不当解雇・退職勧奨
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試用期間に能力不足を指摘され退職勧奨を受けている場合の対処法

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 試用期間とは、使用者が労働者の能力や適性などを見極めるために設ける期間である。
  • たとえ能力不足でも試用期間に簡単に解雇をすることはできないため退職勧奨を行うことがある。
  • 行き過ぎた退職勧奨については損害賠償を請求することも可能である。

新しい会社に入って試用期間頑張っているにもかかわらず、上司などから能力不足を指摘されて、「この仕事は向いていないかもしれないから、別の会社で頑張った方がいい」などと言われ、辞めざるを得ない状況になっている…ということはありませんか?

このような労働者が自分から退職をするように会社が促してくる行為は、退職勧奨と呼ばれます。

たしかに試用期間中に能力不足であるならば仕方ない部分もあるのでは?と思うかもしれませんが、場合によっては違法な退職勧奨として損害賠償の対象になる場合もあります。

このページでは試用期間中に能力不足を理由とする退職勧奨を受けている場合に、労働者がとるべき行動についてお伝えします。

試用期間に会社が能力不足を理由に退職勧奨をすることの法律問題

まず、試用期間中に会社が労働者に対して能力不足を理由とする退職勧奨をすることに、どのような法律問題が発生するのかを確認しましょう。

どうして試用期間中に会社が労働者に対して退職勧奨をするのか

「試用期間に能力不足が発覚したんだったら、解雇されるのも仕方ないのでは?」と思った方も多いのではないのでしょうか。

そこで最初に、どうして会社が試用期間中に労働者に対して退職勧奨をするのかを確認しましょう。

詳しくは後述しますが、試用期間中に能力不足が発覚したとしても、解雇をすることは容易ではなく、安易に解雇をすると不当解雇となってしまう場合があります。

そこで、試用期間から本採用をするにあたって能力不足を理由に本採用をしないということも可能なのですが、それも簡単ではないのです。

そのため、自発的に退職をさせる退職勧奨が利用されるということを知っておきましょう。

以下、試用期間、試用期間中の解雇や本採用の拒否、退職勧奨について、もう少し詳しく確認しましょう。

試用期間とは

まず、試用期間とはどのようなものでしょうか。

一般的に雇用契約を結ぶ際には、最初の数日~数ヶ月を「試用期間」とすることが多いです。

試用期間について法律では次の事項が定められています

平均賃金の算定期間中に試用期間がある場合には、その期間について算定の期間と賃金の総額から控除する(労働基準法12条3項)

労働基準法20条の解雇予告の規定は14日を超えて引き続き使用されるに至った場合を除いて適用されない(労働基準法21条4号)

試用期間中の最低賃金は都道府県労働局の許可を受けたときは減額することができる(最低賃金法7条)

としています。

今回問題になっている、能力不足である場合に解雇をすることができることは規定されていません。

試用期間中の解雇

では、試用期間中の解雇については法律はどのように考えているのでしょうか。

解雇については、労働契約法16条に定められているように、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないものは、解雇権の濫用として無効とされることになっています。

試用期間であるからといってこの法律の適用がないというわけではないので、試用期間だからといって簡単に解雇をすることはできません。

今回問題となっている能力不足については、会社としては採用時にしっかりと見極めて、採用後は能力不足の労働者を研修・教育によって戦力とするべきで、数日・数週間働いただけで能力不足として解雇をすることはできないのです。

本採用の拒否

試用期間については、試用期間経過後に一定の条件が揃っていれば本採用をする、という流れになるのが一般的です。

能力不足のような場合には、能力不足を理由に本採用を拒否して契約を終了されてしまうことが考えられます。

本採用の拒否について、三菱樹脂事件(最高裁昭和48年12月12日判決)において、試用期間が「解約権が留保された雇用契約である」としており、「通常の解雇と全く同一に論ずることはできず…広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべき」であって「留保解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解するのが相当である」と判断しました。

つまり、通常の解雇よりは本採用の拒否のほうが緩やかに判断されることになります。

能力不足による本採用の拒否も、客観的な合理性があって、社会通念上相当といえるかどうかによって決定することになります。

ですので、試用期間がどれくらいあるか、試用期間の間にどのような研修・教育が行われたか、本採用をされるべき人がどのような人だと想定されているのかなど、個別的にケースによって検討する必要があります。

研修期間が短い、研修・教育がほとんど行われていない、過酷なノルマを課すなどで本採用のハードルが高い、といった場合には本採用の拒否が、濫用であると評価される可能性もあります。

退職勧奨

このように、試用期間における解雇・本採用の拒否には制限が課されていることから、会社としては「自主的に辞めさせたい」と考えることになります。

そのため、能力不足とされる労働者を自主的に退職させるために働きかける、いわゆる退職勧奨を行うようになります。

退職勧奨をすること自体はあり得るのですが、社会的に相当な範囲を逸脱して、退職強要といえる程度になっている場合には違法とされ、損害賠償の対象になることがあります。

嫌がらせを執拗に行う・数人で取り囲む・会議室で退職届けを書くまで出さないなどが想定されます。

能力不足を理由に退職勧奨を受けた場合に労働者はどのようにすればよいか

では能力不足を理由に退職勧奨を受けた場合には、労働者はどのように対抗すればよいでしょうか。

会社を辞めてもいい場合には退職の条件や会社都合退職にしてもらう

実際に採用されて、仕事についてみたものの、実際の仕事が自分のスキルでは見合わなかったような場合があります。

会社としても新たなポジションの求人でどのような人物がふさわしいかわかっていないような場合があり、このようなミスマッチも生じることがあります。

その他にも、会社を辞めても仕方ないといえる場合には、退職の条件に関する交渉をしましょう。

たとえば、就職する前には失業手当をもらっていたにもかかわらず、就職したことによって失業手当を貰えなくなったような場合には、就職しなければそのまま失業手当をもらって適切な会社を探せていたわけです。

辞めるときの具体的な状況次第で、たとえわずかでも退職金を出してもらえるような可能性があるのであれば、交渉をすることも一つの選択肢といえます。

試用期間内であれば関係の無いケースもあるのですが、6ヶ月を超えて試用期間として雇用されていた場合には、会社都合退職としてもらえれば、失業手当を受け取ることが可能ですので、交渉をしてみましょう。

仕事を続けたい場合には退職勧奨をきちんと断る

仕事を続けたい場合には、退職勧奨についてはきちんと断るようにしましょう。

明確に退職勧奨に対して拒否をしているにもかかわらず、退職勧奨を繰り返すような場合には、執拗な退職勧奨として、手段の社会的相当性を欠くと認定される可能性があります。

そして、能力不足と言われている部分について真摯に向き合って本採用を勝ち取るように努力をしましょう。

執拗な退職勧奨が行われた場合には証拠を集める

退職勧奨が執拗であると感じたときには、なるべく証拠を集めるようにします。

面談される場合には録音をしたり、メールで退職を促された場合にはこれを保存しておきます。

すべてを保存するのは難しいといえますので、手帳に細かくメモをする・日記をつけることによって、より強い証拠になります。

退職勧奨・解雇・本採用の拒否が違法な場合には損害賠償を請求する

退職勧奨・解雇・本採用の拒否が違法と評価できる場合には損害賠償を会社に請求します。

任意に請求することも可能ですし、会社が応じない場合には労働審判・裁判を利用します。

ケースバイケースの判断になり、会社の反発も予想されますので、弁護士に相談・依頼するのが良いといえます。

まとめ

このページでは、試用期間中の能力不足を理由に退職勧奨を行ってきた場合の法律問題と労働者の対応策についてお伝えしました。

試用期間の法律がどうなっているのか、解雇・本採用の拒否や退職勧奨がどうなっているのかは、ケースバイケースで考えることも多いので非常に難しい問題です。

弁護士に相談して適切な解決を目指しましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。