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深夜割増賃金がないのは適法?働いている人こそ知っておきたいこと

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 深夜割増賃金がないのは違法
  • 午後10時から午前5時まで働いていれば深夜割増賃金の対象になる
  • 深夜割増賃金の算出には手当なども含めて計算する

働き方によれば深夜に就業している方もいらっしゃるでしょうが、会社の方針によっては「深夜割増賃金はない」と言われたことがある方もいらっしゃるでしょう。

しかしどんなに会社側が深夜割増賃金はないと主張しても、これは違法であり、実際に深夜に働けば深夜割増賃金は支払われるのです。

今回の記事では深夜割増賃金がないと宣言された人が知っておくべきことを解説いたします。

深夜割増賃金がない人が知っておくべきこと

誰でも働いていれば会社側が言うことに疑問を抱かれたことはあるでしょう。

働いている側からすれば「それはどうなんだ」と思わざるを得ないものもあり、たとえば深夜割増賃金はないと宣告されたというものがあげられます。

「会社が言うことだから正しいのだろう」と思いそうですが、実は会社側が強く主張したとしても違法であり、労働者としても以下のように正しい知識を備えておかなければなりません。

深夜割増賃金の定義

深夜割増賃金は言葉こそご存知の方は多いでしょうが、正確な知識をお持ちの方は多くはありません。

まず深夜割増賃金の「深夜」とは午後10時から午前5時の時間帯を指しており、日付が変わる午前12時に突入しなくとも午後10時に入れば深夜割増賃金としてカウントされます。

たとえば就業規則などに「深夜割増賃金は午前12時を回ってからカウントする」などと記載されていたとしても、深夜割増賃金のカウントは労働基準法によって定められており、就業規則で定めていても午後10時に入れば深夜割増賃金として扱われるのです。

深夜割増賃金を計算するには

深夜割増賃金を計算するには、ご自身の給料を時間額(時給)に換算したものが必要です。

計算式としては、「月給÷(1日の所定労働時間×1ヶ月の労働日数)」で算出します。

たとえば月給20万円で1日9時間の勤務(内1時間は休憩)、1ヶ月21日の勤務であった場合は「月給20万円÷(1日の所定労働時間8時間×1ヶ月の労働日数21日)」となり、時間額が1,190円であることがわかります。

深夜割増賃金は算出した時間額に25%以上を上乗せしたものなので、前述のケースであれば1,190円の25%増しで1,488円が深夜割増賃金で、深夜に働いた時間だけ給料としてカウントされるのです。

深夜割増賃金がないのは違法

冒頭のように会社によっては「うちは深夜割増賃金がない会社だから」と主張する場合がありますが、どのような経緯であっても深夜に働いたのに深夜割増賃金がないのは違法です。

深夜割増賃金はそもそも労働基準法第37条4項にて以下のように定められており、もし深夜割増賃金を拒み支払いをしていない場合は労働基準法第119条に定める違法行為をしていることになります。

労働基準法第37条4項

使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法第119条1項1号

次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

(前略)第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)(後略)

すなわち会社が深夜割増賃金はないと堂々と宣言している場合は、労働基準法に基づいた違法行為をしていることになるのです。

具体例でみる深夜割増賃金の計算

深夜割増賃金の定義や計算式がわかっても、ご自身に当てはめようとしてもよくわからないという場合も少なくありません。

ここではいくつかのシチュエーションごとに深夜割増賃金の計算例をご紹介しますので、ご自身で計算するときのヒントとしてお役立てください。

コンビニでアルバイトをしている場合

コンビニのアルバイトとして時給1,000円、午後6時から午前0時までのシフト体制で働いている人の場合です。

アルバイトの場合はもともと時給(時間額)がわかっているので、時給そのものに深夜割増率である25%以上を上乗せした数値に、深夜労働した時間分だけをかけて算出します。

今回のケースでは時給が1,000円なので深夜割増賃金は25%以上増やした1,250円が深夜割増賃金となり、深夜は午後10時から午前5時までであり、このケースの場合は深夜労働は午後10時から午前0時の2時間までです。

すなわち、午後6時から午後10時までは通常の時給1,000円で4時間分働くので4,000円、そして午後10時から午前12時までは深夜割増賃金の1,250円になり2時間働くので2,500円、午後5時から午前12時までの合計で給料は6,500円となります。

IT企業で正社員として働いている場合

IT企業で正社員として働いているケースを例にします。

基本給250,000円、職務手当50,000円、資格手当20,000円、1日の所定労働時間を8時間、1ヶ月の労働日数を20日とします。

時間額の算出にあたっては基本給のほかにも支給されている手当を含めて計算する場合があり、今回の例のように職務手当や資格手当のようなものも含めて計算します。

ただし手当と名がついているものであればすべて算入していいわけではなく、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当は含めてはいけないことに注意しなければいけません。

今回の例で時間額を算出するのであれば、基本給+職務手当+資格手当の合計を時間額算出に必要な月給に当てはめるので、32万円÷(8時間×20日)で時間額2,000円を導き出すことができます。

そして深夜割増賃金は時間額の25%以上増しなので2,500円となり、午後10時から午前5時までの間に深夜労働した時間分だけ深夜割増賃金が支払われるのです。

深夜割増賃金を請求するために必要なもの

深夜割増賃金がないと宣言していること自体が違法であるとわかれば、中には支払われなかった深夜割増賃金を請求しようと考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし深夜割増賃金を請求するにあたっても違法行為をしている会社が簡単に認めるとは限らず、場合によっては裁判所に訴えて支払いを求めていく必要があります。

深夜割増賃金の支払いを裁判所で争っていくにしてもただ口頭で説明すればいいというわけでもなく、以下のようなものを最低でも用意しておかないといけません。

雇用契約書

裁判所で深夜割増賃金の支払いを求めていくのであれば、雇用契約書がなければなりません。

裁判所で深夜割増賃金を争うにしても、そもそも賃金の支払いを求められる者であるかも証明しなければならず、あなたと会社の間に雇用契約があることを立証できる雇用契約書などがなければ裁判所に会社の労働者であることを証明できません。

たとえば「私はここの会社で働いています」と口頭で説明しても雇用契約書がないと裁判所は「本当に雇用契約が結ばれているのかわからない」と判断され、請求(訴え)を退けてしまうおそれがあります。

雇用契約は会社と口約束をしても成立するのですが(民法第623条)、口約束は目で見えないので裁判所は本当に雇用契約が存在するかを判断できないので、雇用契約書がないと請求を認めてもらいにくいのです。

深夜に労働したことの記録

裁判所で深夜割増賃金の支払いを求めていくには、深夜に労働したことの記録が必要です。

前述の雇用契約書と同じく、深夜割増賃金の支払いを裁判所で争うためには実際に深夜労働をして深夜割増賃金が発生していることを証明しなければならないので、深夜に労働したことの記録を準備しなければいけません。

証拠としてはタイムカードのコピーなどが一般的ですが、タイミングがずれてタイムカードを会社に回収されてしまい立証できない場合もあるので、タイムカードに頼らずご自身でも別途労働時間を記録するようにしておくとよいでしょう。

「携帯電話のカメラで撮影してもいいのではないか?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、携帯電話のカメラ機能はデジタルデータであり、デジタルデータは言ってしまうと編集がしやすいため証拠能力としての価値が低いと判断される場合があります。

タイムカードのコピーを用意できないのであれば、編集が難しいフィルムカメラといったアナログな機器で撮影した方が証拠としての価値が高いと判断される場合もあるので、可能であればフィルムカメラも証拠収集の手段として用意しておくとよいでしょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。