
2020年10月1日現在で公益通報の通報対象となる法律は471本です。
会社や事業所、役所などすべての分野で、その業務内容によって、それぞれが守るべき法律があるので、これだけの数になるのです。
また、業務内容だけでなく、働く人たちの労働についての法律も含まれています。
「通報の対象となる法律一覧表」は、消費者庁のホームページの「政策」→「消費者制度」→「公益通報者保護制度」→「通報者の方へ」のページの「通報の客体」欄にある「対象法律の紹介」をクリックすると掲載されています。
①労務提供先(1号通報)
勤務先・派遣先・取引先になります。
内部通報ともいいます。
指定の通報窓口か、窓口がない場合は上司や人事部門に通報します。
通報の形式は特に決まりはなく、匿名でも通報は可能です。
②規制権限のある行政機関(2号通報)
通報の内容について監督権限のある行政機関への通報です。
外部通報になります。
通報先の確認には消費者庁のホームページに検索システムがあります。
「通報者の方へ」のページにある「公益通報の通報先・相談先 行政機関検索」を利用してください。
③その他(3号通報)
報道機関・消費者団体・事業者団体・労働組合などがあります。
社会的に大きな影響力を持っているため、通報者保護の要件はもっとも厳しくなっています。
公益通報者保護法では、公益通報をしたことによる不利益からの保護が、以下のように定められています。
①1号通報(労務提供先への通報)の場合は、通報対象事実が生じていると「思われること」が要件となります。
②2号通報(行政機関への通報)の場合は、通報対象事実が生じていると「信ずるに足りる相当の理由があること」が要件とされています。これを「真実相当性」といい、証拠や根拠が必要になります。
③3号通報(その他団体などへの通報)は、会社に与えるダメージがとても大きいため、②の真実相当性に加えてさらに必要な理由があり、要件はかなり厳しいものになっています。
公益通報は会社の姿勢を正すための制度であり、会社や加害者に仕返しをするための制度ではありません。
また、通報の内容には、第三者の個人情報や企業秘密などが含まれる場合がありますので、外部に通報する場合は十分な注意が必要です。
まず1号通報をして、社内で解決しない場合は、2号通報を考えましょう。
2号通報をするときは、前もって労働問題に詳しい弁護士などに相談し、保護要件に当てはまっているかを確認しておくことをおすすめします。
職場でパワハラを受けたときも公益通報の対象となります。
職場の人事・労務の担当者や担当窓口に相談しても対処が不十分な場合は、都道府県の労働局が相談窓口です。
公益通報者保護法の対象となる法律には、業務内容に関わるものだけでなく、そこで働く人の労働問題に関わる法律も含まれています。
代表的な法律として「労働基準法」「労働組合法」「労働契約法」「労働安全衛生法」などのほかに「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」も含まれており、派遣労働者も対象となります。
また、パワハラ防止法とも呼ばれる「労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)」も含まれています。
厚生労働省では「職場のパワーハラスメントの概念について」において、以下の1から3までの要素のいずれも満たすものを職場のパワハラとしています。
1 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
2 業務の適正な範囲を超えて行われること
3 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
公益通報の対象となるパワハラは、上記の1~3の要素を満たしていて、下記の6類型に当てはまるもので、公益通報の対象となる法律に違反している行為であり、かつ、暴行・脅迫などの犯罪行為に当たる場合になります。
厚生労働省がまとめた、職場のパワハラに当たりうる6類型は、以下のとおりです。
1)身体的な攻撃
→上司が部下に対して、殴打、足蹴りをする
2)精神的な攻撃
→上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする
3)人間関係からの切り離し
→自身の意に沿わない社員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする
4)過大な要求
→上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる
5)過小な要求
→上司が管理職である部下を退職させるため、誰でも遂行可能な受付業務を行わせる
6)個の侵害
→思想・信条を理由とし、集団で同僚1人に対して、職場内外で継続的に監視したり、他の従業員に接触しないように働きかけたり、私物の写真撮影をしたりする
パワハラについての通報先も、はじめは1号通報である職場の窓口です。
相談するときには、加害者に対してどのような対応をとってほしいか、自分の希望を伝えましょう。
職場の対応が不十分な場合は2号通報になります。
2号通報の行政機関については、都道府県の労働局が対応窓口です。
労働局は、会社がパワハラ防止のための適切な措置をするように、会社に対して助言や指導などを行ってくれます。
相談は無料です。
労働局に相談したことを理由に、解雇や降格などの不利益を与えることは法律(公益通報者保護法)で禁止されています。
これは、パワハラ以外の内容での公益通報も同様です。
にもかかわらず不利益処分を受けた場合は、会社が違法行為をしているのですから、泣き寝入りせず、労働問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談する際には、パワハラ行為の証拠があるとよいでしょう。
内容によっては、加害者に対して補償や罰を求めることもできます。
労働審判を通して不足分の請求をすることができます。
労働審判で地位確認請求をすることで、雇用関係や労働条件を回復することができます。
加害者に対して損害賠償(慰謝料等)を求めることができます。
暴力を受けた場合などには、警察に被害届を提出したり、加害者を告訴するなどして、処罰を求めることができます。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。