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この記事でわかること
「会社から突然解雇された!」というような場合に気になるのが、この解雇が本当にその解雇は法律にのっとった正しい手続きによるものなのか、ではないでしょうか。
解雇については前もって解雇を予告しなければならない「解雇予告」というものがあり、その規定への違反は刑事罰の可能性がある重大なものです。
このページでは、解雇予告に関する手続きと、これに違反して解雇がされた場合の労働者の対応方法についてお伝えします。
目次
まず解雇予告に関する法律の規定を確認しましょう
労働基準法20条1項本文前段は、会社が労働者を解雇する場合には、少なくとも30日までに予告をしなければならない、としています。
労働契約は、生活の基本である給与を得るためのもので、解雇は労働者の生活に大きな影響をあたえるものです。
そのため、事前に予告をさせて、次の就職先を探すなどの準備の期間を与えるなど、労働者が負う不利益の緩和をしようとするものです。
労働基準法20条1項本文後段は、解雇予告をしないですぐに解雇をする場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとしています。
この金銭の支払いのことを解雇予告手当と呼んでいます。
労働基準法20条2項によって、解雇予告と解雇予告手当を組み合わせることも可能としています。
つまり、例えば労働者が10日分の解雇予告手当を受け取れば、使用者が解雇予告を20日前までに行うことが認められています。
以上は原則であって、以下の例外がある場合には解雇予告・解雇予告手当の支給を受けられないとされています。
天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
労働者の責めに帰すべき事由に基づく解雇
「やむを得ない事由」といえるのはどのような場合かについては、通達である「昭和63年3月14日基発150号」で、会社が社会通念上必要な措置を採っていても避けられないようなことを起きた場合をいいます。
火災の被害にあった場合や、地震や台風などの災害にあった場合はこれにあたります。
一方で、経済法令に違反して機械や資材を没収されて事業が継続できなくなった、税金の滞納処分で事業廃止に至った、事業の見通しが甘く事業継続が困難となった、ような場合はこれに当たりません。
また「事業の継続が困難となる」というのは、事業の全部又は大部分の継続が
困難となった場合で、復旧の見込みがあるような場合にはこれにあたらないとしています。
解雇予告・解雇予告手当についての労働基準法20条の規定は以下の場合には適用がされません。
日日雇い入れられる者
2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
試用期間
解雇予告・解雇予告手当の規定に違反する解雇については、労働基準法違反となります。
そのため、監督官庁である労働基準監督署は会社に報告や出頭を命じたり(104条の2)、事業所に立ち入って調査をすることが認められています(101条)。
また、労働基準法20条に違反する行為は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すことができる旨規定されており(労働基準法119条)、場合によると刑事罰の対象になります。
では、実際に解雇予告の規定に違反して解雇がされた場合に、労働者は会社に対してどのような対処方法があるのでしょうか。
まず、解雇といっても、辞め方が曖昧になっていることがあります。
特に労働者の責めに帰すべき事由で解雇にされていないような場合に、実は自己都合退職の処理にされていたような場合には、失業手当の受け取りに影響してしまうことがあります。
会社を退職すると、会社から離職票が発行されますので、そこにどのような記載がされているか確認しましょう。
もし解雇の扱いになっていない場合には、ハローワークで失業手当の給付に関する手続きをする際に、解雇をされたことを主張しましょう。
解雇予告・解雇予告手当の支払いは労働基準法に規定された行為ですので、その違反については労働基準監督署に通告を行うことができます(104条)。
ただし実際に、解雇がされたからといって、解雇予告がない・解雇予告手当の支払いがないものであることを労働基準監督署が認識することは困難です。
そのため、労働者自ら労働基準監督署に通告を行い、行政指導を行ってもらうのが現実的です。
解雇予告の支払いがなく即時に解雇がされた場合には、解雇予告手当の支払いを求めることになります。
会社に支払いを求めても支払わない場合には、労働基準法20条に違反するものとして、付加金の支払いを求めることも可能です(労働基準法114条)。
会社に対して解雇予告手当の支払いを求める場合には、支払いをもとめて交渉をする、労働審判を起こす、裁判を起こす、という3つの方法が考えられます。
この中で、付加金の支払いを会社にさせることができるのは裁判だけですので注意しましょう。
以上は解雇予告がないことについてですが、そもそも解雇予告がなく、解雇予告手当の支払いがないような場合には、解雇に関する制限に違反しているようなことも考えられます。
解雇については、業務上の傷病によって休養している間・産前産後の休暇中など時期によっては解雇ができない場合がありますし(労働基準法19条など)、労働組合に参加したこと(労働組合法7条1号)や女性が結婚したこと(男女雇用機会均等法9条2項)など解雇の理由による制限もあります。
また明文の制限がない場合でも、解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」とされる場合には、解雇権濫用とされ、解雇が無効となる場合があります(労働契約法16条)。
このような解雇がなされている場合には、解雇が無効である旨を主張して、解雇されている期間に支払われなかった給与の支払いなどを請求します。
このページでは、解雇予告関する法律についてと、解雇が法律の規定にあっていないときの対処方法についてお伝えしました。
解雇のように重大な影響をあたえるものについては厳しい法律の規定がおかれています。
おかしいな、と思ったならば弁護士に相談をするようにしましょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。