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この記事でわかること
「派遣切り」という言葉が世間一般に認知されて久しいですが、今なお派遣切りが行われているのが現状です。
派遣切りは派遣社員にとって、生活を脅かす可能性すらあります。
特に、契約期間中に契約が解除された場合、突然の出来事に呆然としてしまうのではないでしょうか。
今回は、契約期間中の派遣切りをテーマとして、法的な取り扱いやその後の対応について解説します。
契約を終了させられても冷静に対処できるように、何をすればよいか把握しておきましょう。
目次
ひと口に派遣切りと言っても4通りのパターンがあるので、どのようなケースが考えられるかチェックしましょう。
また、契約期間中の派遣切りの前兆についても解説します。
派遣社員は派遣会社に雇われており、就業する会社と雇い主が異なる特殊な雇用形態です。
派遣先と派遣会社の間には派遣労働契約が結ばれ、派遣社員は派遣先で労働力を提供します。
派遣先から派遣会社に派遣料が支払われ、派遣会社から給与を受け取る仕組みです。
派遣切りには以下の4つのケースがあります。
①派遣先から派遣契約更新を断られる
②派遣契約が更新されず、派遣会社から雇い止めされる
③契約期間満了前に派遣契約を解除される
④契約期間満了前に派遣契約を解除され、派遣会社を解雇される
離職理由が会社都合になるか自己都合になるかによって、失業給付金を受け取れる期間や受給条件などが異なってきます。
派遣切りは本人の意思に反して辞めさせる行為とはいえ、すべてが会社都合による離職になるとは限りません。
例えば②の場合、本人が同意しての退職と扱われ自己都合となる可能性があります。
ただし、失業給付の扱いは会社都合退職と同様です。
契約期間中に派遣社員を辞めさせる理由は、会社の業績が悪化したことによる場合が多いです。
そのため、何の前兆もなく突然契約終了を告げられることも珍しくありません。
派遣社員の能力や勤務態度が理由なら、仕事を教えてもらえず指示もないなどの前兆が見られることがあります。
契約期間中の派遣切りは必ず違法となるわけではありません。
派遣切りがやむを得ないものとして適法とされた場合でも、派遣切りした企業からはその後の職についてのサポートを受けられます。
契約期間中に派遣社員を解雇するには、やむを得ない理由があり、解雇の30日前までに予告される必要があります。
以上の条件を満たしていれば、契約期間中の解雇であっても違法とはなりません。
どちらか一方が満たされていなければ、不当解雇となり違法と判断される可能性が高いです。
その場合、解雇の取り消しや慰謝料の請求ができる場合があります。
契約期間中の派遣切りの違法性は、その理由がやむを得ないと判断できるか否かが重要です。
以下の3つは、やむを得ないと判断され得る理由の一例です。
以上の理由があり30日前までに解雇の予告が行われれば、派遣切りが有効となる可能性があります。
それに対して、以下のような理由のみでの派遣切りは認められにくいでしょう。
派遣先が派遣契約を期間中に解除しても、それだけでは派遣会社は派遣社員を解雇できません。
派遣先が契約期間中に派遣切りするなら、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならないとされています(労働者派遣法29条の2)。
具体的には、以下のような配慮がされなければいけません。
派遣会社は、派遣先と連携して新たな就業機会の確保に努める必要があります。
そのため、派遣切りされても当面の生活費や新しい仕事について、サポートを受けられるはずです。
契約期間中に派遣切りされたら、賃金や手当はしっかり受け取りましょう。
ここでは、派遣切りされた時にもらえる賃金や手当について解説します。
派遣先での就業がなくなっても、派遣会社との雇用関係はなくなりません。
そのため、期間満了までの賃金はもらえます。
ただし、やむを得ない理由により解雇されて雇用関係がなくなったケースは別です。
なお、派遣契約を打ち切られたことはやむを得ない理由とは言えません。
解雇予告手当は、30日前までの解雇予告を怠った雇用主が支払うべき手当です。
予告されてから解雇予定日までの日数が30日未満であれば、30日に満たない日数分の平均賃金をもらえます。
平均賃金は直近3か月分の賃金をその期間の日数で割った金額です。
解雇予定日の20日前に予告されれば、10日分の平均賃金が支給されます。
ただし、例外として労働者の帰責事由によるものと労基署が認定した解雇や、契約期間が2か月以内の場合は支給されません。
休業手当は、労働者が企業側の都合で休業せざるを得なくなった時に支給される手当です。
派遣先が派遣契約を解除した後、派遣会社が次の就業先を見つけられず派遣社員を休ませる場合に支払わなければなりません。
派遣社員など月給制でない給与体系の労働者については、以下の2つのうち金額が高い方を平均賃金とします。
休業手当の支給額は平均賃金の6割以上とされているため、いずれかに0.6を乗じた金額が1日あたりの最低支給額です。
契約期間中の派遣切りは、いつ誰の身に降りかかるか分かりません。
そのため、実際に派遣切りに遭った時の対処法を把握しておきましょう。
派遣先に契約を打ち切られたものの、派遣会社を解雇されていなければ派遣会社に相談しましょう。
派遣会社は派遣社員の就業機会を確保するべく動くこととなっています。
しかし、早く新しい仕事を紹介してもらえるよう、派遣社員からも派遣会社に積極的に働きかけるのがおすすめです。
並行して、別の派遣会社で就業先を探すのもよいでしょう。
派遣契約の終了とともに派遣会社から解雇されてしまった場合、他の派遣会社に複数登録しましょう。
1社だけでは条件に合う仕事がなかなか見つからないことも考えられます。
派遣切りの事実に落ち込んでいても状況は変わらないので、生活を守るため早めに行動を起こしましょう。
派遣切りによる失業の場合、1年以内に雇用保険に6か月以上加入していると失業給付を受けられます。
離職票が発行されたら、ハローワークで求職の申し込みをしましょう。
失業手当をもらいながらであれば、焦らず落ち着いた気持ちで新しい仕事を探せるはずです。
派遣会社で仕事を探しつつ、ハローワークでも求人を紹介してもらえば、早く仕事が見つかる可能性が上がります。
派遣切りが不当なものではないかと思ったら、窓口に相談するのがおすすめです。
「総合労働相談コーナー」では、解雇やハラスメントなど労働に関するトラブルの相談を受け付けています。
もちろん無料で相談でき、相談の予約も必要ありません。
また、弁護士は会社との交渉や裁判まで引き受けてくれます。
相談だけであれば無料で受け付けている場合もあるので、検討してみましょう。
労働審判や裁判の結果、慰謝料を請求できる可能性もあります。
弁護士に相談する時には、会社の就業規則や雇用契約書を用意しましょう。
また、派遣切りに関して派遣先の担当者とやり取りしたメールがあれば、印刷して持って行くと相談がスムーズになります。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。