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この記事でわかること
会社勤務でのストレスやその他の原因で、適応障害となってしまった場合には、仕事を休んで療養をする必要があります。
自宅などで療養をする場合には当然会社から給料が出るわけではないので、その間の生活費の工面をどうするかという課題が発生します。
このページでは、適応障害になってしまった場合に、労働者としてどのような救済手段があるのかについてお伝えします。
目次
まず、適応障害とはどのようなものかを確認しておきましょう。
まず、適応障害とはどのような状態なのでしょうか。
厚生労働省の「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」というサイトによると、「ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるもの」と説明されています。
意欲低下や抑うつ気分、不安感、焦燥感・緊張感などの感情面の症状などによって日常生活が困難になるものです。
同じような症状としてうつ病が挙げられますが、うつ病と適応障害との違いは、ストレスから離れているときに顕著に現れます。
適応障害の症状はストレスにさらされているときにあらわれ、ストレスから離れているときには比較的落ち着いているとされています。
一方でうつ病は一日中気分の落ち込みなどがあり、ストレスから離れている・離れていない関わらず症状があるものです。
仕事が原因で適応障害になったときには、労災保険の給付を受けることになります。
仕事が原因の適応障害にはどのようなケースがあるでしょうか。
一つは、長時間労働・難易度が高い業務などが心理的負担となって適応障害の発症につながるケースです。
もう一つは、パワハラ・セクハラなどが心理的負担となって適応障害の発症につながるケースです。
適応障害をはじめとする精神障害を発症したケースにおいて労災認定される認定基準が厚生労働省から示されています。
これによると、
認定基準の対象となる精神障害を発病していること
認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
業務以外の尻的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
の3つの要件をみたす必要があります。
1.の認定基準の対象となる精神障害を発病しているかどうかを判断するためには、医師による診断によって行われます。
適応障害は認定の対象となるものとなっています。
2.の認定基準については、「精神障害の労災認定」の「別表1」の「業務による心理的負荷評価表」により「強」といえる場合に認定されるとしています。
別表1では、特別な出来事と特別な出来事以外のものを分類して、特別な出来事がある場合には「強」と認定し、特別な出来事以外の場合には具体的な出来事の精神的な負担の強度を弱・中・強とわけてケースによって分類しています。
特別な出来事には、強姦やわいせつ行為の被害にあうセクシャルハラスメントを受けたような場合や、発症直前の一カ月に160時間を超えるような長時間労働を行った場合などが挙げられています。
特別な出来事以外のものは、業務に関連するものを事細かに規定しています。
たとえば、ノルマが達成できなかった場合に、事後対応や責任を問われるものではない場合には「弱」、ノルマが達成できないと倒産を招きかねず事後対応に多大な労力を要したり、懲戒処分を受けるなどのペナルティを課されたものには「強」としています。
仕事以外のストレスがあるようなケースでは、3.の要件を満たさず仕事以外のストレスがあるようなケースでは、3.の要件を満たさず、労災を認定できない場合があります。
生活をしている中では仕事以外にも家庭などの事情でストレスを抱えることはあり、これらは労災保険では対象外とされるものになるからです。
適応障害の原因が仕事にあり、労災と認められる場合には次の2つの給付を受けることができます。
一つは、治療費として療養補償給付を受けることができ、労働者は病院にかかる・薬をもらうのに費用を支払う必要がなくなります。
もう一つは、療養のために休んでいる期間について、休業補償給付・休業特別支給金の支払いを受けることができます。
後述する傷病手当金には1年6ヶ月の期間制限がありますが、労災保険は給付期間に制限はありません。
ただし、療養を開始して、1年6ヶ月が経過して、労災保険所定の後遺障害が残ってしまったような場合には、障害補償年金に切り替わります。
適応障害の原因となったストレスがパワハラ・セクハラなどの各種ハラスメントにあるような場合には、慰謝料を請求することができます。
パワハラ・セクハラの加害者に対して直接損害賠償をすることはもちろん、会社は労働者が安全に働けるように環境を整備する義務として、安全配慮義務という義務を負っており、パワハラ・セクハラを排除する義務があります。
そのため、会社にも損害賠償を請求することが可能となります。
仕事が原因で適応障害になった場合に、労働基準法19条は、療養期間中とその後30日間は解雇を制限しています。
この期間にする解雇は不当解雇となりますので、解雇をされた場合には不当解雇として従業員の地位を争うことになります。
例外として、療養開始後3年を経過しても仕事に復帰できない場合で労働基準法81条に規定されている1,200日分の平均賃金の支払いをするか、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で労働基準監督署の認定を受けた場合には解雇制限はありません。
仕事や会社が原因で適応障害となったとはいえない場合にはどのような救済手段があるのでしょうか。
適応障害の原因が仕事や会社でのストレスではないような場合や、仕事や会社でのストレスである場合でも労災として認定できないような場合には労災保険で補償を受けることはできません。
このような私傷病にあたるとされるケースで休職をした場合には、加入している健康保険によって傷病手当金の支給を受けられることができます。
この場合に休職をするにあたっては、適応障害の診断書を取得して、休職が必要である旨の医師の判断があることを明確にするようにしましょう。
傷病手当金とは、業務外で発生した怪我や疾病によって、働けなくなり療養が必要な場合に、最大で標準報酬日額の2/3にあたる金額の支給を受ける事が可能となっています。
ただし、この制度は上述したように1年6ヶ月の期間しか支給を受けることができないので注意をしましょう。
このページでは、適応障害になって働けなくなったときに、労働者はどのような対応ができるかについてお伝えしました。
会社でのストレスが原因で適応障害になって労災認定できるかどうかによって対応が変わってきますので、概要をよく確認して、手続きについては会社の人事や社会保険労務士に相談をしましょう。
セクハラ・パワハラの被害にあって適応障害にあったような場合には、慰謝料請求などの対応も必要ですので、弁護士に相談するのが良いでしょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。