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パワハラ防止法の内容とパワハラ被害者がとるべき行動について確認

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • パワハラ防止法は会社にパワハラ防止のための施策を義務づけた法律
  • 違反する会社に対して実名公表を含む行政指導を行うことができる
  • パワハラの被害にあっている労働者は解決のために、パワハラ対策担当者に相談・労働局に相談・法的手段・刑事告訴といった行動をとるべき

2020年6月「改正労働施策総合推進法」が施行されました。

この法律は通称「パワハラ防止法」と呼ばれるもので、2020年12月現在は大企業にのみ適用され、2022年4月から中小企業にも適用がされます。

ではこの法律はどのようなことを規定したものなのでしょうか、また、現実にパワハラの被害にあっている人はどのように救済されるのでしょうか。

このページではパワハラ防止法とその解決策についてお伝えします。

パワハラ防止法の背景

パワハラ防止法ができた背景を確認しましょう。

パワハラとは「パワーハラスメント」の略称で、一般には職場での権力・立場を利用した嫌がらせのことをいいます。

パワハラは日本では2001年にコンサルティング会社によって提唱され世間に認知されたもので、2011年に厚生労働省によるワーキンググループが組織され調査や啓蒙が進んできました。

そして、2019年5月に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の改正案(改正労働施策総合推進法)が成立し、第8章においてパワハラ防止に関する規定が追加されました。

改正された内容は、2020年6月から大企業で施行され、2022年4月からは中小企業も対象になることになっています。

この改正労働施策総合推進法は通称「パワハラ防止法」と呼ばれていますので、このページではパワハラ防止法と呼びます。

パワハラ防止法は会社にパワハラ防止義務を課している

ではパワハラ防止法の内容について見てみましょう。

パワハラ防止法は、職場でのパワハラを防止するために、次のような規定を置いています。

パワハラ防止法が防止する「パワハラ」

まず、パワハラ防止法が防止しなければならない「パワハラ」とはどのようなものでしょうか。

職場ですので、上司から部下の関係で、部下としては「嫌だな」と思うことはどうしても発生しますが、すべてがパワハラにあたるわけではありません。

パワハラ防止法が防ぐべきパワハラについて、パワハラ防止法30条の2第1項は

「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

と規定しています。

そこで、パワハラ防止法が防止すべきパワハラは

職場において行われる優越的な関係を背景とした言動

業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので労働者の就業環境を害するもの

といえます。

会社にパワハラを防止する雇用管理上の措置をとる義務

パワハラ防止法は、パワハラの被害をうけている労働者からの相談に応じて、適切に対応するために必要な体制の整備、その他の雇用管理上の措置をとならければならないとしています(パワハラ防止法30条の2)。

具体的に何をしなければならないのかは、厚生労働省において

パワハラについての事業主の方針を周知・啓発する

相談窓口を設けて労働者に周知し、相談担当者が適切に対応できるようにする

パワハラが発生した後の迅速かつ適切な対応をする

などが挙げられています。

パワハラを改善しない会社に対する行政指導

以上のような規定があるにもかかわらず、これに従わない会社がいる場合には、会社に対して労働局が行政指導などを行うことができる旨が規定されています。

パワハラ防止法33条1項は、会社に対して助言、指導又は勧告をすることができます。

そして、パワハラ防止のための施策をしていない事業主に対して勧告を行っても、この勧告に従わない事業者については、実名公表することが定められています(パワハラ防止法33条2項)。

さらに、法律の規定の施行に関する必要な事項の報告を求めることができ(パワハラ防止法36条)、パワハラ防止法36条に違反して報告をしなかったり、虚偽の報告を行った場合には、20万円以下の過料に処せられる旨も規定されています(パワハラ防止法41条)。

これらの措置を行使することによってパワハラの被害にあっている被害者が救済されることに繋がります。

パワハラの被害にあっている労働者を救済する手段

会社にパワハラをさせないための仕組みづくりの他に、現実にパワハラの被害にあっている労働者を救済するための制度として、あっせんを行うことができる旨が規定されています。

手段ですが、パワハラが現実におきて会社が必要な措置をとれない場合に、個別の労働者を救済する必要があります。

都道府県の労働局で相談を受けつけており、労働局は紛争解決のために助言・指導・勧告をすることが可能です(パワハラ防止法30条の5)。

また、紛争調整委員会に紛争解決手段としての「あっせん」を行わせることができる旨規定をしています(パワハラ防止法30条の6)。

これは、紛争解決のため利用される裁判にかわって利用されるもので、ADR(裁判外紛争処理手続き)と呼ばれ、硬直した制度である裁判よりも、柔軟な解決をはかることができるものです。

パワハラの被害にあっている人はどうすればよいか

ではパワハラ防止法が施行されたことで、パワハラの被害にあっている人はどのような行動を取ることができるのでしょうか。

社内のパワハラ対策担当者に相談を行う

すでにパワハラ防止法が施行されている大会社や、準備を早めにすすめてパワハラ対策をすすめている中小企業では、社内にパワハラ対策担当者を置いています。

パワハラは見えないところで行われることも多いので、パワハラ対策担当者が把握していないこともあります。

そのため、パワハラ対策担当者への相談によって、適切な対応がされ、パワハラ被害から救済されることが期待されます。

総合労働相談コーナーに相談をする

社内のパワハラ対策担当者に相談をしても一向に改善されない場合には、会社の中でも自浄を期待できないので、外の組織に相談をする必要があります。

都道府県の労働局は総合労働相談コーナーという相談窓口を設けており、パワハラもこちらで相談をすることができます。

場所としては労働基準監督署内などの場所にありますので、近くの場所に相談をしてみましょう。

パワハラ防止法に違反するような状況であれば、行政指導をしてもらうことに繋がる可能性があります。

法的な手段をとる

すでに退職をしてしまったなどの場合、会社に対して損害賠償を請求することができる場合があります。

このような場合に、会社に対して任意に損害賠償の支払いを求め、支払わない場合には法的な手段をとることになります。

上述したあっせんを利用しても良いですし、労働審判や民事訴訟といった方法を選ぶことができます。

どの方法が適切かは、パワハラの内容・証拠・望む解決方法などによって異なりますので、まずは弁護士に相談をしてみましょう。

刑法犯になる場合には刑事告訴をする

パワハラの中でも、殴る・蹴る・ものを投げるなどの暴力をふるうような場合には、暴行罪・傷害罪が成立しえます。

刑法に規定されているような行為があった場合には被害届の提出・刑事告訴を行います。

証拠はパワハラ問題解決に不可欠

以上のパワハラの被害者による行動について、証拠の存在が不可欠になります。

社内のパワハラ対策担当者に相談をしても、加害者がパワハラを行っていないと反論し、同僚に話を聞いてもパワハラの矛先が自分に向くのが怖くて何も証言しないことも考えられます。

これは労働局での相談や、刑事告訴をする場合も同様です。

また、あっせん・労働審判・裁判をする場合には、証拠の提出が必要になります。

怪我をしたような場合には診断書を取得する、暴言については録音をする、メールなどがあるような場合には印刷して保存しておく、といったことをできる限りおこない、証拠を保存できなかった場合でもメモや日記として細かく記録しておくようにしましょう。

まとめ

このページでは、パワハラ防止法の内容と、パワハラ被害者がとるべき行動についてお伝えしてきました。

パワハラ防止法は会社にパワハラ防止を義務付け、行政に行政指導の権限をあたえ、紛争解決手段を設けるものです。

現実にパワハラ被害にあっている場合には、弁護士に相談するなどして、適切な解決方法をとるのが望ましいといえます。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。