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内定を取り消された!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 一般的な内定は判例上解約権留保付きの労働契約が成立したとみられることが多いが、事案によって判断は分かれる
  • 内定が労働契約に当たる場合、内定の条件等内容に照らして内定取り消しの適法性が判断される
  • 内定取り消しに対する法的請求は主に内定取り消し無効または損害賠償請求である

日本の企業に就職するなら経験する人も多いであろう「内定」。企業から内定をもらえたら嬉しいし、何より将来への期待も高まります。

そんな中、企業や人によっては内定取り消しという事態が生ずる可能性があります。内定取り消しがもたらす効果は当然重大なもの。上のような嬉しさとか期待を裏切るだけではなく、取り消しの時期によっては1年間定職に就けないという効果をもたらすことも少なくありません。

本記事においては内定取り消しの法的問題点を説明していきます。

内定の法的性質

内定取り消しの法的問題点を検討する前に内定の法的性質について説明していきます。

後述しますが、内定の法的性質の解釈は事案によることが多く、このことが内定取り消しの法的問題にも影響してくるので、内定取り消しの問題は複雑化します。

内定=契約の成立と見られることが多い

まず判例として、そして日本企業の内定の方法や時期からして、一般的な「内定」であれば解約留保権付労働契約が成立した、と判断されることが多いです。

通常労働者たちは「労働契約」を使用者との間で締結しています。したがって多くの内定の場合は「解約権留保付」ですから、一定の事由が存在したら解約されるという留保を付けた契約を締結したと解されるのです。

例外も多々考えられる

しかしながら、内定の法的分析の中でも難しいのが上の「内定=解約権留保付労働契約」という公式はいつも妥当なわけではなく、例外も容易に考えられるということです。

これは内定が事実上発生したものであり、法的にその範囲が確定されているわけではないことに起因します。

すなわち、労働契約の締結と言われたら大体の会社が書面や就業規則を労働者(被採用者)に示して、労働契約書や誓約書に署名押印してもらう、といった一般的な形が想定されますが、内定にはそれがありません。

企業によってその時期、方法、付される条件の有無やその内容が全く異なるのです。

例えば判例によっては、4次面接後注意確認書なるものを提出し、OB等に「おめでとう」等と言われ食事会にも招待された(6月1日以前)が、後の9月30日に不採用通知を受けた原告について、①会社の「採用内定は10月1日とする」という規定の存在とその規定が遵守されていたこと、②4次面接後に適性検査や健康診断を受け内定書が交付される手続になっていたこと、③4次面接後原告の提出した注意確認書には特に他社応募を断念させる規定がなく、「信義にもとるような行為はしない。」というような抽象的な規定しかないことを理由にして、少なくとも6月1日時点では解約留保権付労働契約は成立していないとしたものもあります。

いわゆる「内定」が「解約権留保付労働契約の締結」と解されるのは、会社の内定手続や、特に他社応募を断念させる規定の存否など様々な事情を考慮して労働契約を締結したに近しい拘束状態が生じると判断される場合ということになるでしょう。

内定=契約とされなくても損害賠償請求できる余地はある

もっとも、内定=解約権留保付労働契約と解されなくても、ある程度内定者側に合理的期待が高まったといえる場合、突然の不採用通知は契約締結過程の信義則違反ということで不法行為を構成し、損害賠償請求が可能になる場合が存在します。

この点については、会社側の言動や手続からして内定者側が合理的期待を抱いたかどうかが判断されることになります。

具体的な内定取り消し理由

次にそもそも内定取り消しがなぜ行われるのか、よく挙げられる内定取り消しの理由を挙げていきます。

能力不足や不適格

勤務の内容が特殊である場合には、内定後に能力不足や職務不適格が判明したという場合が考えられます。

会社としてはどうしても採用段階ではたくさんの人を見る必要がありますから、労働者の深い部分までその適否を判断することは非常に困難と言わざるをえません。

そこで内定から採用期間まで間を置くことによって、その間で能力や適性を改めて判断しようとしているのです。

そのときに能力不足が判明したり、職務に似つかわしくない言動をしてしまったりした場合に内定を取り消すことにより会社に不慮の人的損害が起こることを防ぐ目的があります。

人員整理

突然の事情により、会社の経営が傾いた場合に会社が延命措置として人員を削減する場合があります。俗にいうリストラと同義です。

このような場合、パートやアルバイト、そして新入予定社員はこの人員削減の対象になりやすいです。

内定取り消しの法的問題

それでは、内定が解約権留保付労働契約と判断される場合について、内定取り消しの起こす法的問題点について説明していきます。

基本的には解雇に近しいものと扱われる

内定=解約権留保付労働契約と解される場合、使用者からの不採用通知はその留保解約権の行使であると同時に、使用者からなされる労働契約の解除=解雇(労働契約法16条)とほぼ同様の効果を有することになります。

したがって判例としても解雇権濫用法理に似た処理を内定取り消しの場合にも用いています。

すなわち、留保解約権の行使は、「留保解約権の趣旨目的に照らして」「客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認できる」ことが認められなければならないとしています。

特に内定取り消しの理由が整理解雇(リストラによる人員削減)の場合、学説の有力説によると、通常の解雇と比べてより厳しい制約が課されています。

「留保解約権の趣旨目的に照らして」

上に挙げたうち、「客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認できる」とは通常の解雇権濫用法理と文言は一緒です。

解雇権濫用法理の下で解雇をするのは実のところ非常に難しく、労働契約法上労働者は相当なことがない限り解雇されません。

しかしながら「留保解約権の趣旨目的に照らして」という文言については注意が必要です。

すなわち、内定取り消しは通常の解雇権濫用法理と同様の判断基準ではありますが、その考慮要素として「留保解約権の趣旨目的」が判断されることになります。

例えば、能力不足による労働者の解雇というのは中々認められませんが、内定取り消しの事案において、留保解約権の趣旨が以下の通りだったとします。

「職務の性質上ある程度の知識等が求められるが、それを採用段階で一斉にテストするのは困難なので一定の面談等を経た者に内定を出し、その後具体的なテストでその適否を改めて検討したい」

留保解約権がそのような趣旨であり、そのことを予め労働者に提示しているという性質上、テストにより能力不足が改めて判明した時、通常の解雇よりも「客観的に合理的な理由、相当性」が認められやすくなることも考えられます。

納得のいかない内定取り消しを受けたら

それでは納得のいかない内定取り消しを受けてしまった場合にどのように対処すればいいでしょうか。

その対処法と、請求が認められた場合について確認してきます。

弁護士に相談する

内定の法的複雑さは先に述べた通りです。

したがって、納得のいかない内定取り消しを受けた場合にはまず弁護士に相談してみましょう。

その後の方針等も分かりやすくなります。

請求として認められうるもの

使用者による内定取り消し理由が不当である場合には、労働者としての地位確認請求(内定取り消し無効の確認)、または損害賠償請求が認められます。

したがって、不当な理由か否かは上述の通り、留保解約権の趣旨に照らして判断されますが、不当な理由が認定された場合そのまま新入社員として会社で働くか金銭的解決が望めることになります。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。